ジャッジ・ドレッド(2012年)【良作】硬派なデカレンジャー(ネタバレなし・感想・解説)

(2012年 イギリス・南ア・アメリカ・インド)
スタ版から製作規模は大きく縮小したものの、英国らしいどんよりとした空気やドレッドのダークヒーローぶりが光る好編に仕上がっていました。圧倒的劣勢なのに1ミリ秒たりとも動じない堂々たる態度に、悪党に対する啖呵の切り方など、かっこよさ全開です。

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あらすじ

核戦争により荒廃したアメリカでは、メガシティと呼ばれる大都市に人々が密集して暮らしていた。メガシティの治安を守っているのはジャッジと呼ばれる法執行機関であり、中でもドレッドは犯罪者から恐れられる存在だった。ある日、ドレッドは殺人事件の捜査のために超高層マンションに足を踏み入れたが、そこはママと呼ばれる犯罪者が支配する巨大な要塞だった。

スタッフ・キャスト

原作国イギリスのスタッフが集結

原作コミック『ジャッジ・ドレッド』はイギリスの作品ですが、これをアメリカ人に撮らせた結果、カラっとしたアクション大作になったことが1995年版の敗因の一つでした。そこで今回はイギリス出身のスタッフで固められています。

  • 監督:ピート・トラヴィス(マンチェスター出身)
  • 脚本:アレックス・ガーランド(ロンドン出身)
  • 製作:アンドリュー・マクドナルド(グラスゴー出身)
  • 撮影:アンソニー・ドッド・マントル(オックスフォードシャー出身)
  • 編集:マーク・エカズリー(マンチェスター出身)

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エオメルvsサーセイ

ドレッド役はニュージーランド出身のカール・アーヴァン。この人は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの武闘派エオメル役で知られる人です。

ママと呼ばれる敵のボス役はイギリス出身のレナ・ヘディ。『ゲーム・オブ・スローンズ』で根性の腐り切った摂政太后サーセイ・ラニスターを演じた人です。

荒廃した未来を舞台に、エオメルvsサーセイが実現したのです。

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感想

無駄を削ったシンプルなリブート

制度論や生命倫理まで織り込んで収集がつかなくなったスタローン版の反省からか、本作は舞台も物語も徹底的にシンプルにまとめられています。無駄を削りすぎて『ザ・レイド』とまったく同じ話になってしまったのはご愛嬌ですが、アクション映画のアプローチとしてはこれが正解。スタローン版と比較すると格段に面白くなっています。

とはいえ、ただのソリッドなアクション映画というわけではなく、『エクス・マキナ』のアレックス・ガーランドが脚本を書いたことでハリウッド大作とは一味も二味も違う雰囲気が出来上がったし、キャラ設定やセリフ回し等の基本的な部分もかなりしっかりとしています。あらすじだけを見るとただのアクション映画なのに、実際の映画はそれを越えるものに見せているのです。

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とにかくかっこいいドレッド

圧倒的に不利な状況に置かれても慌てず騒がず冷静に状況を見極めながら行動を決定し、クールに振る舞いながらも内面には激しい怒りを煮えたぎらせている。本作のドレッドは実に理想的なダークヒーローぶりを見せています。

特に燃えたのはママと初めて相まみえる場面であり、ガトリング掃射を受けた直後、現場に足を踏み入れてきたママの組織のNo.2をひっ捕まえてマンションの吹き抜けから放り投げ、向かい側で見ているママにちらりと視線を向けると、ゆっくりと煙の中に消えていくのですが、普通なら戦意喪失しているはずの状況において見せるこの余裕。また、一時的に護衛のついていない状態となったママをここぞとばかりに攻撃しに行くのではなく、「今からそっち行くから、首を洗って待っとけよ」とあえて威圧のみに留める辺りが最高にかっこいいのです。

イギリスのデカレンジャー

相棒を人質にとられるに至り、「俺こそが法だ。敵方についた者は容赦なく処刑する」と数万人の住民に対してたった一人で宣戦布告をするのですが、その時にドレッドは「ジャッジメントタ~イム」と特捜戦隊デカレンジャーと同じセリフを発します。そういえば、捜査→逮捕→処刑までを引き受けているヒーローって、デカレンジャーと同じですよね。って、ジャッジ・ドレッドの方がはるかに歴史ある作品なので、デカレンジャーがジャッジ・ドレッドに似てしまっているだけなんですが。

ドレッド
デカレッド

バッテンをイメージしたマスクは、ドレッドとデカレッドで何となく共通していますね。

ドレッドの敵として不足のないママ

彼に対する大悪党「ママ」もよく作り込まれていて、ドレッドの敵として十分な存在感や威圧感を放っています。女性である以上は力の行使で今の地位にまで上り詰めたのではなく、異常なまでに座った肝っ玉とビジネスセンス、そして圧倒的な組織掌握力で街のチンピラを実績で納得させながら組織化していったのだろうなという背景が読み取れるのですが、個人の力で道を切り開くドレッドに対して、組織力でこれを抑え込もうとするママという構図はよく考えられています。

また、これを演じるのは『ゲーム・オブ・スローンズ』のサーセイ・ラニスター役で知られるレナ・ヘディですが、サーセイと同様に下々の者を納得させるだけの悪の大物ぶりを披露しています。

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予算不足による弱みもうかがえる

残念だったのは、本作を象徴するような印象的な見せ場を作れなかったという点です。アクション映画としてのアベレージは高いのですが、「これは!」という突出した見せ場がなかったので、やや物足りなさを感じてしまいました。

ただし、これは本作のプロダクションを考えれば仕方のない部分でもあって、スタローン版の大失敗の影響からか本企画についても映画会社は投資に慎重モードとなっており、コミック原作映画としては最低レベルの予算しか与えられていなかったという背景もあります。

≪前回の映画化≫
ジャッジ・ドレッド(1995年)【凡作】悪くはないです、本当に