ターミネーター2【良作】興奮と感動の嵐!ただしSF映画としては超テキトー(ネタバレあり、感想、解説)

クリーチャー・メカ

(1991年 アメリカ)
アクションとドラマが融合した見事な娯楽作であり、何度見ても面白い映画だと言えます。ただし、伏線の回収などの面白さも追及していた第一作と比較するとSF映画としての妙味というものはなくなり、タイムパラドックスの処理も甘く、部分的に物足りなさも感じました。

Carolco Pictures – © 1991

あらすじ

1994年のロサンゼルスに、2029年から2体のターミネーターが送り込まれた。一体は少年期のジョン・コナーを守るための旧型モデルT-800、もう一体はジョンを抹殺するための最新型モデルT-1000。2体はそれぞれの目的のために、10歳のジョンを探し始める。

スタッフ・キャスト

監督・脚本はジェームズ・キャメロン

1954年カナダ出身。大学中退後に結婚してトラック運転手をしており、映画界入りはロジャー・コーマンのニュー・ワールド・ピクチャーズという苦労人。一流の映画学科を卒業し、若くしてメジャースタジオとの仕事をしていたコッポラやルーカスのようなエリートとは根本的に違う叩き上げタイプであり、配給会社からすら正当に扱われなかった『ターミネーター』(1984年)の圧倒的な観客支持で業界関係者を納得させて、実力でのし上がってきました。

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その『ターミネーター』の製作が一時的に停止した際にアルバイトで脚本の執筆を引き受けた『ランボー』(1982年)の続編と『エイリアン』(1979年)の続編が、後に大ヒット作となったことから、キャメロンの注目度は更に上がりました。フォックスが7000万ドルをかけた『アビス』(1989年)はコケましたが、そんな失敗などすぐに忘れ去られるほどの成功をそれまでに収めており、問題なく本作の製作が開始されたのでした。

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製作はマリオ・カサール

1951年ベイルート出身。コロンビア・ピクチャーズやトライスター・ピクチャーズの下で働き、1976年にカロルコ・ピクチャーズを設立。大手が手を出さなかった『ランボー』(1982年)を大ヒットさせたことでカロルコは軌道に乗り、『ランボー/怒りの脱出』(1985年)がアクション映画史上最高レベルの大ヒットとなったことからイケイケ状態となっていました。

キャメロンとは『ランボー/怒りの脱出』(1985年)の脚本を執筆させた仲でしたが、その脚本はスタローンによって原型を留めないまでに書き換えられたと言います。悔しい思いをするキャメロンに対してカサールは、「今は仕方ないが、君には才能があるからまたの機会があるさ」と言ったとか言わなかったとか。その「またの機会」が本作でした。資金力のあったカサールは権利関係を整理し、高額な製作費も調達して本作の製作環境を整えたのでした。

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アーノルド・シュワルツェネッガー(ターミネーター役)

1947年オーストリア出身。1962年にウェイトトレーニングを開始し、1968年に本格的にボディビルに取り組むために渡米。前作『ターミネーター』(1984年)の大ヒットによりアクション映画界のニュースターとなり、それから本作までの7年間はシュワの黄金時代でした。『コマンドー』(1985年)、『プレデター』(1990年)、『トータル・リコール』(1990年)と質の高いアクション映画に次々と出演。またコメディに進出した『ツインズ』(1988年)も大ヒットと、やることすべてがうまくいくような状態であり、80年代前半には雲の上の存在だったスタローンをあと一歩で仕留める位置にまで迫っていました。そして本作です。批評的にも興行的にも申し分のない大成功をおさめ、スタローンとの立場はここで逆転したのでした。

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こんな場面は本編にはありません(念のため)

ロバート・パトリック(T-1000役)

1958年ジョージア州出身。大学を中退してロサンゼルスに移り住み、バーで働きながら低予算映画での長い下積みを経験しました。

本作出演前には『ダイ・ハード2』(1990年)でのロクにセリフのないテロリスト役が代表作というまったくの無名だったのですが、かつてロジャー・コーマンの映画に関わった経験があったことからキャメロン監督と意気投合し、本作への起用となりました。

