【良作】ダイ・ハード2_シリーズ中もっともハイテンション(ネタバレなし・感想・解説)

クライムアクション

(1990年 アメリカ)
前作にあったドラマ性も緻密さも放棄し、アクションに全振りした第2弾。映画としての妙味はなくなりましたが、パンパンに詰め込まれた見せ場とレニー・ハーリンのハイテンション演出によって、最初から最後まで楽しめる一大エンタメ作品となっています。

あらすじ

前作から1年後。ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)はクリスマスを妻ホリーの実家で過ごすため、ワシントンD.C.のダレス国際空港にホリーを迎えに来ていた。その日のワシントンD.C.は寒波に襲われ大雪だったうえに、南米の独裁者エスペランザ将軍(フランコ・ネロ)が移送されてくるということで、空港は大混乱だった。

そんな中、不審な男達を目撃したマクレーンは彼らを追跡し、荷物室で銃撃戦となった。辛くも勝利したマクレーンは、持っていた武器から彼らがタダモノではなく、何か大掛かりな計画が進行中であることを察知する。

スタッフ・キャスト

監督は破壊王レニー・ハーリン

1959年フィンランド出身。名門ヘルシンキ大学在学中にテレビディレクターとなり、24歳で映画監督デビュー。

チャック・ノリスの息子マイク・ノリス主演の『死線からの脱出』(1986年)ではフィンランド映画史上最高額の製作費をかけたのですが、あまりに反共的な内容に物言いがついて上映禁止となりました。

その後ハリウッドに渡り、『プリズン』(1987年)と『エルム街の悪夢4』(1988年)という二本のホラー映画を監督しました。

その後は本作と『クリフハンガー』(1993年)の2作の大ヒットでアクション映画の名手となりましたが、『カットスロート・アイランド』(1995年)『ロング・キス・グッドナイト』(1996年)の二本を大コケさせたことから2000年代に入ると中規模予算の監督に転じました。

2016年より中国映画界に活動の場を移し、ジャッキー・チェン主演の『スキップ・トレース』(2016年)などを監督しています。

主演はブルース・ウィリス

1955年生まれ。高校卒業後に警備員、運送業者、私立探偵など複数の職業に就いた後、俳優としてニューヨークで下積みを経験し、オフ・ブロードウェイの舞台などに立っていました。

1984年頃にLAに転居してからはテレビ俳優となり、オーディションで3000人の中から選ばれた『こちらブルームーン探偵社』(1985年~1989年)の主演でコメディ俳優としての評価を確立しました。

アーノルド・シュワルツェネッガー、クリント・イーストウッド、リチャード・ギア、メル・ギブソンらに次々と断られた末にオファーが来た『ダイ・ハード』(1988年)の主人公・ジョン・マクレーン役でコメディ俳優の枠を超える評価と、国際的な知名度を獲得。

本作では750万ドルのギャラを受け取ってマクレーン役に再度挑みました。

作品概要

原作は『ダイ・ハード』とは無関係

本作の原作となったのはウォルター・ウェイジャー著『ケネディ空港着陸不能』(1987年)なのですが、これは前作『ダイ・ハード』(1988年)とも、その原作の『Nothing Lasts Forever』(1979年)とも無関係な単独作品です。

レニー・ハーリン監督就任

続編制作に当たっては前作の功労者ジョン・マクティアナンにまず監督をオファーしたのですが、パラマウントで『レッド・オクトーバーを追え!』(1990年)を撮影中だったので断られました。

そこで、本作と同じフォックスが製作していた『エイリアン3』(1992年)を降板したばかりのレニー・ハーリンを起用しました。

前作を上回る興行的成功

本作の製作費は7000万ドルと、2800万ドルで製作された前作の2.5倍の金額が注ぎ込まれたのですが、それに比例して興行成績も前作を大幅に上回りました。

全世界での興行成績は2億4000万ドル(前作は1億4000万ドル)、1990年の年間興行成績第7位という大ヒットとなりました。

登場人物

前作からの続投組

  • ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス):前作ではNY市警所属だったが、本作ではLA市警に転属した刑事。クリスマスをワシントンD.C.の妻の実家で過ごすために、ダレス国際空港に妻ホリーの迎えに来ている。
  • ホリー・マクレーン(ボニー・ベデリア):LAのナカトミ商事で働く女性で、ジョンの妻。ワシントンD.C.に飛行機で向かっているところを今回のテロ事件に巻き込まれ、搭乗中の飛行機が着陸できなくなる。
  • リチャード・ソーンバーグ(ウィリアム・アザートン):テレビレポーターで、前作でのナカトミビル占拠事件でジョンとホリーの素性を報道したために、二人を窮地に追い込んだ。本作ではたまたまホリーと同じ飛行機に乗り合わせ、同じくテロ事件に巻き込まれた。

空港関係者

  • レスリー・バーンズ(アート・エヴァンズ):空港のチーフエンジニア。マクレーンに助けられた恩義で彼の協力者となる。前作のパウエル巡査部長に相当する立場。
  • ロレンゾ(デニス・フランツ):空港警察の署長。所轄を荒らすマクレーンを敵視しており、その警告を無視したために初動対応の遅れを招いた。
  • トルドー(フレッド・トンプソン)管制部長。ロレンゾを制してマクレーンの忠告を聞くフェアな男だが、異常が彼の耳に入った時点ではすでに手遅れだった。

