【良作】ゴーストバスターズ_80年代らしいおおらかさ(ネタバレあり・感想・解説)

SF・ファンタジー
SF・ファンタジー

(1984年 アメリカ)
設定やドラマは適当に流されていき、映画としての出来は決して良くはないと思う。ただし80年代特有の軽い空気がうまく取り込まれており、嫌いにはなれない魅力を持っている。

作品解説

突貫工事で作られた映画

本作のオリジナル脚本を書いたのは、テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ(以下、SNL)」で人気を博していたコメディアンのダン・エイクロイド。

エイクロイドの曽祖父は高名な心霊研究家であり、祖父も母も心霊現象に詳しかったことから、悪霊と戦う作業員の話を思いつく。

ただしオリジナル脚本の設定は未来であり、悪霊退治という職業が一般化した世界線上において、銀河を飛び回るお話だった。

エイクロイドはSNLでコンビを組み、共に主演した『ブルース・ブラザーズ』(1982年)も大ヒットしたジョン・ベルーシと、同じくSNL出身であり、『大逆転』(1983年)で共演したエディ・マーフィーと3人で映画を撮るつもりでいた。

しかしベルーシは1982年に麻薬のオーバードーズで死亡。

そしてエディ・マーフィーは、シルベスター・スタローンが降板した『ビバリーヒルズ・コップ』(1984年)への出演を優先して、本作からは去っていった。

脚本もまた大幅に手を入れられることになる。アイヴァン・ライトマン監督によるとオリジナル脚本は映像化に2億ドルかかる内容だったらしく(『スターウォーズ/ジェダイの復讐』でも製作費は3200万ドル程度)、そのまま製作することは困難だった。

そこでライトマンは舞台を現代のNYに変更し、ゴーストバスターズを起業する物語を思いつく。また当初はホラーが指向された内容を軽いコメディに改めた。

かくしてライトマンより2500~3000万ドルで製作可能との報告が上げられたことから、コロンビア映画はゴーサインを出す。1984年6月には公開するようにとの附帯条件つきで。

その時点で決定稿がなかったにも関わらず、プロジェクトには13か月しかない。突貫作業を余儀なくされる現場であり、すべてが”巻き”で作られていった。

コメディ映画史上最大のヒット作

そんな製作背景もあってコロンビア映画は本作にさほど期待していなかったのだが、全米公開されるや7週連続1位、16週に渡ってトップ3に留まるという凄まじいヒットとなった。

全米トータルグロスは2億2900万ドルにのぼり、史上最も稼いだコメディ映画となった。

感想

軽くて浅いが憎めない魅力

かつては地上波での放送頻度も高く、子供の頃に何度も見てはいるのだが、コメディ映画としてもアクション映画としても突出したものを感じず、さほど思い入れのある映画ではなかった。

Amazonプライムで配信開始となった最新作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』(2022年)の鑑賞にあたって過去作品も見返すことにしたのだが、感想は昔と変わらず。

ドラマはかなり適当で、コメディアン出身者達の個のパフォーマンスに頼り切った状態であり、各キャラクターはまったく作りこまれていない。実際、ほとんどのセリフは現場でのアドリブだったらしい。

4人目のメンバー ウィントン(アーニー・ハドソン)に至っては、これまで何をしてきた男なのか、なぜゴーストバスターズに入ろうと思ったのかの説明すらなく、気が付けば見せ場に参加しているような状態である。

それはヒロインポジションにいるディナ(シガニー・ウィーバー)も同様で、NY中心部の高級マンションに住むヴィオラ奏者という以外に、彼女の人となりの情報はない。

シガニー・ウィーバーという華も実力もある人が演じたおかげで何とか帳尻は合っているが、もしも何の変哲もない美人女優が演じていれば、本当に目も当てられないことになっただろう。

後年、コロンビア映画(現ソニーピクチャーズ)の思惑とは裏腹に続編を思うように量産できなかったのも、繰り返しの作劇に耐えるだけの奥行きが設定にもキャラクターにもなかったためではないかと思う。

じゃあそれが致命的な欠点なのかというと、そういうわけでもない。

これが本作の絶妙なところなんだけど、適度にゆるく仕切られた物語の中で、上手なコメディアンと俳優がフリーセッションをしているような楽しさがある。

何事にも斜めに構える皮肉屋のピーター(ビル・マーレイ)、まっすぐだがズレているレイ(ダン・エイクロイド)、堅物研究者イゴン(ハロルド・ライミス)の変人軍団に、常人のディナ(シガニー・ウィーバー)が絡んでいく。

このやり取りが楽しいのである。

真剣に作られたおふざけ映画

またVFXが決して手抜きをしていないという辺りも良い。

コメディ映画だからという理由で見せ場に手抜きをしている映画は多くあるが(思うように予算がつかなかっただけかもしれないが)、本作の場合は直球勝負のSF大作並みの視覚効果を用いることで、おふざけ映画なのに必要なところはちゃんと引き締まっている。

かといってドラマと見せ場が遊離しているわけでもなく、クライマックスではマシュマロマンを登場させるなど、笑いとSFの高度なハイブリッドに成功している。

キャメロンやルーカスのように力んで作った感じでもなく、さらっと凄いものを見せてくる辺りにセンスを感じる。

センスと言えば、ロゴマークや主題歌など、ゴーストバスターズのアイコンがいちいちキャッチーな点も見逃せない。

もともと製作者たちはヒューイ・ルイス&ザ・ニュースに主題歌を依頼するつもりだったのだが、彼らは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)に行ってしまったので、かなりギリギリのところでレイ・パーカー・Jr.が選ばれた。

そしてパーカー・Jr.はたったの2日の突貫でこの主題歌を作ったらしく、適当っちゃ適当なんだけど、こちらの即興性も良い方向に転んでいる。

総じて、クリエイター達がのびのびとやった結果が最良の形で出たような映画であり、傑作というわけではないが、センスの塊なので感心せざるを得ない部分は多い。そういう映画。

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