プレデター【良作】マンハントものの教科書的作品(ネタバレあり・感想・解説)

(1987年アメリカ)
ダッチ・シーファー率いる特殊部隊は、CIAに転籍した元隊員からの要望で中米ゲリラの拠点へと政府関係者の救出へと向かう。ゲリラの殲滅には成功したものの、彼らは謎の影に付けられていた。

©Twenty Centurieth Fox

はいみなさん、こんばんは。今日の映画は『プレデター』ですね。プレデター、なんじゃろな。それは何とも言えん、怖い怖い意味を持つ言葉ですね。シュワルツェネッガーがジャングルのゲリラの村に攻め込みますが、キラキラっ、キラキラっと光る何かが後からついてきますね。そこから一人ずつ殺されていくというサスペンス。そして最後は対決ですが、ここでシュワルツェネッガーのとんでもない筋肉が出てきますね。俺の筋肉を見ろというシュワルツェネッガーの表情、良い顔だったなぁ。これぞ映画、これぞスペクタクル、これぞアクションですね。1987年のアメリカ映画です。御覧なさいよ。

と、脳内で淀川さんの解説が始まりましたが、現在30代後半の私ら世代にとって本作は『コマンドー』『ロボコップ』『ダイ・ハード』と並ぶバイブル的作品でした。テレビで見るのにちょうどいい程度の情報量、企画自体の引きの強さ、画面全体に溢れる何とも言えないパワフルさと、週末の夜に見るには実に丁度いい映画で、そのリピート放送回数も半端なかったと記憶しています。そういえば洋画劇場の常連にジョエル・シルバー率高すぎでしょ。

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実質的なコマンドーの続編

本作の前提として1985年に製作された『コマンドー』の存在は外せません。同作でシュワルツェネッガーが数百人の敵をなぎ倒す様に拍手喝采した男子達は当然お代わりを求めたわけですが、サービス精神旺盛なジョエル・シルバーがそんな男子達の要望に応えたのが本作でした。なお、ジョン・マクティアナンは過去に『コマンドー』の監督もオファーされており、本作はまさにコマンドーの延長線上に作られていたわけです。もうひとつ小ネタを挟むと、フランク・ダラボンに執筆させた『コマンドー』の続編が形を変えた作品がマクティアナンの次回作『ダイ・ハード』であり、まさに『コマンドー』こそが80年代後半から90年代にかけての爆破アクションの起点となった作品であり、ジョン・マクティアナンこそがその流れのど真ん中にいた監督だったようです。

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筋肉モリモリマッチョマンの群れ

今回も体をきっちり仕上げてきたシュワルツェネッガーを筆頭に、1985年の『ロッキー4』でドルフ・ラングレンに殺されて行き先を失っていたアポロ、『コマンドー』の元グリーンベレー役でシュワとの対戦経験のあるビル・デューク、プロレスラー上がりのジェシー・ベンチュラ、ウォルター・ヒル作品の常連だったソニー・ランダムと、もはやお肉の食べ放題状態。『コマンドー』は退役後の主人公がたった一人で戦う物語でしたが、本作は主人公が現役で、しかも同等の戦力を持つ部下達を引き連れていたらどれだけ強いのかというお話になっているわけです。

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その真価が発揮されるのが序盤のゲリラとの戦闘であり、無勢が多勢を征する様が実に見事な見せ場になっています。実はジョン・マクティアナンは本筋とは直接関係のないこの場面をまったく重視していなかったものの、観客の要望をよくわかっている男・ジョエル・シルバーが前半の見せ場たるこの場面を重要視しており、撮影にかなりのリソースを割いたおかげで実質的な『コマンドー2』となりえているわけです。

過剰なまでの男らしさ

傭兵部隊がヘリから降りるだけの場面でアラン・シルベストリ作曲の勢いあるメインテーマがかかる冒頭から力みがハンパではなく、シュワとアポロが「おぉ、ひさしぶり~」と握手すると、そのまま腕相撲が始まって血管の浮き出た両者の二の腕が大写しになるし、噛みタバコをやっている奴、下ネタを言い続けている奴、四六時中ヒゲを剃り続けている奴と、男らしさの記号的な表現が非常に多く見られます。

他方、マスクを外したプレデターの顔は女性器を模しているとも言われており(これはジェームズ・キャメロンのアイデアだとか)、男性器を模したエイリアンがリプリーを襲った『エイリアン』とは逆の、男性性が女性性に脅かされる様を描いた作品であるようにも見えます。考えすぎのような気もします。

マンハントものの教科書的作品

アクション映画の一ジャンルとしてマンハントものがあります。人間が人間を狩り、その後狩られる側が反撃をするというジャンルであり、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の『ハード・ターゲット』やメル・ギブソン監督の『アポカリプト』が代表的な作品なのですが、そんな作品群の中でも本作は絵に描いたようにうまく作られています。

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序盤で圧倒的な強さを見せた傭兵部隊がなす術もなくやられていき、追う者が追われる者に代わる中盤。そしてプレデターの視覚から姿を消す方法を見つけたシェーファーがプレデターを追う側に転じる終盤と、映画全体の流れの作り方が教科書的なまでにうまくできているのです。次回作『ダイ・ハード』と併せて、ジョン・マクティアナンの映画作りのうまさにはつくづく驚かされます。

現場での混乱が吉と出ている

本作の現場は混乱状態にありました。当初、プレデターのデザインと着ぐるみはスティーブ・ジョンソンに発注されていたものの、すでに撮影が始まっていた現場に到着した着ぐるみはダサさ全開で「こんなもん使えねぇよ」状態。『ターミネーター』で仕事をしたご縁からシュワよりスタン・ウィンストンが紹介され、すでに撮影が進んでいる中でプレデターのデザインと着ぐるみが再度発注されるというめちゃくちゃなスケジュールでの撮影となったのでした。

その結果、プレデターを登場させられないという問題が発生したのですが、これが怪我の功名となり、むやみに登場させないからこそサスペンスが増し、ついに姿を現した場面でのインパクトも大きくなりました。この辺りは、機械のサメが動いてくれずサメの姿をほとんど撮影できなかった『ジョーズ』と似ていますね。

また、脚本を書いたトーマス兄弟が新人だった上に、この脚本をチェックせずに撮影に入ったために現場で脚本を修正できる者が必要となり、同時期にジョエル・シルバーと『リーサル・ウェポン』で仕事をしていたシェーン・ブラックが俳優として雇われ、適宜、現場で脚本のリライトをするようにとの命を受けていました。セリフらしいセリフがないため、ブラックは脚本家としてほとんどやることがなかったようなのですが、ここでブラックを雇ったことが最新作『ザ・プレデター』に繋がっており、つくづく人のご縁とは大事なものだと思い知らされます。

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