【駄作】ポセイドン・アドベンチャー2_緊張感ゼロ(ネタバレあり・感想・解説)

災害・パニック

(1979年 アメリカ)
前作で完全に終わっていたにも関わらず、無理に続けておかしくなった続編。ポセイドン号にプルトニウムが積まれているわ、実は工作員が乗り込んでいたわと話がぶっ飛んでいる上に、見せ場もドラマも前作でやりきったために見所が一切なく、一秒たりとも楽しめる時間がありませんでした。

©Warner Bros.

スタッフ・キャスト

プロデューサーのアーウィン・アレンが監督を兼任

1916年生まれ。コロンビア大学とニューヨーク市立大学卒業後にジャーナリストとなり、ラジオ番組のプロデューサーを経て、テレビ界へと転身。『宇宙家族ロビンソン』(1965-196年)、『原子力潜水艦シービュー号』(1964-1968年)、『タイムトンネル』(1966-1967年)、『巨人の惑星』(1968—1970年)を製作し、SF番組のパイオニアとなりました。

またSF映画監督としても活動しており、『失われた世界』(1960年)、『地球の危機』(1961年)、『気球船探検』(1962年)などを手掛けています。

『ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)と『タワーリング・インフェルノ』(1974年)の成功で大プロデューサーとなりましたが、その成功の勢いで監督も兼任した『スウォーム』(1978年)と本作で躓きました。B級SFしか撮ったことのないアレンに大作は荷が重すぎたのか、両作は『ポセイドン・アドベンチャー』と『タワーリング・インフェルノ』の成功を打ち消すほどの失敗となったのでした(両作とも主演がマイケル・ケイン)。そして、『世界崩壊の序曲』の不振がとどめとなり、映画界からの撤退を余儀なくされました。

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アカデミー賞受賞者が多数出演

前作同様に、本作も主要キャストがアカデミー賞経験者で固められています。

  • マイケル・ケイン(マイク・ターナー役):1933年生まれ。『アルフィー』(1966年)、『探偵スルース』(1972年)、『リタと大学教授』(1983年)、『愛の落日』(2002年)でアカデミー主演男優賞ノミネート。『ハンナとその姉妹』(1986年)、『サイダーハウス・ルール』(2000年)でアカデミー助演男優賞受賞。
  • カール・マルデン(ウィルバー役):1912年生まれ。『欲望という名の電車』(1951年)でアカデミー助演男優賞受賞。『波止場』(1955年)でアカデミー助演男優賞ノミネート。
  • シャーリー・ジョーンズ(ジーナ・ローズ役):1934年生まれ。『エルマー・ガントリー/魅せられた男』(1960年)でアカデミー助演女優賞受賞。
  • サリー・フィールド(セレステ役):1946年生まれ。『ノーマ・レイ』(1979年)、『プレイス・イン・ザ・ハート』(1984年)でアカデミー主演女優賞受賞。『リンカーン』(2012年)でアカデミー助演女優賞ノミネート。

あらすじ

サルベージ船の船長マイクは、転覆したポセイドン号を発見した。借金に困っていたマイクは、金品を採取する目的で船内に入ることにしたが、そこに救助目的でやってきたというスベボの一味も現れた。

企画の紆余曲折

前作『ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)の大ヒットを受けて、プロデューサーのアーウィン・アレンはすぐに続編の構想に入りました。1973年には前作生存者達の乗った列車がトンネル崩壊で立ち往生するという泣きっ面に蜂どころではない話が考えられていたのですが、さすがに却下。その着想は20年以上を経て、シルベスター・スタローン主演の『デイライト』(1996年)として復活するのでした。

1978年には原作者のポール・ギャリコが続編『海底の怒り』を出版。前作の生存者達がそれぞれの理由から再びポセイドン号に戻ると、ポセイドン号に積まれた金塊の回収のため船主に雇われた海賊と、乗客達の宝石類を狙ってやってきた盗掘屋が争奪戦を繰り広げていたという、これはこれで物凄いですねという内容となっています。

この脚色には『アンドロメダ…』(1971年)のネルソン・ギディングが雇われました。ギディングが仕上げた映画版では海賊vs盗掘屋という筋書きこそ継承されているものの、対象物がプルトニウムになったり、前作生存者達が登場しなかったりと、プロットには大幅な改変が加えられています。

登場人物

サルベージ船ジェニー号

  • マイク・ターナー(マイケル・ケイン):ジェニー号の船長。嵐で積み荷を落として資金的な問題が発生したところで、転覆したポセイドン号を発見。船内の金品を採集することにした。バート・レイノルズ、クリント・イーストウッドに断られ、金さえもらえればどんなB級映画にでも出演するマイケル・ケインがキャスティングされました。
  • セレステ・ホイットマン(サリー・フィールド):アフリカ行きを希望しており、その手段としてジェニー号に乗り込んだ若い女性。海や船舶に関してはズブの素人だが、やたらと何かを手伝おうとする。そして、決まってうまくやれずに何かを壊すが、特に謝ったり反省したりしない屈強なメンタルの持ち主。
  • ウィルバー(カール・マルデン):ジェニー号の乗組員で、マイクの女房役。酒場で金を巻き上げられそうになった際に助けられた縁で、セレステを乗船させた。秘密にしているが、心臓に持病を抱えている。