テロリスト

  • スチュアート大佐(ウィリアム・サドラー):テロリストのリーダーで、元アメリカ陸軍特殊部隊大佐。反共主義者エスペランザ将軍に心酔しており、その奪還を目論んでいる。
  • エスペランザ将軍(フランコ・ネロ):南米バルベルデ共和国の独裁者。麻薬王としてアメリカに拘束され、訴追のためにアメリカへ飛行機で護送されている。パナマの独裁者マヌエル・ノリエガがモデル。
  • グラント少佐(ジョン・エイモス):アメリカ陸軍特殊部隊隊長。スチュアートのテロを鎮圧する名目で現場にやって来たが、実はスチュアートの協力者。

感想

ドラマを捨てアクション特化となった第2作

シリーズものの宿命として、ドラマが第一作で完結しており、続編以降には語るべき話が残っていないという問題があります。本作はまさにそれ。

第一作は夫婦仲の冷めた主人公夫妻がテロ騒動に巻き込まれ、危機の中で妻への思いを取り戻し今までの自分の振る舞いを反省した夫が、人質にされた妻を何としてでも奪還しようとする物語でした。

しかし主人公ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)のドラマは第一作の大団円で終わっているのです。

そこで本作はドラマという要素を丸ごと捨ててしまい、のっけから見せ場の連続。アクションのみで2時間を突っ切るという策に出ています。

今回の舞台や悪役の紹介が一通り終わると、本編開始15分足らずで最初のアクションが始まります。物凄い手際の良さです。

等身大の人物像が売りだった第一作からは一転して本作のマクレーンはスーパーヒーローであり、悪役のスチュアート大佐(ウィリアム・サドラー)から「警官としてはスバ抜けているようだな」とのお褒めの言葉までをいただきます。

空港カウンターで若い受付嬢から逆ナンされる色男ぶりと同時に、すかさず結婚指輪を見せて断るという大人の男の余裕までを披露。美人のCAさんについつい目が行ってしまっていた前作のジョン・マクレーンの影はそこにはありません。

本作のマクレーンは極めて記号的なヒーローであり、その描写を通して主人公の人間性がどうのこうのみたいな領域には一切足を踏み入れるつもりはないという製作側の潔い姿勢を感じ取りました。

漫画的な悪役

それは悪役も同様。

前作の悪役ハンス・グルーバーは、たいそうな演説をぶちかますものの実態は金が目当ての泥棒であり、マクレーンと鉢合わせると人質のフリをしてその場を凌ぐような面白い男でした。

強力な部下さえ従えていればリーダー自体が強くある必要はないという、アクション映画における悪役像の新機軸を打ち出したのがハンスでした。

対して本作の悪役スチュアート大佐(ウィリアム・サドラー)はゴリゴリの武闘派。

登場場面からして全裸で謎のマーシャルアーツのカタを決めるという独特な演出であり、腕力を武器にするオーソドックスなタイプの悪役であることが分かります。

そんなスチュアート大佐がホテルの部屋を出ると、部下達も時間ピッタリにそれぞれの部屋から出てきて隊列を為していきます。

出る時間を正確に合わせていたのかとか、バラけさせず全員で隣同士の部屋を取っていたのかとか、よくよく考えてみればおかしなことだらけの行進なのですが、少なくとも見ているうちは「恐ろしく統率の取れた厄介な敵」ということは伝わってきました。

武闘派のリーダーの下、一糸乱れぬ行進をする部下達。実に漫画的な悪役達となっています。

レニー・ハーリンの超絶アクション演出

繰り返しますがドラマ性も緻密さも狙っていない本作においては、アクション演出のみが頼みの綱でした。そこにきて監督のレニー・ハーリンは実に素晴らしい仕事をしています。

追い込まれた主人公がギリギリで脱出するという演出を何度も何度も繰り返し、その度に観客を興奮させるというハイテンション演出をものにしています。

  • 身動きの取れなくなったマクレーンと銃をリロードしているテロリスト。マクレーンは動く歩道を起動させて銃をキャッチし、コンマ数秒の差でテロリストを射殺。
  • 滑走路に出ようとしてマンホールの蓋に挟まったマクレーン。そこに着陸寸前の飛行機が現れ、轢かれる寸前で身をかわす。
  • 飛行機の操縦室に閉じ込められたマクレーン。テロリストに手榴弾を山ほど投げ込まれ、爆発寸前でコックピットから射出。

手に汗握るとはまさに本作のこと。これらの見せ場はどれもこれも「おぉ!」と言いたくなるほどの緊張感とカタルシスであり、脂の乗っていた当時のレニー・ハーリンの演出の瞬発力には恐れ入りました。

レニー・ハーリンは、アクション映画においては観客が違和感を覚えない範囲内での誇張が許されると考えている監督なのですが、その真骨頂が本作であると言えます。

おまけに前作が緻密に作られていたおかげで続編の本作も同じような目で鑑賞されたために、明らかにおかしなことをしても驚くほど観客に受け入れられたとも語っています。

そんなハーリン演出の真骨頂がクライマックスの大爆破。

ジャンボ機で逃亡を図るテロリストと、離陸を止めようとするマクレーン。主翼上での格闘ではスチュアート大佐に敗れて滑走路に落とされるのですが、燃料漏れを起こした飛行機をジッポの火で爆破してテロリスト全員まとめて駆除という、ダイハーダーな見せ場をモノにしています。

≪ダイ・ハード シリーズ≫
【傑作】ダイ・ハード_緻密かつ大胆で人間味もあるアクション大作
【良作】ダイ・ハード2_シリーズ中もっともハイテンション
【良作】ダイ・ハード3_作風が変わっても面白い
【駄作】ダイ・ハード4.0_マクレーンが不死身すぎて面白くない

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