【ホームシアター】わが6畳間をドルビーアトモス化(DENON AVR-X2800H)

雑談
雑談

以前から気になっていたドルビーアトモスを我が6畳間に導入したので、そのプロセスについて備忘的にまとめてみた。

Google Discoverにしてやられる

Google Discoverは恐ろしい仕組みだ。なぜなら、ほんの些細な興味でも本格的な消費行動につなげてしまうから。

スマホなどでGoogle Chromeを使っている場合、検索ウィンドウの下に記事や広告などが並んでいる。これがGoogle Discoverというものなのだが、個人向けに最適化された情報が掲載されているので、通勤中など手持ち無沙汰な時には、ついつい読まされてしまう。

こうしたブログを書いていることからもお察しの通り、私はオーディオ&ビジュアルに多少の興味を持っているので、当然のことながらGoogle Discoverでもオーディオ関連の記事が頻繁に表示される。

ホームシアターは2022年3月に4KプロジェクターHT2550を導入したところで一定の満足感を得ており、そこで設備投資は終わりだと思っていたのだが、ホームシアター関連の情報を摂取しているうちに、またまたその気になってしまった。

きっかけは2022年11月下旬に読んだDENON製AVR-X1700Hの記事。

5万円台で入手可能なエントリー機ながらハイエンド機譲りの機能を網羅しており、お手軽にドルビーアトモスを楽しめますよという記事に触れたことで、それまで本格的には検討してこなかったドルビーアトモスの導入を考え始める。

数週間ほど思案した結果、5万円台という価格に加えて、年末年始の長期休みを控えた時期なので設置のための時間もとれるということで、ほぼほぼ心はAVR-X1700Hで決まった。

見事に消費意欲を喚起して見せたGoogle Discover天晴れというところだが、Googleの本領発揮はここからだった。

DENON製 AVR-X2800H

私がアトモス導入を決めたタイミングで、今度はAVR-X2800Hの記事が表示される。

DENONのアンプは数字が大きくなるほど高級、かつ、新型という規則性があって、2000番代のX2800HはX1700Hより一つ上のミドルクラスというやつである。定価は12万1千円で、家電量販店などでは9万円台で売られていることが多い。

そして下3桁800番代は、700番代のX1700Hよりも新しいシリーズであることを示している。X2800Hは2022年秋に発売されたばかりの新型だ。

このX2800Hがオーディオ評論家(この世にはそういう職業があるらしい)から褒めちぎれる記事が連続してスマホに表れたものだから、ついつい気になってしまう。

思えばAVアンプなんて一度買えば何年も付き合うことになるものだ。実際、リビングのSONY製AVアンプは10年近く稼働し続けている。

エントリー機よりも満足度の高いミドル機の方が後々買い替えを考えるという可能性も低く、結果的には安く上がるんじゃないかと、物凄く自分にとって都合の良い発想に転じていき、結局はX1700HではなくAVR-X2800Hをポチってしまった。

現状のホームシアターにさほどの不満を持っていなかったところから、新しいAVアンプ、しかも当初の想定よりも高いモデルを買わせるところにまで持っていってしまうGoogle Discover、恐るべしである。

まんまと乗せられた私がアレなだけかもしれないが。ファイトクラブに入んなきゃいけないかしら。

そもそもドルビーアトモスとは

話の順番はおかしいが、そもそもドルビーアトモスとは何ぞやというお話もしておく。

ドルビーとは米企業ドルビーラボラトリーズの商標であり、アトモスとは一般名詞”atmosphere”の略である。

“atmosphere”は一義的には地球の大気を意味するが、他に場の空気や雰囲気、芸術作品の印象や趣という意味もあって、これを冠するドルビーアトモスとは臨場感を高めるためのサラウンド方式だと考えれば、当たらずとも遠からずというところだろう。

従来のサラウンドは5.1chとか7.1chとか言って、視聴者をぐるっと取り囲む形でスピーカーを配置して臨場感を出してきたが、そこに天井スピーカーを加えたのがドルビーアトモスの特徴である。

その構成は5.1.2chとか7.2.4chという形で表現されるのだが、音場に縦方向も追加され、よりリアリティの高い体感ができるというわけである。

問題は天井スピーカー

ただしその導入にあたっての最大の障壁は天井スピーカーの設置である。

天井スピーカーは埋め込み式が主流だが、そんなものを一般家庭で導入となる大工事が必要になる。ホームシアターにそこまでつぎ込める家庭は稀だろう。

そこでイネーブルド・スピーカーなるものが販売されている。イネーブルとは可能にするという意味で、天井に直接設置できなくてもアトモスを楽しめるようにしますよという製品である。

具体的には、天井にスピーカーを設置するのではなく、天井に向けて音を発射し、天井から跳ね返った音が視聴者の耳に届くという方法をとるので、設置の手間や制約条件は大幅に緩和される。

