スフィア_畑違いのベテラン監督が迷走【3点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説)

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得体の知れない脅威
得体の知れない脅威

(1998年アメリカ)
太平洋の深海で異星人の宇宙船が発見され科学者チームが調査に向かうが、深海基地では奇妙な現象が起こり始める。

©Warner Bros.

クライトン節炸裂の序盤

各界の権威が緊急招集され、役人から「実は大変なことが起きとります」と言われる序盤。『アンドロメダ…』以来、クライトン作品ではお馴染みの出だしですが、超常現象を現実の科学技術で語ろうとするこうした描写には、相変わらず血が騒ぎます。本作がさらに面白いのは、ダスティン・ホフマン演じる心理学者ノーマンが「接近遭遇?そんなアホな」って感じで数年前に適当に作った宇宙人対応マニュアルが独り歩きしてしまうという設定で、確かにこんなマニュアルを真面目に作る学者なんていないよなと妙に納得させられました。さらには、当時のノーマンの知り合いを適当に当てはめて担当者の人選をした結果、知り合いがズラっと顔を並べた対策チームができあがるという設定は本編に深く関与しており、なかなかうまく考えたものだと感心させられました。

SF映画としての掘り下げの甘さ

しかし面白かったのは序盤のみであり、本編に入ると一気に失速します。VFXのレベルは決して低くはないものの、SFというジャンルに不慣れなバリー・レヴィンソンはインパクトのあるビジュアルを作り出せておらず、俳優の顔が大写しになるだけの地味な画面が延々と続くのです。また、人の心を具現化するというスフィアの設定があるにも関わらず、その結果作り出されたものが殺人クラゲや巨大イカという点にもガッカリでした。もっと人の心の奥底に踏み込むような展開があってもよかったし、そうすることで、一見すると畑違いな監督や俳優陣の実力を活かす道もできただろうと思うのですが。

科学者を主人公にした意味なし

設定を活かせていないという点では、世界有数の科学者チーム(心理学者、生化学者、数学者、物理学者)を主人公としたにも関わらず、彼らが各々の専門知識を活かして事に当たるという描写がなかったことも同様であり、誰も本来の仕事をしていないため、困難に挑むミッション映画としても盛り上がりません。挙句には、「この宇宙船はブラックホールを通ってタイムスリップしてきたものだ!」というSF的にはありがちだが、現実に言われると笑ってしまうような説を宇宙物理学者がドヤ顔で言い出し、他の学者が「なるほど~」と納得するという有様で、この程度の仕事であれば私にだってできそうな気がします。

そもそも、正体不明の宇宙船に学者自らが足を踏み込むことが不自然であり(現場仕事は下っ端の軍人にやらせて、学者はモニターを眺めていればよかったのでは?)、チームの精神面での管理を任されている心理学者までが率先して潜水服を着て探索チームに参加することは不合理の極みと言えます。他の学者が宇宙船に入って行っても、あなただけは一歩引いたところからチームを眺めてないといけないでしょ。

知名度が低い順に死んでいく豪華キャスト達

サスペンスとしては、演じる俳優の知名度順にキャラクターが命を落としていくという展開に脱力であり(ポスターに顔が描かれていないリーヴ・シュレイバーが死ぬのかなと思って見ていたら、本当にその通りになるというひねりのなさ)、同時期に似たような題材を扱った『イベント・ホライゾン』にも劣る仕上がりとなっています。あれだって大した仕上がりではありませんでしたが、本作は輪をかけて悪いのです。

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