ザ・コマンダー【凡作】Vシネ相応の面白さはある(ネタバレなし・感想・解説)

軍隊・エージェント

(2005年 アメリカ・ルーマニア)
特殊部隊のヴァンダム隊長が銃弾の雨を降らせる話かと思いきや、さほど活躍しないのでヴァンダミングアクションとしては不発です。ただし軍事車両や戦闘ヘリはいっぱい出てくるし、コストのかかっていない場面は適当なのにコストのかかっている場面ではやたらシャキっとする演出のメリハリも面白く、Vシネ相応の面白さのあるアクション映画でした。

©2005 MICRO FUSION

あらすじ

東欧の小国モルダヴィアにアミレフ大統領の親米政権が誕生するが、落選した反米親共のキリロフの支持者たちがクーデターの気配を見せる。これに対してアメリカはネイビーシールズのキーナン中佐(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)を派遣するが、派遣当日に大統領官邸が暴徒化した市民に襲われ、キーナンはアミレフをアメリカ大使館に匿う。すると暴徒たちはアメリカ大使館を取り囲み、アミレフの引渡しを要求してくる。

スタッフ・キャスト

監督はVシネの常連サイモン・フェローズ

人気がひと段落した時期のヘザー・グレアム主演のB級ホラー『エヴァンジェリスタ』(2004年)で長編監督デビュー。以降はVシネ街道をまっしぐらで、『ブレイド』シリーズがひと段落した後のウェズリー・スナイプス主演の『7セカンズ』(2005年)、本作と同じくヴァンダム主演の『ディテクティブ』(2007年)を監督しています。

『ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション』(2009年)の企画初期にも参加していたようなのですが、フェローズが書いてきた脚本の出来が悪すぎて彼の案はリジェクトされたようです。

原案はCIAテクニカルアドバイザーのミルト・ベアデン

ハリウッドの映画には実に多くの肩書の人が参加するのですが、ミルト・ベアデンという方はCIAテクニカルアドバイザーの肩書で『グッド・シェパード』(2006年)や『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(2007年)といった大作に参加しています。そんなベアデン氏が本作の原案としてクレジットされているのですが、国際的な諜報戦に詳しい方が書いた話とは思えないほど適当な内容だったので、期待はされないように。

撮影は大御所ダグラス・ミルサム

『ハイランダー/悪魔の戦士』(1986年)、『フルメタル・ジャケット』(1987年)、『ラスト・オブ・モヒカン』(1992年)などを手掛けたダグラス・ミルサムが撮影監督を務めています。本作の関係者では最大のビッグネームではないでしょうか。

『レジョネア 戦場の狼たち』(1998年)でヴァンダム作品に初めて参加し、よほど気が合ったのか『ザ・ディフェンダー』(2006年)、『ディテクティブ』(2007年)、『ザ・プロテクター』(2008年)とヴァンダムとは何度も仕事をしています。

感想

ヴァンダムが特に活躍しない

『ザ・コマンダー』…何となく『コマンドー』(1985年)を思い出すタイトルなので特殊部隊のヴァンダム隊長が景気よく銃弾の雨を降らせ、バシバシと敵をしばき上げる話かと思いきや、地味な籠城戦が本編の大半を占めます。

ヴァンダミングアクションも控えめで、肉弾戦が起こっても華麗なる回し蹴りなどは炸裂しないので、いつものヴァンダムを期待するとガッカリさせられます。

加えて、中盤ではヴァンダム扮するキーナン中佐が指揮権を一時的に剥奪されます。「さっきからあれこれ仕切ってるけど、そういやあんたにはこの場での指揮権ないよね」と指摘されるという、主人公らしからぬ扱いまでを受けます。ヴァンダミングアクション大作としてはかなりの不発でした。

意見対立に面白みがない

ヴァンダミングアクションを出さなかったのはおそらく本編にリアリティを出したいという製作意図によるものであり、ド派手なアクションの代わりに意思決定過程などが比較的丁寧に描かれます。

この試み自体は良かったのですが、問題は脚本家も監督もさほど頭を使っていなかったことであり、この意見対立がどうにも間抜けで困ってしまいました。

例えば大使館を放棄して裏口から脱出するかどうかのくだり。脱出を主張するCIA職員に対して、キーナンは籠城すべきと主張。結果的に脱出作戦は失敗して、その後のキーナンの発言力が上がるのですが、そもそもキーナンが脱出に反対していた理由ってアメリカ領土である大使館からは一歩も退いてはならないという理念的なものであって、脱出作戦が失敗するリスクを論理的に予想していたわけではありません。

キーナン自身も予期していなかった要因によって結果的に脱出作戦が失敗しただけであって、別にキーナンの主張が正しかったわけでもないのに、何となくキーナン寄りの世論が形成されていく感じがおかしかったです。

次々登場する軍事車両に燃える

そんなわけで全体的に話はつまらなかったのですが、装甲車や戦闘ヘリが惜しみなく登場するクライマックスにはアガりましたね。加えて大部隊を登場させるタイミングもなかなか良くて、Vシネの職人さんサイモン・フェローズはちゃんと仕事ができていました。

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