【駄作】ハリウッド的殺人事件_ハリソンさん、スベりまくる(ネタバレあり・感想・解説)

クライムアクション
クライムアクション

(2003年 アメリカ)
刑事ものとしてもサスペンスとしてもコメディとしても中途半端で、全部一緒にやろうとして何一つモノにならなかったという作品であり、暇つぶしであっても見るんじゃなかったと後悔した。

感想

駄作・オブ・駄作

公開当時からめちゃくちゃに評判の悪い映画だったのでずっと触れてこなかった映画だが、ここんところ世間的に酷いと言われている映画を見ることにハマっていて(どんな趣味だ…)、本作がNetflixに上がっているのを発見したので鑑賞した。

先日見た『ショーガール』(1995年)は言われるほど酷くはないと思ったが、本作はシンプルに駄作。

一発アイデアをエンタメに昇華できていないし、サブプロットが多すぎてメインプロットが埋没している。そして何より、ドタバタコメディを志向しているのに全く笑えない。

売り出し中のヒップホップグループがハリウッドのクラブで銃撃され、殺人課のベテラン ギャビラン刑事(ハリソン・フォード)と若手のコールデン刑事(ジョシュ・ハートネット)のコンビが、その捜査に当たる。

とまぁメインプロットはバディ刑事ものとして割かしオーソドックスなんだけど、二人の刑事はそれぞれに副業を持っており、彼らの副業と殺人捜査がそのうち絡みあってくるというのが、本作の新奇性となる。

刑事の副業というアイデアは、ロン・シェルトン監督の前作『ダーク・スティール』(2002年)でコンサルタントを務めた元LA市警刑事ロバート・ソウザからもたらされたものであり、ソウザ自身も不動産業を副業としていたらしい。

刑事は残業の振り替えなどで休日が多いことから、空き時間で小遣い稼ぎができるようだ。

本作の主人公ギャビラン刑事は不動産仲介業、コールデン刑事はヨガのインストラクターとしても活動しており、副業用の携帯電話から気の抜けた着メロが鳴ると、それまでのタフガイぶりからは一転して民間業者のような口ぶりになる。

男の中の男ハリソン・フォードと、イケメン俳優の筆頭格だったジョシュ・ハートネットが、ただの業者のような喋り方をするとさぞかし面白かろうという設計があったのだろうが、これが全然笑えないのが本作の致命傷である。

ハリソン・フォードがスベりまくっている様子を見ると、見ているこちらまでが気まずい気分になってくる。大御所の羽目外しっぷりでは確実に笑いを取ってほしいところだった。

また、ギャビラン刑事は内務捜査課から目をつけられていたり、コールデン刑事はヨガインストラクターであると同時に俳優志望でもあったり、同じく刑事だった父を職務中に亡くしたことでのトラウマを負っていたりと、無駄な枝葉が多すぎる。

次第にメインプロットは脇に追いやられ、サブプロットでドタバタし始めるんだけど、この辺りになってくるといよいよ何の映画を見ているんだかわからなくなってくる。

そうして終盤で思い出したように披露される殺人事件の真相にも意外性がなく、何も良いところのない映画だった。こういうのを真の駄作と言うのだろう。駄作・オブ・駄作。

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