【凡作】ジョーズ2_今度はモンスター映画(ネタバレあり・感想・解説)

クリーチャー・メカ

(1979年 アメリカ)
名作の続編の宿命で品質低下は避けられないのですが、言われるほど悪くもなかったという感想です。鮫という脅威に直面した人々を描くパニック映画だった前作に対して、本作は正面切って鮫を描くモンスター映画としてのアプローチとなっており、これはこれで合理的な選択だったと思います。

©Universal Pictures

あらすじ

前作のサメ騒動から3年。ダイバーの失踪事件を捜査するブロディ署長(ロイ・シャイダー)は、サメの仕業であると結論づける。サメの再来を街の政治家達に説明するブロディだが、観光業で成り立つ島の経済に打撃を与えかねないとして、その警告に誰も取り合わない。ただ一人警戒を続けるブロディは、海水浴場に現れた小魚の群れをサメの影だと勘違いして発砲してしまい、警察署を解雇される。

スタッフ・キャスト

監督は『ある日どこかで』のヤノット・シュワルツ

1937年パリ出身。フランスの広告業界での活動の後に、1964年からハリウッドに活動拠点を移しました。

テレビドラマ『刑事コロンボ』(1973年)や『刑事コジャック』(1973年)の演出を手掛け、またホラー映画『燃える昆虫軍団』(1975年)を監督。

『地球最後の男』(1964年)の原作者として知られるSF作家リチャード・マシスンの推薦により監督した『ある日どこかで』(1980年)がコアなファン層からの支持を受ける人気作である一方で、駄作『スーパーガール』(1984年)も監督しているという特殊な人です。

主演のロイ・シャイダーは続投

1932年ニュージャージー州出身。1961年に舞台俳優としてデビューし、1963年に映画デビュー。ウィリアム・フリードキン監督の『フレンチ・コネクション』(1971年)でアカデミー助演男優賞にノミネートされ、その『フレンチ・コネクション』の大ファンであるスピルバーグによって『ジョーズ』(1975年)の主演にキャスティングされました。

宇宙刑事シャイダーの名の由来になった人物。

もともと『ジョーズ』の続編に出演する気はなかったのですが、『ディア・ハンター』(1978年)からの降板騒動(代役はジョン・サヴェージ)でユニバーサルから契約違反を指摘されており、『ジョーズ2』に出るなら許してやるという条件を切られたので、渋々出演を引き受けたという経緯があります。

結果から振り返ると、オスカー受賞作『ディア・ハンター』を蹴って『ジョーズ2』に出演という特異な選択をしたということになります。

前作からの続投スタッフ

  • リチャード・D・ザナック&デヴィッド・ブラウン(製作)
  • カール・ゴッドリーフ(脚本)
  • ジョン・ウィリアムズ(音楽)
  • ジョー・アルヴス(プロダクションデザイン)

作品概要

スピルバーグに監督を断られる

ユニバーサルがまず監督を打診したのは前作の功労者スピルバーグでしたが、前作の撮影が困難を極めたという苦い経験や、前作以上のものを製作することは不可能という判断、加えて『未知との遭遇』(1977年)の撮影が遅れており、本作に携わることがスケジュール的に困難という事情もあって、続投を断られました。

その後『フレンチ・コネクション2』(1975年)のジョン・フランケンハイマーや『栄光への脱出』(1960年)のオットー・プレミンジャーが監督候補として上がったりしつつも、オビー賞受賞歴を持つ舞台演出家ジョン・D・ハンコックで落ち着きました。

ジョン・フランケンハイマー監督作品『ジョーズ2』も見てみたい気もしますが。

最初の監督がクビにされる

こうしてハンコック体制で撮影が始まったのですが、ブロディ署長の妻エレンの役を大きくせよとのユニバーサルからの指示に従わなかったことや(エレンを演じるロレイン・ゲイリーは当時のユニバーサル社長シド・シャインバーグの妻)、現場で解雇した無名女優が実はユニバーサル幹部のガールフレンドだったことなどがあってスタジオとの関係が悪化し、撮影途中でハンコックは解雇されました。

ハンコックの妻ドロシー・トリスタンとハワード・サックラーが共同で執筆した脚本もボツになり、前作も脚色したカール・ゴッドリーフによる全面的な書き換えも決定。

ハンコック版の脚本では、前作での鮫騒動の影響で観光収入が途絶え、アミティはゴーストタウン同然の状態。政治家達はマフィアの資金を使ってのリゾート開発に街の再起をかけており、もはや引くに引けない状況で再び鮫騒動が起こるという内容だったようです。これはこれで面白かったんじゃないかと思います。

