AVP2 エイリアンズVS.プレデター【駄作】暗い、見辛い、酔う(ネタバレあり感想)

(2007年 アメリカ)
モンスター映画好きが作ったんだろうなという気の利いた描写も見受けられるのですが、肝心の演出力が追い付いていなくて企画意図をほぼ形にできていませんでした。あと、不出来を誤魔化すかのような画面の暗さはいい加減にして欲しかったです。こちらはエイリアンとプレデターの雄姿を見に来ているんですからね。

©Twentieth Century Fox

あらすじ

宇宙船内のプレデター達を殺戮して地球に落下したプレデリアンと、そのプレデリアンを追って地球にやってきたプレデター「ザ・クリーナー」の死闘。

スタッフ

監督は視覚効果出身のストラウス兄弟

監督を務めたのはグレッグとコリンのストラウス兄弟であり、この人達の本業は視覚効果マンです。兄弟が20代で立ち上げたVFX制作会社・ハイドラックスはおびただしい数のハリウッド大作に携わっており、VFXの分野では若くして成功を収めた兄弟なのですが、監督業への進出は本作が初でした。

とはいえ視覚効果マンが映画監督業に進出することはさほど珍しいことでもなく、『ヴァイラス』のジョン・ブルーノ、『第9地区』のニール・ブロムカンプ、『ゴジラ』のギャレス・エドワーズ、日本では『永遠の0』の山崎貴らが同様のケースに該当するし、かのジェームズ・キャメロンだってキャリアの初期には『宇宙の7人』や『ニューヨーク1997』に視覚効果スタッフとして参加していました。VFXに精通しているということは、これを前面に押し出した作品の現場を仕切る上ではかなり有効に働くようです。

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脚本は『アバター』続編のシェーン・サレルノ

脚本を書いたのはシェーン・サレルノという人物。この人はジョナサン・ヘンズレイが執筆した『アルマゲドン』の手直しをした脚本家の一人であり(他に、トニー・ギルロイやJ・J・エイブラムスといった後のビッグネームも同作の手直しには参加していました)、現在は『アバター』の続編4作品をジェームズ・キャメロンと共に手掛けています。

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感想

作品コンセプトは素晴らしい

プレデターが出演する作品は本作の前に3作品(『プレデター』『プレデター2』『AVP』)、後に2作品(『プレデターズ』『ザ・プレデター』)が制作されていますが、これらの作品を見る中で私が感じた、プレデターの映画でやって欲しくないことは以下の2点でした。

  • プレデターと人間の共闘(コミュニケーションを取ろうとするプレデターの姿がかなり滑稽)
  • 人間同士の揉め事(いつまで経っても揉め事が止まないようだと、相対的にプレデターの脅威が矮小化されてしまう)

本作で嬉しかったのはこの両方の罠を恐らくは意図的に回避してくれていることであり、今回のプレデターは制御不能になったエイリアンとプレデリアンの始末しか眼中になく、人間側の事情にはまったく目もくれないクールなハンターに先祖返りしていました。今まで登場したプレデターの中ではもっともかっこよかったかもしれません。

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人間の側についても、保安官と元服役囚、いじめっ子といじめられっ子という人間関係が置かれているものの、いざ緊急事態に突入すると日常のしがらみに囚われることなく各自が生存のみに集中し、必要に応じて協力し合うという展開は、人間側のリアクションとしては極めて真っ当なものでした。

全般的にクリーチャーと人間社会の関わらせ方が良くて、両クリーチャーが善良な人間や弱者を避けて通ってくれるということはなく、むしろ逃げ足の遅い子供や妊婦から先に犠牲になっていくという情け容赦のない展開には自然の摂理を見せられているかのような生々しさがありました。

加えて、森や下水道で小競り合いを繰り広げていたエイリアンとプレデターがついに人里へ乱入する場面の両者の躊躇のなさも良くて、マンホールを突き破って普通にボンと出て来ちゃう辺りのタメのない演出も好みでした。

彼らにとっては、戦いの舞台が森だろうが市街地のど真ん中だろうが大差ないんですね。そこにはやるかやられるかしかなくて、非力な人間の影響なんてまったく受けないと。その辺りが見事に表現されていて、監督も脚本家もマニアックなこだわりを持って作ったんだろうということが滲み出ていました。

人間側のドラマがうまく流れていない

と、基本コンセプトはこれ以上ないほど良かったのですが、新人監督ではうまくまとめられない部分が多かったようで、作品としては失敗した面の方が多かったと思います。特に人間側ドラマはかなり杜撰であり、感情移入どころか理解可能なキャラクターがただの一人もいないという厳しい状況になっていました。