キャメロンが好む猫系の顔の悪役

エドワード・ファーロング(ジョン・コナー役)

1977年カリフォルニア州出身。父親とは一度も面識がなく、また再婚先で腹違いの弟をもうけた母親との生活を拒んだことから、叔父と叔母の元で育てられていたという、ジョン・コナーを地で行く荒れた少年期を過ごしていました。

演技経験はまったくなかったのですが、そのずば抜けたルックスがキャスティング担当のマリ・フィンの目に留まり、キャメロンからも「他の子役にはないリアリティがある」と評価されて、本作に起用されました。

本作後にはティム・ロス主演の『リトル・オデッサ』(1994年)やエドワード・ノートン主演の『アメリカン・ヒストリーX』(1998年)といった秀作に出演して評価されていたのですが、そのどれもが「複雑な家庭環境にいる問題児」という役どころだったために、年齢を重ねると演じられる役柄が減っていき、人気は凋落しました。

2019年11月公開の『ターミネーター:ニュー・フェイト』(2019年)で28年ぶりにシリーズ復帰する予定です。

確かにこれは目に留まるわという美少年ぶり

登場人物

  • ターミネーター(アーノルド・シュワルツェネッガー):本来は潜入型の殺人アンドロイドだが、人類に鹵獲されてプログラムを書き換えられた上で、少年時代のジョン・コナーを守るためにタイムマシーンで1994年にロサンゼルスに送り込まれた。
  • サラ・コナー(リンダ・ハミルトン):ジョン・コナーの母親。ジョン出産前の1984年にターミネーターの襲撃を受けた後は銃やサバイバルの訓練を受けて戦士となっていたが、審判の日を防ぐべくサイバーダイン社を爆破しようとしたところを逮捕され、精神病院に入れられている。
  • ジョン・コナー(エドワード・ファーロング):サラの息子で、未来に人類抵抗軍のリーダーとなる人物。敗戦色が濃厚となった機械軍がその存在を葬るため、少年期の1994年にT-1000を送り込んで来た。
  • T-1000(ロバート・パトリック):最新型の液体金属ターミネーターで、触れたものに擬態できる。少年期のジョンを抹殺するためにタイムマシーンで1994年のロサンゼルスに送り込まれた。前作での説明によると、タイムマシーンは生体しか送れないという設定があったはずだが、液体金属のT-1000がどうやってタイムトラベルをしてきたのかは謎。
  • マイルズ・ダイソン(ジョー・モートン):サイバーダイン社の開発部長で、数年後に軍事コンピューター「スカイネット」を開発する。

プロダクション

権利関係の整理

もともと、『ターミネーター』(1984年)に係る権利は製作したヘムデール社とジェームズ・キャメロン個人が50%ずつ所有しており、かつ、キャメロンはプロデューサーのゲイル・アン・ハードと結婚する際に自分の権利を1ドルでハードに譲渡していました。ヘムデールは前作公開直後から続編の製作を希望していたとも言われているのですが、キャメロンがヘムデールに対する不信感を持っていたことから、製作は進みませんでした。

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その後、キャメロンとは『ランボー/怒りの脱出』(1985年)で、シュワルツェネッガーとは『レッドブル』(1988年)と『トータル・リコール』(1990年)で関わり合いになったカロルコが『ターミネーター』続編企画に興味を持ち始め、ヘムデールの経営難に乗じて彼らが持つターミネーター関連の権利を1000万ドルで獲得。残り50%を持つゲイル・アン・ハードとの共同製作という形で企画を軌道に乗せました。

