エンド・オブ・デイズ【凡作】サタンが間抜けすぎる(ネタバレあり・感想・解説)

(1999年 アメリカ)
シュワとキリスト教団が死闘を繰り広げる前半部分はなかなか面白く、言われるほど悪い映画でもないのですが、サタンが本格的に動き始めてからはネタ映画になります。

あらすじ

民間警備会社に勤めるジェリコは金融マンの警護を引き受けるが、その警護中にスナイパーによる襲撃を受ける。追跡の末に確保したスナイパーは修道士であり、「ミレニアムが終わり、サタンが復活する」との言葉を残した。独自捜査によりクリスティーン・ヨークという若い女性がターゲットであることを掴んだジェリコはクリスティーンの住所へと向かうが、彼女は修道士集団に襲われている最中だった。

スタッフ・キャスト

トム・クルーズ主演からシュワルツェネッガー主演へ

本作の脚本を書いたのは『エアフォース・ワン』(1997年)のアンドリュー・W・マーロウで、『エアフォース・ワン』と同じく独立系のビーコン・ピクチャーズが製作。当初の主演に想定されていたのはトム・クルーズでした。

しかしトムに断られたことから新たな主演スターを探しが始まったのですが、丁度その頃のシュワには仕事がありませんでした。1997年に心臓弁を取り換える大手術を行ったために、製作費のかかる大作の主演に健康リスクのあるシュワを起用することをどのスタジオも敬遠するようになったためです。しかし俳優復帰したいシュワは自分が出演できる企画を探しており、両者の都合が一致したことからシュワルツェネッガー主演が決定しました。

また共演者としてはリヴ・タイラー、ケイト・ウィンスレットが考えられていたのですが、いずれも断られて”Niagara Niagara”(1997年)でヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞した新進の女優ロビン・タニーに落ち着きました。

トム・クルーズ×リヴ・タイラーだったかもしれない企画がシュワルツェネッガー×ロビン・タニー、随分と変わったものです。

気鋭のビジュアル派から職人監督へ

当初、監督にはドイツ人のマーカス・ニスペルが起用されていました。NYで学んだ後に母国でMTVやCMディレクターとして活躍し、本作が長編監督デビュー作になる予定でした。しかし映画監督経験がなかったにも関わらず「コッポラやキューブリックに対するのと同じ態度で私に接しないのなら、きみたちと仕事をする気はない」などとスタジオとの打ち合わせに際して過大な要求をしたことから、監督を下ろされました。

急遽必要になった後任としては『カプリコン・1』(1978年)、『アウトランド』(1981年)の職人監督ピーター・ハイアムズが選ばれました。シュワからの相談を受けたジェームズ・キャメロンによる推薦だったようなのですが、混乱した現場を立て直すためには新人監督のフレッシュな映像感覚よりも、職人監督の器用さを優先との考えからの人選だったと思われます。

今回下ろされたニスペルは、後に『コナン・ザ・グレート』(1982年)のリメイク『コナン・ザ・バーバリアン』(2011年)を監督することになります。

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感想

前半部分はそれなりに面白い

サタンの子を宿すと予言されているクリスティーンを保護しているのが悪魔崇拝者達で、クリスティーンを殺そうとするのがキリスト教側であるという捻じれた構図があって、そこに絡んでくるのが家族に起きた不幸が原因で神を信じなくなった元刑事ジェリコ。悪魔崇拝者・キリスト教会・無神論者を立てた物語には興味深いものがあります。

実際、中盤まではそれなりに見られます。神父のスナイパーが金融マンを狙撃したことに端を発し、シュワ扮するジェリコは独自に捜査を開始するのですが、点と点を線で繋ぎながらの捜査はなかなか面白く、ピリっとした大人のエンターテイメントを得意としてきたピーター・ハイアムズの手腕が活きています。

見せ場の出来も悪くはなく、スナイパーをヘリで追跡する序盤の見せ場は迫力とスピード感に溢れているし、クリスティーン宅で始まるキリスト教団vsジェリコの銃撃戦もかなりの見応えでした。

その合間に挿入されるオカルト描写にもなかなか気合が入っていて、クリスティーンに絡んできた気味の悪いホームレスが陶器のように砕け散ったり、食べようとしたリンゴの断面が一瞬地獄絵図のようになったりと、ショック描写を見せるタイミングや、その内容の創意工夫には目を見張るものがありました。

強いのに間抜けなサタン

ただし、ガブリエル・バーン扮するサタンが本格的に活動するようになってからは途端にクォリティが落ちます。

1999年12月31日の深夜にクリスティーンと結ばれることでサタンは自分の子をこの世に産み落とすことができるとのことで、サタンはクリスティーンを追いかけています。このサタン、パンチ一発で人間の頭蓋骨を砕いたり、異常な性的魅力があって女性達を虜にしたり、おしっこが引火性で大爆発を起こしたり(おかしな設定ですが、本当にそういう描写があります)と、キャラクターとしてのスペックはやたら高いのですが、ジェリコとクリスティーンには何度も何度も逃げられ続けます。

すでにジェリコを追い込んでいるのにダラダラと話しているうちに不意を突かれたり、走って追いつけばいいものをチンタラ歩いているせいで巻かれたりと、ジェリコとの戦力差を埋めるためにやたらと手を抜いて戦っている状態となっているのです。その結果、戦いからは緊張感が失われてしまいました。

こんなことならば、サタンは幻覚などを引き起こすことこそできるものの、現実世界ではまだ力を振るうことができず、ジェリコとの戦いは悪魔崇拝者達にやらせているという構図の方がすっきりしたと思います。

シュワの演技が追い付いていない

主人公ジェリコの設定はこうです。かつてはNY市警の刑事だったが、家に入った暴漢に妻と娘を惨殺されたために世捨て人同然の状態となり、現在は民間警備会社で金になる要人警護を引き受けています。

私生活は荒れており、寝起きで自分の頭に銃を突き付けて引き金を引くかどうか悩むなど、『リーサル・ウェポン』(1987年)のマーティン・リッグスからの影響が多分に見られます。そして中盤では「俺に協力すれば妻子との生活を取り戻してやる」と悪魔の誘惑を受けます。ジェリコの信仰心や、彼の魂の救済も本作の大きなテーマだったのです。

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しかしメル・ギブソンほどの演技力のないシュワではジェリコのキャラクターを表現しきれておらず、冒頭で銃を頭に突き付ける場面からして、彼の心の傷の深さというものが見て取れませんでした。

悪魔の誘惑を受ける場面でもその葛藤が伝わってこなかったし、クライマックスでようやく神にすがろうとする場面でも、信仰を取り戻したことの感動はありませんでした。

まとめ

世評ほど悪い映画でもなくて、かけた製作費をきっちり見せ場に反映するなどピーター・ハイアムズ監督はアクション大作として手堅くまとめています。ただしサタンの圧倒的な戦力を持て余した結果、敵が手抜きをしているようにしか見えなかったために緊張感を欠いたり、シュワの演技に説得力がなかったために主人公の魂の救済の物語になりえていなかったりと、節々に問題はあるので良い映画とも言えませんが。

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