【駄作】スナイパー/狙撃_支離滅裂すぎてつまらない(ネタバレあり感想)

軍隊・エージェント

(1996年 イギリス、カナダ)
建設中のビルに潜入したスナイパーとスポッターの男女コンビが、レイプ魔に襲われたり愛し合ったりしながら狙撃任務に臨むサスペンス・アクション。

そんなバカな話があるかと思われるかもしれませんが、本当にこういう話です。日本でのソフト化はVHSのみで、DVDやBlu-rayはリリースされていないのですが、テレ東では年一頻度くらいで放送しているので鑑賞は容易です。

企画倒れにも程がある脚本

なかなか意欲的な企画ではあったものの…

本作の脚本は1987年に執筆されており、1991年にはルトガー・ハウアー主演で映画化される予定になっていました。これほどの長きに渡ってB級映画界隈を漂っていたということは相応の魅力があったということであり、実際、構成要素はかなり充実しています。

  • 回想パートと現在パートを行き来する複雑な構成
  • 主人公・ワックスマンはベテランの狙撃手であるものの、人を殺すことに抵抗感を抱き始めている
  • スポッターのクレッグはワックスマンの監視役という裏任務も背負っており、二人の間には緊張感が漂っている
  • そんな職業上の緊張感とは裏腹に、男女としては惹かれ合っている

ただし、これらの構成要素がどれひとつ有効に機能しておらず、詰めが甘いまま中途半端な状態で制作が進んでしまったという印象を受けました。

主人公二人のドラマが機能していない

回想パートで説明される通り、ワックスマンはクレッグの初仕事での面倒も見ており、二人の間には師弟関係があります。その後、一端のプロとして成長したクレッグがワイズマンと再会し、ちょっと行動が不安になってきた師匠のお目付け役も果たすという『キングスマン:ゴールデン・サークル』みたいな話になっていくのですが、二人の関係性がまったく熱くありませんでした。

まず、回想パートと現在パートの間でクレッグがどう成長したのかが分からないので、単純に師弟関係の物語としての発展性がありません。そこは師匠の教えを守りつつも、部分的に師匠を越えている部分もあり、師匠は弟子の成長に喜びと焦りの両方の感情を抱くという形でドラマに動きをつけるべきではないでしょうか。

二人の恋愛関係に至っては、唐突感がハンパではありませんでした。綺麗な男女なのでそういうことにもなるんだろうとは思うのですが、まさか仕事現場でおっ始めるかという悪い意味での驚きの方が勝っていました。プロなんだから、仕事が終わってからそういうことはやりなさいよと。

主人公が凄腕に見えない

ドルフ・ラングレンが演じているので見た目こそイカつくてそれっぽいのですが、ワックスマンは二度ある狙撃で二度とも引き金を引くことをためらうというヘタレぶりで、かなり男を下げていました。そんなメンタルなら仕事なんて引き受けなきゃいいのに。

また、レイプ魔との攻防では、戦闘のプロというわけでもないレイプ魔相手に意外とどっこいどっこいの勝負をしており、クレッグに対するえらそうなセリフの割には、修羅場をくぐり抜けてきた者らしい見せ場が少なかったように思います。

レイプ魔のくだりが意味不明

舞台となるビルは建設中なので2名の警備員しか駐在しておらず、うち1名がレイプ魔で、美人のクレッグが気に入ってレイプしに行くのですが、常識人っぽいもう1名の警備員はそれを止めもしないという、まったく訳の分からん話になっています。

結末から振り返っても、このレイプ魔のくだりは本編にほとんど関係しておらず、なんでこんな無意味な枝葉を伸ばしたんだろうかと不思議で仕方ありませんでした。

ラッセル・マルケイの美しいアクションのみが救い

ラッセル・マルケイとは

本作の監督はラッセル・マルケイ。この人はMTV出身監督のはしりみたいな人であり、1986年の『ハイランダー/悪魔の戦士』でブレイク。その後は『ランボー3』の監督候補にも挙がるなど注目の監督だったものの、1990年の『ハイランダー2/甦る戦士』が前作とは打って変わって異常なポンコツぶりだったり、1994年にアレック・ボールドウィン主演で実写化したヒーローもの『シャドー』が話題にもならなかったりで、業界関係者からの期待値の割には結果を出せなかったことから、1996年の本作よりVシネ監督に転落しました。

激しく美しいビジュアルが炸裂

ただし、1980年代でもっとも成功したMTV監督だけあってビジュアル感覚は依然として衰えておらず、マルケイによるアクションは本作における唯一の見どころとなっています。

静から動への転換という狙撃ものに必要なテンポ作りがうまくいっているし、一度激しい戦闘が始まると、美しい撮影と非常に速いカット割りによってなかなか見せてくれます。クライマックスの銃撃戦に至っては、20年以上経った現在の娯楽作と比較しても遜色ないレベルにまで達していました。

ただし、900万ドルという厳しい予算で作られた映画であるため、最初と最後にしか見せ場がないのですが。

※ここからネタバレします

組織の行動が不合理すぎる

実はこのミッションには裏があり、ワックスマンが狙撃をためらうことは想定済で別チームを待機させており、ミッションはこの別チームが遂行。仕事をしなかったワックスマンを始末するために完全武装の攻撃隊が現場に突撃し、ワックスマンvs攻撃隊の攻防戦がクライマックスとなります。

ワックスマン一人を殺すためにこれだけ大掛かりな準備をしていたことがまずおかしいし、なかなかの人数の攻撃隊が待機していたのに、これに気付かなかったワックスマンがめちゃくちゃバカにも見えてしまっています。

加えて、常識人っぽい警備員が実は組織の指導者クラスで、身分を偽装して現場の監視をしていたというドンデンも意味不明。結論から振り返った時に、この偽装がまったくうまく機能しておらず、フラフラと現場に出向いて行って殺されたバカにしか見えませんでした。

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