ただしこのイネーブルド・スピーカー、私が調べた限り評判があまりよろしくない。あるとないとじゃある方がいいに決まっているが、天井に直接スピーカーを設置するのとでは雲泥の差であると。

せっかく10万円近くもかけてAVアンプを新調するのに、効果の低いイネーブルド・スピーカーでは勿体ないぜということで、私は天井スピーカーにこだわった。

そこで出てきたのがYAMAHAのVXS1MLWである。

本来は業務用のスピーカーで、商業施設のBGM用などに使われる製品なのだが、非常に小型で重量も軽いので(わずか170g!)、私のような素人でも十分に扱える代物である。

定価12,100円、家電量販店やネットでは9000円弱で売られていることが多く、これを2本となると2万円弱なので決して安くはないのだが、イネーブルド・スピーカーもそれくらいの価格帯なので、特段高いというわけでもない。

天井スピーカーはVXS1MLWで決めたが、アンプを含めるとすでに10万円オーバーで、当初考えていた5万円台という予算は何だったんだろうかという気がしなくもない。

設置は2時間で終了

そうこうしているうちに年末年始の休みに入ったが、前半は子供を連れて実家に帰省したので、実質的には後半の二日で仕上げることになった。

ここでも当初目論見からの大幅な逸脱が発生し、我ながら甘すぎる見込みで動くことを反省した。

ただし、設置作業自体は拍子抜けするほど簡単だった。

すでに5.1chという下地があるので、やるべきことは天井スピーカーの取り付けとアンプの入れ替えのみ。

↓の画像をご覧になっていただきたいのだが、VXS1MLWは想像以上に小さかった。1/144ガンダムエアリアルよりも小さいので設置がめちゃくちゃに簡単で、取り付け作業はあっという間に終わった。

↓取り付けるとこんな感じ。あまりに小さいので、スピーカーケーブルを天井に這わせるための配線カバーの方が存在感がある。

一つ難点をあげるとすれば、スピーカーケーブルを通すための穴が小さすぎることで、私はAmazonベーシックの安いスピーカーケーブルを使ったのだが、それでも無理やり通したほどだった。

価格の高いケーブルだとあの穴を通らないと思うので、このスピーカーに合わせるケーブルは慎重に選んでいただきたい。

次に主役のAVR-X2800Hだが、一昔前のアンプと比べると随分軽い。かつてAVアンプと言えば20kg近い巨体で、ラックに収めることも一苦労だったが、本機は9.5kgで持ち上げるのは容易だった。

そして背面。スピーカーのケーブル端子が横にズラっと並んでいるので、配線がとにかく楽。

これまで使ってきたSONY製やONKYO製のアンプはケーブル端子が赤と黒で二段になっていて、下段の接続はなかなか手間だったのだが、赤も黒も横一線に並んでくれると半分以下の手間で配線できる。

スピーカーケーブルを弄る頻度はさほど高くないとはいえ、こうした配慮のある製品は本当にありがたい。

設置が終わった後のセッティングもユーザーガイドに従っていればすぐに終わるし、スピーカーの音量調整も機械がやってくれるし、何もかもが恐ろしく簡単だった。

これまで使ってこなかったが、DENONさんの製品は素晴らしすぎますな。

DENONサウンドは筋肉質

かくしてセッティングが終わったのでいざ再生。

こけら落としには、ドルビーアトモス音声の品質が高いとされているBlu-rayソフト『アリー/スター誕生』(2018年)を選んだ。

いざ視聴すると、これまで使ってきたSONY製とは音の味付けが全く違う。重低音が常にガツンと効いており、映画館で見るサウンドに近い。

繊細さや表現の正確性よりも、「映画を見た!」という迫力重視なのがDENONの方向性なのだろう。俳優が発する些細な言葉にすら重みと深みを感じる。

余談だが、オーディオメーカーのMarantz(マランツ)とDENONは同資本なのだが、ブランドを統合せず同一カテゴリーに対して別々の製品ラインナップを持っているのは、各社に個性があって交わることができないからなのだろう。

それほどまでにDENONの音は異質に感じた。

これは良くも悪くもで、ホームシアターでこれまでに味わったことのないほどの迫力がある一方、耳が慣れるまでは不自然さも感じ続けるだろう。

そしてドルビーアトモスの効果だが、ライブなどの空間表現は確かにすごい。

ただし通常の5.1ch編成と大きく違うかと言うと、残念ながらそれほどでもなかった。

私は天井スピーカーの音に気を配っているのでまだ違いが分かったが、何も知らない人が聞いてわかるかと言うと、それほどはっきりとした違いもない。

ドルビーアトモスは対応している方が幾ばくかはいいが、わざわざアンプを買い替えたり、特別な工事をするほどのものでもないなと思った。

天井スピーカーを設置してもこの程度なら、イネーブルド・スピーカーならばやらなくてもいいんじゃないかと思ったりで。

最後にネガティブなことを書いてしまったが、DENONのアンプにはアトモス抜きでも満足しているので、決して悪い買い物ではなかった。

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