【地上波】2020年5月の午後ローは火薬と銃弾の大フィーバー

雑談
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5月は実に午後ローらしいラインナップ

午後のロードショー(略して午後ロー)の来月2020年5月分の放送予定が早くもテレ東HPで公開されていたのですが、そのラインナップにときめいてしまいました。

2020/5/1イレイザー
2020/5/5武士の家計簿
2020/5/6殿、利息でござる!
2020/5/7ガントレット
2020/5/8ゴリラ
2020/5/12マリオネット・ゲーム
2020/5/13ロマンシング・ストーン/秘宝の谷
2020/5/14タイトロープ
2020/5/15トータル・リコール
2020/5/19ドメスティック・フィアー
2020/5/20コロンビアーナ
2020/5/21アウトロー
2020/5/22ランボー/怒りの脱出
2020/5/26ユナイテッド93
2020/5/27フェア・ゲーム
2020/5/28カットスロート・アイランド
2020/5/29ランボー3/怒りのアフガン
https://www.tv-tokyo.co.jp/telecine/oa_afr_load/

5月は月曜日の放送枠がなくなり週4になってしまうことは残念なのですが、それを補って余りあるほどの充実したラインナップ。

シュワ(『イレイザー』『ゴリラ』『トータル・リコール』)、スタ(『ランボー/怒りの脱出』『ランボー/怒りのアフガン』)、イーストウッド(『ガントレット』『タイトロープ』)とアクション映画の名手3名が日替わり定食のように出てくるサービス精神がまず嬉しくなります。

加えて、リュック・ベッソン(『コロンビアーナ』)、ジョエル・シルバー(『フェア・ゲーム』)、マリオ・カサール(『カットスロート・アイランド』)と、アクションの名プロデューサー達の作品も登場します。

午後ローらしいと思うのが、『トータル・リコール』以外は各人物の代表作ではないというところですね。ロードショー時に見てビミョーだった映画の再見の場であることも午後ローの意義なのですが、2020年5月は、まさにそういうところを突いたラインナップとなっています。

あれ?褒めていないように聞こえますね。

でも、ほどほどの期待値の中で見て、さほど面白いと思っていなかった映画の良い点を見つけることって、それはそれで映画の鑑賞力を高めるのだと思います。午後ローは映画に対するポジティブな視点を養うために絶好の場だと思うんですね。

そして2020年5月は、まさに午後ローらしいラインナップになっています。最近では頑張って名作や直近のヒット作なども放送してくれますが、放っとくと一生再見しなかったであろう懐かしの映画と再会する場も午後ローなのです。

念のため、午後ローとは

『午後のロードショー』(ごごのロードショー)は、テレビ東京の関東ローカル番組で、月 – 金曜日の13:35 – 15:40(JST、以下略)の番組枠「午後エンタ」(後述)内で放送されている映画番組である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%88%E5%BE%8C%E3%81%AE%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC

注目作品はこれだ!

ゴリラ(5月8日放送予定)

シュワルツェネッガー出演作の中でも特に微妙な部類に入る作品。

『トータル・リコール』の膨大な制作費捻出のため、手っ取り早く稼ぐ手段として、ディノ・デ・ラウレンティスが人気上昇中だったシュワ主演で製作した作品なので、当事者の誰も本気で作っていないわけです。

ただし『続・夕陽のガンマン』(1966年)のルチアーノ・ヴンチェンゾーニと『ウエスタン』(1968年)のセルジオ・ドナティが脚本を書いているのでまったくダメな映画というわけでもなく、現実に疲れ、正義感を失いつつある元捜査官が、再び大義のために立ち上がる物語としては、まぁそれなりに考えられています。

そんな感じでダメな部分と良い部分とがおかしなバランスで混ざり合った珍品なのですが、地上波版の吹替で見ると玄田哲章さんの安定感もあって、意外と抵抗なく見られたりします。

