チェーン・リアクション【凡作】『逃亡者』の出涸らし以下(ネタバレあり感想)

(1996年 アメリカ)
画期的な新エネルギーを開発した大学の研究チームが何者かに始末され、生き残った学生が爆破テロと産業スパイの嫌疑をかけられながらも真犯人に近づいていくサスペンス・アクション。

4点/10点満点中

『逃亡者』丸パクリ

売れてる人を組み合わせた下心丸出しの映画

  • 監督:アンドリュー・デイヴィス(『沈黙の戦艦』『逃亡者』)
  • 脚本:J・F・ロートン(『プリティ・ウーマン』『沈黙の戦艦』)
  • 主演:キアヌ・リーブス(『スピード』)

この通り、90年代前半に実績のあった人達を組み合わせた本作からは、「ワーナーの『逃亡者』をより派手なアクションでデコレートしたアクション大作が欲しい!」というフォックスの下心が丸出し状態となっています。

ここまで忠実にパクらなくても…

実際、本筋は『逃亡者』の内容を忠実になぞっていきます。

  • シカゴを舞台にした巻き込まれ型サスペンス
  • 逃げる主人公と追う捜査機関という大捕り物が前半の見せ場
  • 事件の背景には壮大な陰謀が存在
  • 意外と身近にいた真犯人
  • 捜査機関は次第に主人公の潔白を信じ始める

違うのは、『逃亡者』が中年医師を主人公にしていたのに対して、本作はよりキャッチーに大学院生を主人公にしたことくらいでしょうか。

サスペンスなのに、完璧に先が読める

ここまで臆面もなくほんの数年前のヒット作をパクってしまったので、話の先が読めてしまうという問題が発生しています。観客が真っ先に疑った人物が陰謀の核心部分にいるし、捜査官は最終的に主人公に味方してくれることが分かっているので大船に乗った気でいられるという、ハラハラドキドキ感ゼロ状態となっています。

観客が『逃亡者』の先入観を持って見ていることを逆手にとって、途中から意表を突く展開に突入させていれば面白くなったかもしれないのに、最初から最後まで『逃亡者』と同じでは芸がなさすぎます。

アクションは頑張っている

本作の内容で唯一褒められるのはこの点でしょうか。主人公が学生なのでド派手なドンパチや悪漢との格闘をさせられないので、思いもよらぬ場面での奇抜なアイデアのアクションが連続します。

また、1996年はCGがSF映画のみの特別な技術ではなく一般映画にも利用できるようになった時期に当たり、最新技術を用いた見せ場も用意されています。序盤の大爆破は現在の目で見てもなかなか迫力があり、アクションを盛り上げることには力を入れています。

ただし問題は、シナリオが悪すぎて連続活劇になりえていないことであり、個別の見せ場は良いのに集合体としての大きな流れを生み出せていない点は残念でした。

レイチェル・ワイズのハリウッド進出作

ヒロイン役には当初ミラ・ソルヴィーノが予定されていたものの、彼女は『ビューティフル・ガールズ』に出るために降板し、代打としてレイチェル・ワイズがキャスティングされました。当時はまだイギリスのテレビ女優だったレイチェル・ワイズにいち早く目を付けた点は、本作の数少ない功績だったと思います。

ただし、真冬のシカゴでの撮影が相当しんどかった上に、興行的にも惨敗したので(製作費5千万ドルに対して北米での興行成績は僅か2千万ドル)、本作の直後にワイズはイギリスに帰ってしまい、1999年の『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』まではヨーロッパ映画にばかり出ていました。その『ハムナプトラ』公開時のインタビューにて、「『チェーン・リアクション』は一から十まで屈辱的な経験だった」と話しており、いろいろあったにせよ昔の仕事仲間を大っぴらに批判するとはなんという性格の悪い人だと思いましたが。

※ここからネタバレします。

陰謀の正体に魅力がない

話の流れが悪いだけでなく、話の終着点にも魅力がありませんでした。

安価な新エネルギーが実用化されると化石燃料を中心に回っている世界経済が根本から破壊されるということで、政府の外郭団体がこれを潰しに来たという背景が説明されるのですが、大学教授が環境破壊について講演する冒頭の時点で「多分、そんなことだろうな」と観客の9割が推測したであろう所に落ち着くので、そこには何の感慨もありませんでした。

また、彼らの行動原理がちょいちょいバカっぽいことも問題です。ラボを破壊し、生き残った主人公を警察に追わせるのですが、再現実験ができないのでやっぱり主人公が必要だと言って、今度は警察よりも先にあいつらを確保しなきゃと言い出すんですね。泥縄にも程があるでしょ。

そもそも、新エネルギーに存在されては困るという主張が最初にある彼らが、なぜ再現実験を必死でやっているのかもよく分からないし。