【駄作】テロリスト・ゲーム_グダグダのB級アクション(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(1993年 アメリカ)
そこそこの豪華キャストによるB級アクションだけど、ストーリーの一番面白い部分を冒頭でネタバラシしたかと思えば、アクションはグダグダだったりで、芳しい出来ではなかった。

感想

存在は知っていたが見たことはなかった映画だけど、アマプラで無料配信終了欄に入っていたので急いで観た。ま、本作は配信終了と再配信を繰り返しており、ちょっと待っていればしれっと戻るんだろうけど。

ピアース・ブロスナンが5代目ボンドに選ばれる前年に出演した作品として有名だけど、その上司役に『スタートレック』シリーズや『X-MEN』(2000年)でお馴染みのパトリック・スチュワート、ハイジャッカー役に『羊たちの沈黙』(1990年)のテッド・レヴィン、黒幕の旧ソ連軍人役に往年の怪奇ホラーでお馴染みクリストファー・リーと、キャスティングはかなり豪華。

『テロリスト・ゲーム』というタイトルは邦題で、ハリソン・フォード主演で大ヒットした『パトリオット・ゲーム』(1992年)にあやかったものだと思われる。なんとも安直な発想だ。

原題は”Alistair Maclean’s Death Train”

『ナバロンの要塞』(1961年)や『荒鷲の要塞』(1968年)等の60年代コマンドものでお馴染みアリステア・マクリーンの名を冠したクレジットではあるが、マクリーンの著作の映画化というわけでもない。

マクリーンは1987年にミュンヘンで亡くなったのだけど、多くの未完成作品のドラフトやらメモやらが残されており、その一つをアリステア・マクニールという別人が完成させたものが原作。

紛らわしいペンネーム、故人であるマクリーンの名前の方が目立つように表紙が印刷された小説版は問題視され、イギリスでは罰金を払わされたとのこと。

そんないかがわしさ全開の企画であるためか、映画の出来も芳しいものではなかった。

ドイツの鉄道がアメリカの国粋主義者(テッド・レヴィン)によりハイジャックされるのだが、この事件に只ならぬものを感じた国連機関のリーダー マルコム・フィルポット(パトリック・スチュワート)は、部下のマイケル・グラハム(ピアース・ブロスナン)らを引き連れて現場対応に向かうというのが、ざっくりとしたあらすじ。

実はハイジャッカーの背後には旧ソ連の軍人(クリストファー・リー)がいたり、列車には核兵器が積まれていたりといった裏があるのだが、冒頭ですべて説明してしまうので潔いやら勿体ないやら。

後年の『ピースメーカー』(1997年)を先取ったアイデアが多い点は「腐ってもマクリーン」という感じだったんだけど。

核心部分のネタを割ってでも本作がやりたかったこととはダイナミックなアクションの連続だったのだろうけど、これが全然ダメだった。

せっかく欧州を縦断する国際鉄道を舞台にしているのに、変化するロケーションをアクションの背景として生かせていないし、銃撃戦などの演出も雑。

誰が誰を狙っているのか、どこに向けて撃っているのか、弾は当たったのかといった情報がまるで整理されていないので、ドンパチがまるで盛り上がらないのだ。

また主人公周りのドラマも酷い。

ブロスナン扮するグラハムは、女性の部下(アレクサンドラ・ポール)に対して随分と差別的なことを言う。

当初はいがみ合っていた二人が、やがてお互いを認め合うことがドラマの骨子だったと思うのだが、最初のグラハムの印象が悪すぎて感情移入どころではなかった。

「女は信用できない」とか酷いことをバンバン言うし、かといってグラハムが戦場で圧倒的に有能かと言われればそうでもなく、とにかくこの人物が見ていられなかったのだ。

続編も製作されたらしいが、私は第一作だけでギブアップかな。

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