【傑作】ミッション:インポッシブル/フォールアウト_ここ数年で最高のアクション(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(2018年 アメリカ)
見せ場には何一つ平凡なものがなく、見せ場と見せ場を繋ぐ物語もスムーズであり、後半に向けて計ったように盛り上がっていく。つまり、理想的なアクション映画ということです。

©Paramount Pictures

IMAXにて鑑賞。なるべく大画面・大音響で見るべき映画であり、IMAX料金分以上の満足感がありました。

あらすじ

イーサン、ルーサー、ベンジーは盗まれたプルトニウムが「アポストル」と呼ばれるシンジケートの後継組織の手に渡らないよう活動するが、ルーサーが危険にさらされ、その隙にプルトニウムを奪われる。

前作の欠点がきちんと修正されている

前作『ローグ・ネイション』には、イントロからクライマックスに向けて測ったように見せ場が縮小していくことと、話が複雑すぎて各キャラクターの行動原理が掴みづらいという問題がありましたが、その興行的成功に浮かれず、次回作である本作でそれらの問題点がきちんと修正されている点には驚かされました。

見せ場はクライマックスに向けてどんどん大きくなっていき、ハイライトのヘリチェイスを締めに持ってくるという美しい配置になっているし、各自の行動原理も分かりやすく整理されているので、見せ場に目を奪われていても話はきちんと頭に入ってきました。

シリーズ間の関連性も生まれている

また、本シリーズは作品同士の関連性が希薄であり、人間関係やドラマが蓄積されていかないためにシリーズものとしての醍醐味に欠けるという問題もありましたが、その辺りもようやく改善されてきました。

シリーズ初の連続もので前作『ローグ・ネイション』と直接繋がった物語である上に(シンジケートの名前は『ゴースト・プロトコル』のラストでも出てきていたので、これら3作品を連続とも考えられますが)、『3』で登場させたまま投げっぱなし状態だったジュリアとのドラマにもケリをつけたし、イルザとの関係性もより深まっています。なお、イーサンがジュリアからイルサに乗り換えるような描写が多々あり、気は早いのですがこの辺りが次回作への伏線になっているのかなという気もしました。

さらに、『1』に登場した武器商人・マックスの娘が出てくるというファンサービスもあって、『2』以外のシリーズ全作の内容がきちんと反映されていた点は、20年以上に渡って本シリーズに付き合い続けている身としては感無量でした。ジュリア以外でイーサンと恋仲になったナイア・ホールが出てくるので、『2』だけは話を繋げづらいんだと思います。

ただし、これだけの長期シリーズなのでキャストは年齢を隠し切れなくなってはいますが笑。ヴィング・レイムスなんてもはやおじいさんだし、サイモン・ペッグは片岡鶴太郎みたいな見た目になっています。トム・クルーズもさすがに顔の皺は目立つようになってるし。なぜかダイエットをしていたアレック・ボールドウィンだけは、過去作よりもかっこよくなってましたが。

特盛状態のアクション

『007』のようなスカイダイビング、『ボーン・アイデンティティ』のようなカーチェイス、『ボーン・アルティメイタム』のような屋根づたいの追っかけっこ、『ダークナイト』のような囚人争奪戦、『カプリコン・1』のような空中戦、『クリフハンガー』のような断崖アクションと、アクションの量がとにかく多く、かつ、一本の映画とは思えないほどバリエーションも豊かであり、大変な満足度がありました。

また、ジャッキー化したトム・クルーズが自分で演じているだけあってアクションをごまかす必要がなく、普通の映画ならありえないアングルからも見せていることから、他作からの引用を越え本作独自の見せ場にまで昇華できている点も素晴らしいと感じました。特にトム自身が操縦したというヘリチェイスのアングルは新鮮であり、やり尽くされた感のあるヘリチェイスにまだこんな見せ方があったのかと感心させられました。

面白ければ筋は通る

とはいえ、本作の見せ場ってよくよく考えてみればおかしくて、CMでさんざん流されているスカイダイビングはパリのクラブに行くためのもので、別にスカイダイビングなんかしなくても普通に行けばいいような気がするし、屋根づたいのチェイスにしたってさっきまでさんざん車やバイクに乗ってたんだから、今更アスリートみたいに走ったり跳んだりする必要なんてなく、乗り物を調達すればいいじゃんと思うのですが。まぁトム・クルーズがやりたいからああいう見せ場を入れてるわけです。

そうした強引な見せ場も、話が面白くて映画全体に勢いがあれば必然に感じてくるものであり、見ている間はさほど気になりませんでした。

学習能力ゼロのイーサン

ただし「面白ければ筋が通る」とも言ってられないのが行き当たりばったりのイーサンの行動で、この点だけは作品のマイナスとなっています。これまで報告もあげずに独断で動いてきたツケから本作では逆賊の疑いをもたれるのですが、事ここに至っても独断で行き当たりばったりの行動に出るというクセを直さず、特にクライマックスなんて潔白が証明された後なのだからCIA長官に報告し、救援を求めれば良かったのに、相変わらず「CIAに報告はしない。俺たちだけでやるぞ」とか言ってるわけです。もうちょっと成長しようよ、イーサン。

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