バイオハザードIV アフターライフ【凡作】シリーズの立て直しに失敗(ネタバレあり・感想・解説)

(2010年 アメリカ)
支離滅裂な内容。強くなりすぎて収拾がつかなくなりつつあったアリスを常人レベルに戻したはいいが、それでは話が動かなくなるので結局従来通り強いままだったり、ウェスカーに強敵としての高いスペックを与えたはいいが、その能力を持て余した結果、油断と隙だらけのキャラクターになったりと、設定とプロットが不整合を起こしたダメ映画でした。

丁寧な作りの『1』(レビューはこちら)からスタートしたこのシリーズも回を重ねる毎に話が強引になっていき、『3』(レビューはこちら)の頃になると基本設定はボロボロに。このまま継続すれば空中分解という状況に至って、ついに現場復帰したのがシリーズの生みの親であるポール・W・S・アンダーソンでした。これは本気でシリーズを立て直すつもりなのだろうかと期待したのですが、残念なことにその期待は裏切られました。

弱体化させたはずのアリスが依然として強いまま

まずこの映画、基本的に『2』(レビューはこちら)『3』の路線を引き継がないという方針をとっています。念力で敵をなぎ倒し、ATフィールドで完璧な防御を実現した無敵状態のアリスではもはや映画が成立しないのでこの判断は正解なのですが、問題はその処理方法。

アリスの無敵遺伝子を無効化するワクチンという超ご都合主義のアイテムが何の伏線もなく登場し、これを打たれるとアリスは一瞬で生身に戻ってしまいます。これにより『2』『3』でしきりに連呼されていたアリス計画もぞんざいに投げ出されたわけで、そのやっつけ感には萎えました。

さらに首を傾げたのがその後の見せ場の構成で、序盤で能力を取り上げられたにも関わらず、依然としてアリスがベラボーに強いのはどうかと思います。数百のアンデッドに包囲されても、処刑マジニに不意を突かれても、モンスター化したウェスカーと対峙しても顔色ひとつ変えず、人間離れした技で楽々と窮地を切り抜けてしまうのでは彼女を生身に戻した意味がありません。

登場人物全員がバカに見える脚本

おまけに、本作は全体として脚本の練り込みが足りておらず、登場人物全員がバカに見えるというどうしようもない事態に陥っています。

「俺らは研究に成功したから、もうアリスは要らなくなった」と言いながら、彼女に対するストーカー行為をやめないアンブレラ社、優位な状況に立ちながらも、要らんことをダラダラ喋っているうちに度々逆転されるウェスカー、洗脳デバイスを取り付けられていたという事実とクレアの断片的な記憶をつなぎ合せればアルカディアの真相なんて簡単に分かりそうなものなのに、誰一人その正体を疑わない生存者たち。

そして犯罪的にマズかったのがクライマックスのジル・バレンタイン再登場で、彼女の外見を変えすぎたために、大半の観客はあれがジルだと気付かないというマヌケなことになっています。あそこで登場すべきは『2』の姿のジルであり、新コスチュームで胸の谷間を強調することはサービスではありません。

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コメント

  1. polvloq より:

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    自分と大体同じ評価なので
    いつも参考にしてます
    ところでこれだけたくさん映画を見ていて
    自分がオススメする10本を選択するなら
    何になるんでしょう
    難しい質問かと思いますが
    このブログを見にきてる人も
    あぁこういうのが好みの方のレビューなんだなって
    わかりやすい指針になると思うので
    時間があるときに是非
    よろしくお願いします

  2. children-of-men より:

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    >polvloqさん
    コメントいただき、ありがとうございます。また、私のブログが多少なりとも参考にしていただけているとのことで、大変うれしく思っております。
    オススメの10本ですか。確かにそれらを挙げておくとブログ全体の方向性も事前に分かりやすくなりますね。しっかりと考えておきます。ご助言、大変感謝いたします。