ダラス(ムショ帰りの主人公)

『エイリアン』第一作のノストロモ号艦長の名前が付けられた本作の主人公。ムショ帰りの犯罪者ではあるものの、パトカーで家まで送ってもらうほどエディ保安官とは仲が良く、「今は落ち着いて平穏な生活を望んでいる元ヤクザ。※ただし、いざという時のサバイバル能力は高い」という任侠ものの高倉健みたいな設定が置かれています。

しかし、弟のリッキーが殴られたと知るや、事実確認も程々にバットを持ってお礼参りを主張するという現役チックな行動も見せるために、設定と実際の行動に整合性がなく、観客にとって理解しづらい人となっていましたが。

リッキー(ダラスの弟)

ダラスの弟。デイル率いるいじめっ子グループにしてやられる一方だったり、お礼参りを主張するダラスを止めに入るという言動を見るに、ナード系の軟弱キャラなのかと思いきや、学園のマドンナから一方的に惚れられているという側面もあって、結局こいつは軟弱系なのかヤンチャ系なのかどうかが分からない存在となっていました。

デイル(リッキーをいじめるアホ)

典型的ジョック。彼女のジェシーがリッキーに惚れているということで彼を逆恨みし、リッキーに嫌がらせをしてくるアホです。いくらアホとは言え、犯罪者を身内に持つ同級生なんて普通は怖くて狙わないだろうと思うのですが、彼はそんなことを気にしていないのです。その判断があまりにアホすぎて、私にとっては理解不可能なキャラクターでした。

ジェシー(おっぱい要因)

学園におけるクィーンビー、かつ、本作のおっぱい要員。交際中のデイルの粗暴な面に辟易としており、代わってリッキーに色目を使い始めるのですが、デイルとすっきり別れない状態でリッキーに接近すればデイルがどんな行動に出るのかは予測可能な立場にいるにも関わらず、無用に事を荒立てるアホなので感情移入がまったくできませんでした。

エディ保安官(役立たず)

主要登場人物の一人なのに、何かに貢献することも足を引っ張ることもない、まさに空気という言葉が相応しい空気キャラでした。

ケリー(リプリーもどき)

休暇中の女性軍人。エイリアンに夫を殺された後に娘を連れてダラス達のパーティに合流し、以降は戦闘に精通した人間としてパーティの主戦力になるという『エイリアン2』のリプリーを多分に意識したキャラクター。

ただし、成長過程に寄り添えず疎遠になっていた娘との絆を取り戻すという彼女の母性の物語としては非常に弱く、途中からはほどほどの戦力を持っていて、かつ脱出用ヘリを操縦できる便利な人という、物語を進めるためのただの人材になってしまったために、彼女のドラマ全体が蛇足になっていました。

ユタニさん(軍事転用が趣味)

前作『AVP』ではウェイランドさんが登場しましたが、今回はユタニさん。『エイリアン』シリーズで多くの悪事を働いてきたウェイランド・ユタニの前身企業のオーナーだと思われますが、何の権力があるのか、彼女は現場から回収されたプレデターのキャノン砲を受け取ります。

宇宙のテクノロジーの軍事転用を目指しているという点は後のエイリアンの時代と整合しているのですが、関心の対象はそこかいという気もしました。むしろ気にするべきは地球外の知的生命体の存在と、彼らは地球にやってくる能力があって、かつ人類を攻撃することに躊躇をしないという安全保障面だと思うのですが。

画面が暗い

本作の致命傷ですね。「エイリアンズvsプレデター2」でGoogle検索すると、第2ワードとして「暗い」が出てくるほどみんなが感じている欠点であり、2012年の日曜洋画劇場でのオンエアでは照度を50%上げるという異例の加工までが施されたという話もありますが、これは本当にひどいことになっています。

私はBlu-rayで鑑賞したのですが、部屋を真っ暗にし、モニターの設定をダイナミックにしてもなお暗すぎて訳が分かりませんでした。加えてアップの画が多すぎで、暗くて画面を凝視しているところにアップの乱用をやられるので酔いました。

監督は「緊張感を高めるために画面を暗くした」などと言っていましたが、これは詭弁でしょうね。本作はただ画面を暗くしたのではなく、アップの多様や細かいカット割りとの併せ技により、意図的に見辛くしているような印象を持ちましたから。撮影済の素材を並べてみたところ、監督があまりに下手くそ過ぎてどう編集しても繋がらないショットの羅列になっていたか、それとも素材の出来自体が悪くてまともには見せられないと判断されたかのどちらかが真相なのだろうと思います。

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