ポセイドン号乗客・乗員

  • ジーナ・ローズ(シャーリー・ジョーンズ):ポセイドン号の看護師。
  • フランク・マゼッティ(ピーター・ボイル):ポセイドン号の乗客で、転覆時のどさくさの中ではぐれた娘のテレサを探している。元軍人でサバイバルのたしなみがあるためパーティではマイクに次ぐ2番手のポジションにいるが、マイクとは頻繁に意見の衝突を起こしていることから、前作のマイク・ロゴに相当する人物だと思われる。
  • テレサ・マゼッティ(アンジェラ・カートライト):フランクの娘。父親とはぐれたところをラリーに助けられ、以降はラリーとラブラブになった。後にフランクらのパーティに合流した。
  • ラリー(マーク・ハーモン):偶然出会ったテレサを助けた。テレサとは相思相愛であり、父親のフランクの前でラブラブを隠しもしない無神経さも併せ持っていることから、案の定、フランクから嫌われた。
  • テキサス(スリム・ピケンズ):船の転覆にすら気付かないほど酔っぱらっていた老人。テキサスの石油王を名乗っているが、実際には無一文だった。
  • ハロルド・メレディス(ジャック・ウォーデン):盲目であるため船からの脱出を諦めており、船室に残るつもりでいた。彼のカバーはするというマイクからの提案により、パーティに加わることにする。
  • ハンナ・ウォーデン(シャーリー・ナイト):夫ハロルドと共に船室に残っていたが、マイクの説得でパーティに加わった。

工作員

  • ステファン・スベボ博士(テリー・サバラス):ポセイドン号の救難信号を聞きつけ、人命救助のために医療チームを率いて現れた。しかし真の目的はポセイドン号に積まれたプルトニウムの強奪であり、そのために2年かけて計画を練っていた。
  • スザンヌ(ベロニカ・ハメル):乗客に紛れ込んでいたスベボの部下。転覆という緊急事態にあたってはプルトニウムよりも生還が優先でしょと当然の主張をして、スベボの部下に銃撃された気の毒な人。

感想

いろいろと無理のありすぎる続編

前作では、乗客の大半は新年会で宴会場に集まっており、フランク牧師のパーティを除いては侵入した海水に飲み込まれて死んだという描写があったにも関わらず、本作にはまだまだ生存者がいたことが明らかになります。

彼らは新年会には出席しておらず、部屋に居たから助かったという設定ならばまだ納得できたのですが、バッチリとパーティドレスを着ているので、一体どうやってあの修羅場を生き延びたんだろうかと、実に不思議なことになっています。

豪華客船ポセイドン号になぜかプルトニウムが積まれていたという理解に苦しむ設定に、プルトニウムが欲しいテロリストと金目の物が欲しいサルベージ屋が、お互い無視していればいいのに最終的に銃撃戦を始めるというトンデモ展開と、そもそも無理筋だった『ポセイドン・アドベンチャー』の続編を成り立たせるためにいろんな不純物をくっつけた結果、余計に訳の分からん映画になっていったという印象です。

『ポセイドン・アドベンチャー」の続編とは思えない光景

ディザスター映画なのに緊張感皆無

前作では、いつまで浮いていられるか分からないポセイドン号において、刻一刻と迫る海水から逃れながら上を目指すという点にスリルが宿っていました。前作を見た誰もが、沈没直前の間一髪で生存者達は生き延びたと思っていただけに、その後にも悠々と浮いていられる本作でのポセイドン号のありようには、かなりの違和感がありました。

「意外と大丈夫だった」

この安心感が、ポセイドン号は今にも沈んでしまうんじゃないかという緊張感を奪っています。

アーウィン・アレンによる演出もグダグダ。進路に穴が開いており、走って飛び越えねばならないという全然大したことのない危機にやたらと時間を使い、しかも飛び越える様を6名全員分順番に見せるという、異常に無駄な尺の使い方をします。

前作で沈没中の船を舞台にした見せ場はやり尽くしてしまったのか、本作では何もやることがなくなっていたようです。挙句の果てには船内での銃撃戦なのですが、悠長に撃ち合いをしていられるほどの余裕が、沈没中の船という舞台設定にまったく馴染んでいません。

感情移入できるキャラクターがいない

追い打ちをかけて酷いのがキャラクターの出来の悪さであり、前述の通りオスカー経験者を多数配置しているにも関わらず、魅力的なキャラクターが誰一人いないという、恐ろしいことになっています。

特に酷かったのがサリー・フィールド扮するセレステであり、彼女は観客からの感情移入の依り代となるコメディリリーフ的存在だったと思うのですが、生死がかかった局面なのに素人考えでワーワー喚く、できもしないのに手を出して事態を余計に悪化させる、突然感情を爆発させて泣くと、ジャー・ジャー・ビンクス並みのウザさを全開にします。見ていて本当にしんどかったです。

まとめ

よほどうまい人が作らない限り駄作にしかならない続編をうまくない人が作ったため、式次第通りに駄作になったという感じでした。本作が悲劇的なのは、あまりに観客受けが悪かったためかネタ映画としてすら振り返られておらず、そもそもその存在を知られていないということでしょうか。あまりに無茶苦茶な内容なので、ネタ映画として見ればそれなりに盛り上がると思うのですが。

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