【4Kプロジェクター】BenQ HT2550を買ってみた【別格の鮮やかさ】

雑談
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これまで使ってきたJVC製のプロジェクターを壊してしまい、急遽、新しいプロジェクターを買った。台湾メーカーBenQの4Kプロジェクター HT2550であるが、その設置や性能について、備忘的にまとめてみた。

先代プロジェクターを壊してしまう

我が家のホームシアターで稼働しているのは、中古で購入したDLA-X75Rだったのは以前の記事でも触れた通り。

2012年冬モデルという古い機種ではあるが、定価93万円という高級機だけあってその表現力は最近の有機ELテレビをも超えるほどであり、こいつで映画を見られることが本当に楽しかった。

しかし、私はやらかしてしまったのである。

我が家は3階建ての一軒家で、一階に私のシアタールーム、三階に子供部屋があったのだが、それまで兄弟と同室だった長男に個室を与えることになったことから家全体の動線を変更することとした。

で、私のシアタールームは三階へ、子供部屋は一階へという大移動となったのだが、これがマズかった。

DLA-X75Rは15kg以上もある巨体で、DIYで天井付近に作り付けた棚に設置していた。

で、新しい部屋にも同じくDIYで棚を新設して、そこに移設しようとしたのだが、この手の作業に慣れきったことで気の緩みが生じ、私は一人でプロジェクターの設置作業をしてしまったのである。

一瞬、クッションとして床に布団を敷いておこうかとも思ったのだが、「ちゃちゃっと終わらせたい」という気持ちの方が勝ってしまい、安全策も取らず、この巨体を一人で天井付近の高さにまで持ち上げてしまった。

15kgなんて成人男性なら軽く持ち上げられる重さだという認識もあったのだが、ダンベルのようなものとこれだけ大きな機械とでは、実のところ事情は全く異なる。

物体の重心に力点を置いて支えるなどの動きを取りづらい。特に一人での作業となると思った位置に即座に手を回せないなどの支障が大きく、体感的な重量は15kgどころではなかった。

そして胸から上に物体が移動した瞬間に、人体とは驚くほど力が入らなくなるものであり、踏み台に上がっての作業であることから体全体をずらして重心位置を変えるという動きも取れなかったこともあって、腕力だけでは支えきれなくなった。

で、プロジェクターの重量を作りつけの棚の一角に預けたのだが、すべての負荷が一点にかかったことで棚が壊れ、プロジェクターが天井の高さから落下してしまったのである。

で、豪快に落下した後のプロジェクターがこちら。

DLA-X75Rの亡骸

マイケル・ベイの映画にでも出たのかというほどの破損ぶりである。

『ダークナイト』(2008年)の撮影中にIMAXカメラを壊してしまった時のクリストファー・ノーランの心境はこんな感じだったのだろうか。ノーランの場合はワーナーの金で映画を作っているので、己の懐は痛んでいないわけだが。

なぜ一人で作業してしまったのか、なぜクッションを敷いておかなかったのか、凄まじい勢いで後悔が押し寄せたが、覆水盆に返らずとはこのことである。

ニコラス・ケイジが2分後の未来を見られる『NEXT-ネクスト-』(2007年)を見た時には「そんな微妙な能力が何の役に立つんだよ、バッカで」と思っていたが、この時ほどその能力が欲しいと思ったことはない。

が、現実の世界はフィリップ・K・ディック原作ではないので、もうどうにもならんわけである。

昨年8月に買ったばかりのばかりのプロジェクターを7か月足らずで壊した、フローリングも傷つけてしまった。

嫁からはおねしょをした幼児並みに怒られ、私の心の中では空耳アワーの名作「♪母ちゃ~ん許して~」が繰り返し流れ続けた。

ホームシアター・マスト・ゴー・オン!