ハンコックはすでに1か月の撮影を行っていたものの、最終的に作品に使われたのはたったの2カットだけでした。

後任監督と主演俳優の関係が最悪

その数週間後に雇われたのが『燃える昆虫軍団』(1975年)のヤノット・シュワルツでした。本作のプロダクションデザイナーであるジョー・アルヴス(後に『ジョーズ3』を監督)による推薦だったと言われています。

混乱した現場の立て直しがシュワルツにとって最大のミッションであり、彼はベストを目指すのではなく、「この状況でできる限りのことを」という現実的な目標設定をしていました。

監督のそんな姿勢が、ウィリアム・フリードキンやスティーヴン・スピルバーグといった逆境をモノともしない異常な天才監督たちと仕事をしてきた主演のロイ・シャイダーの癇に障ったのか、プロデューサーのデヴィッド・ブラウンが間を取り持たねばならないほど二人の関係性は最悪なものだったようです。

ユニバーサル史上最高額の製作費(当時)

前作の大ヒットによって製作費がふんだんにかけられたことや、前述の通りのプロダクションにおける混乱による浪費により、本作の製作費は3000万ドルに及びました。前作の制作費が1000万ドルだったので、実に3倍のコストがかかったということになります。

当時このレベルの金がかけられた映画は他にワーナーの『スーパーマン』(1978年)くらいのもので、ユニバーサルにとっては史上最高額の製作費をかけた映画となりました。

加えて前作とは比較にならないほどマーチャンダイズにも力を入れたことから、広告宣伝費までを含めるととんでもない金額をかけた作品だったことになります。

それでも興行的には大成功

かくして本作は1978年7月に公開。全米興行成績は8,176万ドル、全世界では1億8,784万ドルを稼ぎ出し、史上最も稼いだ続編映画となりました。翌年の『ロッキー2』(1979年)にアッサリ抜かれることにはなるのですが。

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もちろん前作の興行成績(全米で2億6,000万ドル、全世界で4億7,120万ドル)には遠く及ばないのですが、社会現象を巻き起こした前作は数十年に一度の奇跡のようなもので、その再現が可能であるなどとはそもそも誰も思っていませんでした。

その点、3000万ドルの投資に対して1億8千万ドルの稼ぎは充分期待に応えたと言えるものであり、ユニバーサルは大変満足しました。この成功が『3』『4』の製作へとつながっていくのです。

(参考URL)https://www.imdb.com/title/tt0077766/trivia?ref_=tt_trv_trv

感想

今度はモンスター映画

前作はサメロボットが不調で満足な画が撮れなかったこともあって、サメを直接映さずサスペンスで引っ張るというアプローチがとられ、結果的にそれが好評に繋がりました。

しかしヤノット・シュワルツはチョイ見せというアプローチが観客に二度も通用するわけないだろということで、今回はサメをバンバン見せていくというアプローチに切り替えました。予算増額で今回はサメロボットも絶好調だし。

まさに『エイリアン2』(1986年)を先取った発想であり、続編の製作方法としては極めて真っ当だったと言えます。

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今回のサメはシャチを殺し、ヘリコプターにまで襲い掛かるという獰猛ぶり。加えて中盤でボートの大爆発に巻き込まれたことから顔が焼け爛れており、堂々たるヒールぶりを披露します。

本作はパニック映画だった前作とは一線を画したモンスター映画として作られているのです。

ブロディ署長に描くべきドラマが残っていなかった

主人公は前作に引き続きマーティン・ブロディ署長(ロイ・シャイダー)です。

前作ではNYでの生活から逃げ出して田舎の警察署長に収まっていたブロディが、よそ者だ何だと言われながらも島を守るために立ち上がり、変わり者の海洋学者フーバー(リチャード・ドレイファス)や変人レベルの漁師クィント(ロバート・ショー)といった突き抜けた仲間たちからの刺激を受けながら職務をやり遂げるという、大人の成長譚が作品の要となっていました。

しかし続編の宿命で、主人公のドラマは第一作で終わっているわけです。

そこで本作はヨットで海に出てしまった息子達を助けるためにサメとの戦いに挑むお父さんの物語としているのですが、職務をやり遂げる男の物語という前作の社会的なアプローチと比較すると、どうしても退行した印象を受けてしまいます。

島の住人達は学習能力ゼロ

舞台となるアミティの住民達は、相変わらず「サメなんていやしない」「観光に支障が出るだろうが」ばかりで成長が見られません。前作であれほど酷い犠牲を出したのに、まだ言うかという感じです。

挙句に、前作の功労者であるブロディ署長を解雇してしまうのだから、バカと言うか何というか。

若い連中はわざわざヨットで沖に出て行くし、なんでこんなアホ達を助けなきゃいけないんだと思うと、見ている側のテンションも下がります。

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