(1973年 アメリカ)
前作からは一転して、ハリーが「私刑ダメ!絶対!」でダーティではなくなる第二弾。語るべきテーマを見失って作品が迷走しているし、全体的に間延びして面白くない。

ジョン・ミリアスとマイケル・チミノによる脚本
『ダーティハリー』(1971年)の大ヒットを受けて製作された第2弾。
前作でボツにされたテレンス・マリックの草稿を元に、前作を匿名でリライトしたジョン・ミリアスが今度はメインで脚本を執筆。
その後、『デリンジャー』(1973年)での監督デビューが決まったミリアスは現場を去り、後を引き継いだマイケル・チミノが脚本を完成させた。ここでの働きがイーストウッドの目に留まり、チミノはイーストウッドの次回作『サンダーボルト』(1974年)で監督デビューを果たすこととなる。
テレンス・マリック、ジョン・ミリアス、マイケル・チミノという錚々たるメンバーの手を経た脚本の演出を任されたのは、イーストウッドの出世作『ローハイド』以来の付き合いで、『奴らを高く吊るせ!』(1968年)でも組んだテッド・ポスト監督。
ただし撮影の方針を巡ってテッド・ポストとイーストウッドは衝突し、イーストウッドと、第二班監督のバディ・ヴァン・ホーンが多くの場面を演出したと言われている。
ポストは長年イーストウッドに恨みを持ち続け、撮影をめぐる意見の相違がその後の彼のキャリアに悪影響を与えたと主張している(本作以降は映画のオファーがなくなり、古巣のテレビ界に出戻った)。
そんなこんなを経て完成した本作であるが、前作を上回る興行成績をあげ、年間第6位の大ヒットとなった。
演出がグダグダで面白くない
子供の頃から何度か見ているはずなんだけど、なぜか記憶に残っていない第2弾。
Blu-rayでも持っているのだが124分というシリーズ最長の上映時間は長すぎて、見ようとすると100%に近い確率で寝落ちしてしまう。
最近、午後のロードショーでシリーズが一挙放送されたのを録画して見たが、地上波2時間枠(CMを抜くと正味92分程度)だと実にしっくり来たので、やはり本作は長すぎ・テンポ悪すぎなのだろう。
前作のラストで警察バッジを捨てたはずのハリー・キャラハンが、何の断りもなしに復帰している。この時点で「おや?」と思う。
今回の敵は、法の網をすり抜ける悪党を処刑して回る白バイ軍団。
第一作のハリーのコピーのような存在であり、もしかすると彼らはハリーの活躍に少なからず影響を受けて自警団活動を始めたのかもしれない(実際、白バイ軍団がハリーへの敬意を表明する場面がある)。
しかし最終的にハリーと白バイ軍団は対立して空母での決闘に至るのだが、正義の執行方法を巡る議論は深まっていかない。これが本作のウィークポイントだ。
前半にて、ハリーがハイジャック犯に対応するという、一見すると本筋とは無関係なサブプロットが置かれている。
現場にてやむなく犯人を射殺するハリーと、悪党に不意打ちを喰らわせ、犯罪には直接関与していない家族・友人もろとも処刑する白バイ軍団の執行方法の違いを描く意図があったのだろう。
こうして脚本レベルにまで紐解いていくとなかなかよくできた構成だと言えるが(何せジョン・ミリアスとマイケル・チミノが執筆したのだ)、完成した映画ではその対比が有効に機能していない。
上述の通り、演出方法を巡ってテッド・ポスト監督とイーストウッドが現場で対立したのだが、ポストの演出では駄作になるという確信がイーストウッドにはあったのだろう。
実際、ポストの演出にはメリハリがなく、力を入れるべきポイント(正義の執行方法を巡る議論、白バイ軍団とハリーとの間で高まる緊張感etc…)をことごとく外している。
またハリーの上司が白バイ軍団の黒幕だったというどんでん返しも有効には機能しておらず、かなり早い段階で観客がそのからくりに気付いてしまうこともマイナスだった。
総じて面白くはなかったのだが、第一作にあった社会派の空気はまだ残っており、見てはいられる出来にはなっている。
≪ダーティハリー シリーズ≫
【良作】ダーティハリー_素晴らしきアンチヒーロー
【凡作】ダーティハリー2_白バイ軍団vsハリー
【凡作】ダーティハリー3_極左過激派vsハリー
【凡作】ダーティハリー4_ハリーは脇役
【凡作】ダーティハリー5_ダーティじゃないハリー