なのであるが、プロジェクター設置を考慮しての部屋作りはすでに進んでおり、今さらプロジェクターなし生活に戻ることもできない。家族から呆れられようが反対されようが、後継機は必須。

ホームシアター・マスト・ゴー・オン!なのである。

で、新たな相棒選びを始めたのだが、先代の巨体に家庭内での抗議が殺到したことから、DLA-X75Rを始めとしたLCOS方式の機種は、さすがにもう買っちゃいけない雰囲気になった(プロジェクター方式の違いはこちらをご覧になっていただきたい)。

なるべく軽量な機種となるとDLP方式一択となり、かといって新品を買うと怒られそうなので中古を探すことにして、例によってメルカリやヤフオク!を漁った。

が、DLP方式のプロジェクターの代表メーカーであるBenQやViewSonicの4Kモデルは中古であっても大人気で、ランプ使用時間が少ない個体となると、中古であってもさほど値段が下がらない。

値ごろなものが見つからない中で捜索範囲をプロの中古ショップにまで広げると、BenQ HT2550が74,800円(消費税・送料込み)で売られているではないか!

HT2550は2018年に発売されたちょっと前のモデルではあるが、価格コムなどを見る限りは画質の評判が良い。価格はオープンプライスで、販売開始当初の実売価格は20万円弱だった。

2022年現在でも新品は17万円弱であり、なかなか値段の落ちない人気モデルと言える。

それがなんと74,800円。しかもランプ使用時間はたったの159時間で、ほとんど使われていないに等しい。

「ジャストミート!」と往年の福澤朗アナばりに叫んだ私は、迷わず購入ボタンを押した。

安い中古屋さんなのでAmazonのように翌日に届くなんてことはなく、到着まで5日ほどかかったが、気長に待っていれば無事到着。発送が多少遅かったことくらい、特に気にはならなかった。

そして買う時には何の記載もなかったのだが、元箱付きだったので、何だか得した気分になった。

物を大事にするオーナーに買われていたのだろうか、本体にもリモコンにも汚れひとつ付いておらず、背面の保護フィルムは貼られたままだ。

この状態のものが新品の半額近い値段で買えたのはラッキーとしか言いようがない。

部屋に馴染むコンパクトボディ

本体の重量は4.2kgで、同スペックの液晶方式やLCOS方式と比較するとかなりの小柄である。

これだけの軽量なので、設置には中華製プロジェクターにも使用していた安物の天吊り金具で十分だった。その取り付けについてはこちらを参照されたい。

本製品で一つ感心したのは、本体に重心位置が記載されていることである。真ん中からちょっとずれた場所に”GRAVITY”という表記がなされており、そこにアームの中心が来るように金具をセットすれば、取り付け後にも本体が安定するのである。

こうした細かい気づかいのできるプロジェクターはありそうでなく、台湾メーカーであるBenQに日本人以上のおもてなし精神を見た気がした。

で、取り付けた感じがこちら。どんな部屋にも馴染むなかなか良いデザインである。

丸みを帯びたデザインからは、電子戦隊デンジマンの母艦デンジタイガーも思い出したが。

天吊りしたHT2550
デンジタイガーの雄姿。プロジェクターと並ぶ男子の浪漫である

そういえばスーパー戦隊に母艦が出なくなって久しいが、全メカを格納する母艦は少年の憧れであるため、是非とも母艦文化を継承して欲しいものである。

ちょっと話がそれてしまったが、大事なことなので削除はしない。

ちなみに先代DLA-X75Rであるが、そのあまりの威風堂々ぶりに部屋を見せた友人などはちょっと引いていた。「凄いね」という響きの中に「マジかよ」というニュアンスが混じっていたことを私は聞き逃さなかった。