オリジナル言語で見るよりもつまらなさが大幅に緩和する作品として、本作の吹替版をお楽しみください。

トータル・リコール(5月15日放送予定)

上記『ゴリラ』(1986年)は『トータル・リコール』の製作費捻出のための映画と書きましたが、ラウレンティスはパトリック・スウェイジを主演に考えており、当初シュワはキャスティング候補ではありませんでした。

しかし『ゴリラ』(1986年)が製作費を回収できないほどの興行成績に留まったこともあってラウレンティスのプロダクションは資金難に陥り、ラウレンティス版『トータル・リコール』の製作は中断されました。

これを好機と見たシュワルツェネッガーは、『レッドブル』(1988年)で組んだプロデューサーのマリオ・カサールに声をかけて『トータル・リコール』の権利を取得させ、自身の主演作として脚本から監督選びまでの全権限を持って本作の製作に当たりました。

一見すると関係なさそうな『ゴリラ』と『トータル・リコール』はこうした因果で結ばれており、かつて映画界を席巻した大物プロデューサーの凋落と、苦労しながらもキャリアを上昇気流に乗せ、まさに天下を獲ろうとしていたアクションスターのキャリアが交錯したポイントに両作はありました。

なおソフト版の吹替えは『ちびまる子ちゃん』のお父さんでお馴染みの屋良有作さんで、この方は『コマンドー』(1985年)の水曜ロードショー版や『ツインズ』(1988年)のソフト版とシュワルツェネッガー吹替を何度かやられているのですが、やはり我々にとってお馴染みなのは日曜洋画劇場で放送された玄田哲章版です。

この玄田哲章版は2019年に発売された角川書店版のBlu-rayには収録されているのですが、ソフトの供給量が少ないためかこの角川版が現在まぁまぁ高値になっており(Amazonで4,980円)、このバージョンをタダで見られる機会として今回の放送は有難いのです。

カットスロート・アイランド(5月28日放送予定)

かつてアクション映画界を席巻したカロルコ・ピクチャーズ最後の作品にして、製作費1億ドルに対して世界興収が1000万ドルに留まり、史上最大の赤字映画としてギネス記録にも認定されたという、何かと不名誉な話題で言及されることの多い映画です。

確かにこの映画の出来は芳しくありません。宝探しの映画なのにワクワク感がないし、父の海賊事業を承継した娘という面白い切り口が前半で提示されたのに、後半では組織関係なく超人的な個人が問題を解決する話になったりするのでガッカリな点が多いのですが、製作会社を潰したほどの豪勢な見せ場には、それら欠点を補って余りあるほどの魅力があります。

実物大が3隻建造されたという海賊船は驚異の完成度だし、2隻の海賊船が至近距離で向かい合って砲撃し合う場面には血がたぎりました。そして帆船を一瞬で木っ端みじんに破壊するクライマックスの爆破はすさまじい迫力で、今でも映画史上No.1の爆破場面はこれだと思っています。

ランボー/怒りのアフガン(5月29日放送予定)

『1』『2』と興行成績が右肩上がりだったランボーシリーズに味噌を付けた不名誉な第3弾。

…というのが本作に対する世間的な評価なのですが、現在の目で見るとアクション映画としては結構タイトでよく出来ています。

公開時には、大ヒットした『2』の反動で期待値が上がり過ぎていたことや、公開直前にソ連がアフガンから撤退して完全に時代から取り残された映画になってしまったこと、また興行成績が低下し始めたスタローンがネタキャラ化し始めたことから、本作は不幸にも槍玉にあげられやすい作品になってしまったのです。

しかし本編はソ連に拘束されたトラウトマン大佐を救出するというシリーズ中もっともシンプルな内容になっているし、当時としては史上最高額の製作費を注ぎ込んだ大アクションのおかげで、実に見ごたえのある作品となっています。

何せ、本作に登場するソ連のヘリや戦車は中東戦争でイスラエル軍が鹵獲した本物ですからね。説得力が違います。

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