【凡作】プレデター2_キャラ確立に貢献した失敗作(ネタバレなし感想)

クリーチャー・メカ
クリーチャー・メカ

(1990年アメリカ)
単純なマンハントものから一転し、大都市を舞台にした複雑なアクション大作となっているのですが、その変更が面白さには繋がっておらず、企画意図は実現できていません。ただし前作では曖昧な部分も多かったプレデターのキャラクター確立には貢献しており、長期コンテンツの礎になった重要作ではあります。

©Twentieth Century Fox

あらすじ

1997年、ロサンゼルスでは麻薬取引の覇権を巡って従前のコロンビア・ギャングと新興のジャマイカン・ギャングが激しい構想を繰り広げていた。そこに血の匂いを感じたプレデターが現れ、両陣営を次々と血祭りにあげていく。

作品解説

メンバーを一新した続編

前作の監督ジョン・マクティアナンは、その後数年でハリウッドのトップディレクターになっていたことから監督料がバカ高かった上に(本作では250万ドルを要求してきたとか)、『レッド・オクトーバーを追え!』(1990年)のスケジュールとも競合していたことから、本プロジェクトには不参加でした。

新監督としては、『エルム街の悪夢5 ザ・ドリームチャイルド』(1989年)をヒットさせたばかりの新人スティーヴン・ホプキンスが起用されました。

一方、脚本は第一作と同じジム&ジョン・トーマスが執筆。前作の主人公ダッチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)はプレデターの追跡者となっており、LAに狩猟にやってきたプレデターを、ロス市警のハリガン刑事と共に追いかけるという物語だったようです。

ただしシュワルツェネッガーからは「前作の良さが失われている」として出演依頼を断られ、ダッチはピーター・キース特別捜査官という新たなキャラクターに書き換えられました。

またハリガン刑事役にはパトリック・スウェイジが考えられていたのですが、『ロードハウス孤独の街』(1989年)の撮影中に負傷したことから、本作には出演できなくなりました。

そこでハリガンにはダニー・グローバー、キースにはゲイリー・ビジーという『リーサル・ウェポン』(1987年)出演者を起用。

シュワルツェネッガー×スウェイジという主演級スター2名の共演作から、脇役中心のグローバー×ビジーへの変更には、やはりパワーダウン感があります。

そのテコ入れのため、フォックスは全米No.1ヒットを連発していたスティーヴン・セガールの起用を提案。

ホプキンスによるとセガールとのミーティングも行ったようなのですが、彼が演じるキャラクターを一般的な軍人にしたいと考えるホプキンスに対し、セガールはマーシャルアーツの達人でもあるCIAの精神分析医という訳の分からんキャラクターを提案してきたことから、話はまとまらなかったようです。

引き受けたくない仕事だったのであえて相手が乗りようのないことを言って破談に持ち込んだのか、ナチュラルに頓珍漢なことを言っていたのかの判別つかない辺りがセガールのセガールたる所以なのですが、アクション映画ファンとしてはセガールvsプレデターは見てみたいところでした。

その後、セガールは本作の代わりに『死の標的』に出演し、本作の4割程度という控え目な製作費ながら本作を上回る興行成績を記録しています。

興行的には大失敗

本作は1990年11月23日に全米公開されたのですが、運の悪いことにその週は『ホームアローン』(1990年)や『ダンス・ウィズ・ウルブス』(1990年)など年間トップを争うレベルの競合が幅を利かせており、プレデターに付け入る隙を与えませんでした。

オープニング興収は878万ドルと低迷して初登場4位。その下の5位には前週に公開されていた『ロッキー5/最後のドラマ』(1990年)がランクインしており、プレデターとロッキーは揃って苦戦を強いられました。

その後も持ち直すことはなく5週目にしてトップ10からは姿を消し、全米トータルグロスは3066万ドルと、前作の5973万ドルを大きく下回る結果となりました。

前作の製作費1500万ドルに対して本作は3500万ドルと予算が倍増していることまでを踏まえると、興行的には大敗を喫したと言えます。

感想

正当進化を遂げた舞台

前作のジャングルから舞台はロサンゼルスに移され、「もしプレデターが大都会で暴れたらワクワクするなぁ」という男子達の妄想が見事に反映されています。さすがは観客の要望をよく理解している男・ジョエル・シルバーです。

製作費も前作の2倍以上がかけられており、その真価が遺憾なく発揮されているのが序盤の銃撃戦です。ロス市警とコロンビアギャングによる銃撃戦の物量・迫力には圧倒的なものがあり、この場面は前作の傭兵部隊vsゲリラを完全に上回っていました。

ここにプレデターまで参戦すれば、映画史上最高のバトルアクションになるのではないかとの期待まで抱かされる素晴らしい序盤でした。よかったんですよ、序盤だけは。

前作の良さが失われている

大銃撃戦で素晴らしい幕開けをしたものの、主人公ハリガンがその裏側にプレデターの存在を感じてからの展開がとにかくまどろっこしいこと。

ハリガンにとってはお初であっても、我々観客はプレデターのことはよく知っているのだから、「あそこに何かいたような気がする」という前作でも見た展開をもう一度繰り返されてもダレてしまいます。

また、本作はロス市警vsコロンビアギャングvsジャマイカンギャングの三つ巴の抗争に血の匂いを嗅ぎつけたプレデターが参戦し、さらにそのプレデターを追いかけてきた特殊部隊も割り込んでくるというややこしい話になっているのですが、クライムアクションとモンスターホラーと軍事アクションがうまく馴染んでおらず、豪華なんだけど取っ散らかったぶつ切り状態のアクションを見せられているような気分になりました。

「前作の良さが失われている」というシュワのコメントがすべてを物語っているのですが、脅威から逃れながらある地点へと移動するというシンプルさこそが前作の良さだったにも関わらず、本作では観客に無駄な頭を使わせているために直感的な興奮がかなり薄れています。

また前作には確かにあった「圧倒的劣勢だった主人公が勝機を掴んだ瞬間」みたいなものがなく、アクション映画としてどこで感情的な盛り上がりを作るのかという設計がまるでできていません。そのため、クライマックスで延々と続く追っかけはまぁ退屈で見ていられませんでした。

プレデターのキャラ確立には貢献している

ただし、前作の時点ではまだよくわからなかったプレデターの行動原理や習性が本作ではかなり詳細に設定されており、プレデターを30年以上も続く息の長いキャラクターに変えたのは本作だったと思います。

その点で本作は決して無駄な作品ではなく、プレデターというキャラクターを確立するための必要なステップだったと言えます。

≪プレデターシリーズ≫
プレデター【良作】マンハントものの教科書的作品
プレデター2【駄作】キャラ確立に貢献した失敗作
AVP2 エイリアンズVS.プレデター【駄作】暗い、見辛い、酔う
ザ・プレデター【駄作】要らない新機軸ばかり付け加えられたシリーズ随一の駄作

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コメント

  1. newhellsing より:

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    ダニー・グローバーは、シュワちゃんの次で大丈夫?頼りなさそーって、思いましたねー。しかし、セガールだったら・・・プレデターが、千切っては投げられ、千切っては投げられて、全滅というストーリーになったかもwww

  2. children-of-men より:

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    >newhellsingさん
    プレデターと戦えるのはシュワルツェネッガーとかエイリアンとか一枚看板で客をとれるスターだけだと思うので、ダニー・グローバーではいろんな意味で弱いんですよね。
    その点、セガールを指名していたスタジオはなかなか良い線いってたと思います。