一方HT2550のカジュアルな佇まいからは、事情を知らない人からの共感も得られそうな予感がする。

俳優で例えるならば、DLA-X75Rはドウェイン・ジョンソン、HT2550はティモシー・シャラメである。

分かるよ、分かる。みんなロック様が好きだよね。でも一般人に何がウケるのかは違うのですよ。

もしも異性の気を引きたいという不純な動機も込みでホームシアター導入を考えている方がいれば、この製品はジャストミートである。

妙に凝ったものを無理やり置いたオタク臭さ全開の部屋よりも、こうしたものをポンと置いているカジュアルなお部屋の方が女子受けは良いだろう。多分だけど。

横方向のレンズシフトがないことに注意

ここからプロジェクターの設定を開始したのだが、ちょっと難儀したのが横方向のレンズシフト機能がないことだった。

レンズシフト機能とは、プロジェクター本体を移動させずに画面を前後左右に動かす便利な機能で、これがあると設置場所に係る制約条件があっても、思い通りの場所に画面を投影することが可能になるのだが、本機は横方向のレンズシフトができない。

そのため私が意図した場所から画面が少しずれてしまい、部屋に置いてあるものの場所を変える必要が発生した。

DLA-X75Rのような高級機には当然についていた機能なので、価格差というものを思い知らされた。

画面は素晴らしく明るいが、黒の表現は苦手

設置の次は画質のチェックであるが、まず驚いたのはDLA-X75Rと比較しても異次元と言えるほどの画面の明るさである。部屋のシーリングをつけても画面をはっきりと視認できる。

照明の下でも画面はくっきり

スマホで撮影すると光を検知して自動で明るさが調整されてしまい、部屋は暗めに映っているが、実のところはそこそこ明るい環境下である。それでこの画面は凄い。

部屋を真っ暗にすると眩しく感じるほどで、ここまで照度が高いとは思わなかった。

これまで、日曜の昼間に映画を見る時には雨戸までを締め切っていたのだが、これならカーテンを引くだけでも映画を視聴可能である。この明るさは本当にすごい。家庭用プロジェクターというものの捉え方が根本的に変わるレベルだった。

次に色彩の表現力で、サンプル画面はAmazonプライムの『シン・エヴァンゲリオン』を使用。

HT2550で見たシン・エヴァ。バッキバキの色彩

なんということでしょう!プロジェクターで投影した映像とは思えないほどの発色であり、アニメを見るのであれば、このクラスのDLPプロジェクターは最強と言えるのではなかろうか。

今度は生前のDLA-X75Rの画質と比較してみる。公平を期すため、どちらの機種もCinemaに準ずるモードを使っている。

サンプル画面は『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のUHD。

HT2550
DLA-X75R

全体的にHT2550の方が色彩鮮やかで、特に湖の青の表現力は凄い。

次にナイトシーンの比較。サンプル画面は『ターミネーター2』UHDの1シーンであるが、ここでHT2550の弱点が判明した。

HT2550
DLA-X75R

HT2550の方が明るく見やすいのであるが、本来は暗く沈んでいるべき部分が沈み切っておらず、黒の表現で明らかにDLA-X75Rに負けている。

加えて、人物の肌、バイクの金属感、革ジャンのダメージなどマテリアルの質感表現を不得意としており、DLA-X75Rの驚異的な表現力に及ばない。

やはり高い機種には高いなりの理由があるんだなぁという感じである。

追い打ちをかけるように夜景の比較。サンプル画面は『007/スカイフォール』のBlu-rayである。

HT2550
DLA-X75R

やはり黒の沈み方がDLA-X75Rと比較すると浅いし、全体的なテラテラとした感じも出ていない。

まぁこれが値段相応というやつで、本音を言うとDLA-X75Rの画質の方が好みなのだが、事情が事情なので仕方がない。

HT2550も価格帯を考慮するとかなり善戦しているし、アニメやスポーツを見るのであればHT2550の方に完全に軍配が上がるので、良い買い物をしたとは思う。

また、このスペックとしては最小クラスではないかと言えるほどのコンパクトボディであり、一般家庭での設置が容易である点もメリットとしては大きく、全体としては優れたプロジェクターだと言える。

部屋に大きなプロジェクターを設置する余裕がない、真っ暗にしなくてもカジュアルに大画面を楽しみたいという層には、高級機以上にハマる製品である。

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