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ありえないスケジュールで製作された史上最大の作品

製作に青信号が灯った本作の製作費として、カロルコが投じた金額は1億2百万ドル。これがいかにとんでもない金額かというと、本作が全米年間興行成績1位を獲った1991年に、2位から4位までの作品の製作費を全部足した金額よりも多いのです(2位『ロビン・フッド』4800万ドル、3位『美女と野獣』2500万ドル、4位『羊たちの沈黙』1900万ドル)。

かくして本作は史上最大規模の作品となったのですが、製作発表が1990年5月、公開が翌1991年7月と、まだ脚本もない作品を1年程度で完成させねばならないというありえないスケジュールでの製作となりました。キャメロンは、高校時代からの友人で前作の脚本にも参加していた脚本家のウィリアム・ウィッシャーをパートナーにして脚本を書き、お互いにひっきりなしに電話とFAXで連絡を取り合いながら、たったの6週間で最終稿を完成させました。

前作の焼き直し

本作は『死霊のはらわた』シリーズでサム・ライミがとったのと同じ方法で製作されています。続編と言うよりもリメイクであり、前作とほぼ同じ筋書きの下、技術的・金額的制約条件からできなかったこと・プロダクションの過程でオミットされたことをやり直しているのです。

前作の構想時点でターミネーターは中肉中背の目立たない男であり、他方でシュワルツェネッガーが考慮されていたという通りカイル・リース役は屈強な男にするつもりだったのですが、完成した作品はご存知の通りでした。それを本作では当初のビジョンに戻されています。また、審判の日を回避すべくサラがサイバーダイン社への襲撃を思いつくという展開は、前作の未使用フッテージに存在しています(DVDやBlu-rayで鑑賞可)。加えて、主人公が精神病院に入れられているという設定は、没にされたキャメロン版『ランボー/怒りの脱出』のものでした(劇場版では病院から刑務所に変更されている)。

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こうしてキャメロンが「ありもの」を使ったおかげで、短期間のうちに脚本を完成させられたのかもしれません。

感想

キャメロンの「俺はこうしたかったんだ!」が詰まった大作

冒頭における未来大戦争から、いきなり観客の度肝を抜いてきます。機械側は巨大なハンター・キラー・タンクを主力として、上空にはエアリアル・ハンター・キラーが飛び交い、地上にはエンドスケルトン状態のターミネーターを歩兵として配置。まさに総力戦の様相を呈しています。これは『ターミネーター』(1984年)と同じ冒頭なのですが、第一作時点では予算的・技術的な制約条件から中途半端なものしか作れなかったところを、本作ではキャメロンのビジョン通りに仕上げています。

ターミネーター【傑作】どうしてこんなに面白いのか!(ネタバレあり・感想・解説)

巨大トラックに乗って迫ってくるターミネーターという構図も第一作を引き継いだものなのですが、カーチェイスの迫力は比較にならないほどだし、葬ったと思ったターミネーターの復活からの工場での最終決戦も同じくで、全体的に第一作のブローアップ版という印象です。

また、未来から2体のターミネーターがやってきて、そのうちの一体は液体金属という設定も第一作の構想時点からあったようなのですが、こちらも技術的制約条件からオミットしたものを、『アビス』(1989年)でCGによる液体表現が使い物になることが分かったことから可能となりました。

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これらから分かるのはキャメロンのビジョンが非常に鮮明だったということであり、これだけ凄いこと、面白いことを1980年代初頭の時点ですでに思いついており、実現の機会を待っていたということには驚かされます。やはり天才は違うのです。

アクション映画としての完成度の高さ

大規模な爆破や最先端のVFXが本作の売りではあるのですが、それがすべてではありません。廊下に逃げたジョンを目指して、あっちからは警官の姿をしたT-1000が、こっちからはショットガンを持ったT-800がやってくる。両者に挟まれてジョンが逃げ場を失ったところで始まる人外同士の戦闘。こうしたシンプルな見せ場をきちっと作り上げている点にこそ、本作の強みがあります。キャラ立ちしたターミネーターに、静から動への転換、そして各場面に宿った圧倒的な熱量が、観客の目をくぎ付けにしました。

続けて、弾切れをしたT-800が、T-1000の放つ銃弾から身を挺してジョンを守る描写を入れることで、彼がこちら側の存在であることをジョンと観客に一瞬で理解させた語り口の鮮やかさにも目を見張りました。アクション映画として基本的なことがきっちりとできているのです。

「少年とロボット」に泣かされる

未来から送り込まれたロボットが少年のボディガードとなる。少年とロボットというイノセンスな者同士の交流には胸を打つものがあったし、何があってもジョンを守り切るというT-800のひたむきな姿勢はサラにとっての脅威でしかなかった第一作の裏返しではあるのですが、このパラダイムシフトがうまく機能していました。

加えて、前作では強敵だった相手がこちら側についたことで強力な味方となるという展開は少年ジャンプではよくある構図なのですが、やはりこのパターンには興奮させられますね。

SF映画としての誤謬が看過できないレベル

第一作にて、なぜ未来の武器を持ってこなかったのかというシルバーマンからの質問に対して、カイルから「タイムマシーンは肉体しか転送できない」との回答がありました。T-800は機械の骨格を生体で覆っているのでギリギリセーフだったらしいのですが、金属でしかないT-1000は完全にアウトだろと思います。その辺りに関する言及は本編に一切ありません。

また、タイムパラドックスの処理もいい加減なことになっています。サイバーダイン社のデータを破壊し、着想の元になった1984年のターミネーターの残骸を破棄したことでスカイネットの開発を阻止し、サラとジョンは審判の日を回避しました。審判の日が来ないのであればカイル・リースが1984年に送り込まれることもなくなり、ジョン・コナーは存在しないことになるはずなのですが、その辺りがどういう理屈になっているのかは説明されません。

特別編(1993年)との違い

劇場公開から2年後の1993年に『特別編』がリリースされ、17分の未使用フッテージが復活しました。劇場版との違いは以下の通りです。

  1. 精神病院でサラが暴行を受ける
  2. ジョンがゲームセンターへ行く場面の編集が変わっている
  3. サラの夢でカイルが「ジョンに危険が迫っている」と警告する
  4. T-1000がパトカーを盗む場面を追加
  5. T-1000がジョンの養父母を殺した後、犬の名前から身バレに気付く
  6. ジョンとサラがT-800のCPUを「読み取りのみ」から「書き込み可」に変更する
  7. ジョンがT-800に笑顔を教える
  8. ダイソン邸の休日の光景
  9. サラがエンリケに逃げるよう伝える
  10. サラを止めにダイソン邸へ向かう際のジョンとT-800の車中の会話が長い
  11. サラがダイソンを暗殺する場面の編集が違う
  12. サイバーダイン社のデータを破壊する場面の追加
  13. サイバーダイン社にパトカーが集合する場面が長い
  14. T-1000の擬態能力にエラーが発生している場面の追加

特別編の未使用フッテージは見て得した気にはなったものの、作品全体の印象に大きく影響を与えるレベルでもないので、必見というほどでもありません。むしろ、さして印象を変えずに尺を17分も詰めてみせた劇場版の編集がいかに優れていたかを示す材料になっているように思います。

≪ターミネーターシリーズ≫
ターミネーター【傑作】どうしてこんなに面白いのか!
ターミネーター2【良作】興奮と感動の嵐!ただしSF映画としては超テキトー
ターミネーター3【良作】ジョン・コナー外伝としては秀逸
ターミネーター4【凡作】画だけは最高なんだけど…
ターミネーター:新起動/ジェニシス【凡作】アイデアは凄いが演出悪すぎ
ターミネーター:ニュー・フェイト【凡作】キャメロンがやってもダメだった
ターミネーター全6作品おさらい【何度目の核戦争よ…】

≪シュワルツェネッガー関連作品≫
コナン・ザ・グレート【凡作】雰囲気は良いが面白くはない
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ゴリラ【駄作】ノワールと爆破の相性の悪さ
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