【良作】ヒッチャー(2007年)_これはこれでイケる(ネタバレあり・感想・解説)

サスペンス・ホラー
サスペンス・ホラー

(2007年 アメリカ)
主人公は美女に、見せ場はより派手に、ストーリーはより分かりやすくと、観客の間口を広げたリメイク。オリジナルのファンには不評らしいが、同一素材の別アレンジ版としては十分に楽しめる出来だと思う。

感想

マイケル・ベイのサービス精神炸裂

ルトガー・ハウアー主演のカルト映画『ヒッチャー』(1986年)のリメイク。

往々にしてカルト映画にはコアなファン層が付いているもので、続編やリメイクに迂闊に手を出すと酷評の嵐となるのだが、本作もまた劇場公開時から一貫して芳しい評価がなく、私は今の今まで見てこなかった。

なんだけどAmazonプライムにアップされているのを発見し、86分というコンパクトすぎる上映時間も程よかったので鑑賞してみることにした。

製作はマイケル・ベイ。

一般的には『アルマゲドン』(1998年)や『トランスフォーマー』(2007年)などのビッグバジェット映画で知られた監督だが、そうしたメインストリームと並行してホラー映画の製作にも熱心で、ホラーに特化した製作会社プラチナム・デューンズを共同設立している。

そんなマイケル・ベイが伝説のカルト映画『ヒッチャー』(1986年)のリメイク権を取得し、同じく往年カルトのリメイクにして、全世界で大ヒットを飛ばした『テキサス・チェーンソー』(2003年)のノウハウを投入して製作したのが本作である。

『テキサス・チェーンソー』(2003年)のノウハウとは何ぞやというと、見せ場はより派手に騒々しく、絵作りはよりカッコよく、露出度の高いお姉ちゃんが主演で男性客も大満足という、全方位的なサービス精神で21世紀の観客を納得させるというものである。

監督はマイケル・ベイと同じくMTV出身のデイヴ・マイヤーズで、荒野でのカーチェイスというオリジナル由来の見せ場はより強化されている。

そして主演はティーン向けのテレビドラマ『ワン・トゥリー・ヒル』(2003-2012年)で人気を博したソフィア・ブッシュ。可愛すぎてショック死するかと思った。

このソフィア・ブッシュがキャミソール&ホットパンツで荒野を逃げ回るのだから、飽きが来るはずがない。86分間、しっかりと楽しませていただきました。

派手さは倍増、いかがわしさは半減

筋書きは恐ろしいほど忠実にオリジナルをなぞっている。

砂漠のど真ん中で運悪く怪しいおじさんと関わり合いになってしまい、何か特別なものを一方的に感じ取られた結果、地獄の鬼ごっこを演じさせられる。

ただしストーリーの味付けは大幅に異なっていて、印象はまるで異なる映画になっている。最大の相違点は、主人公がカップルだということだ。

ソフィア・ブッシュ扮するグレースは、彼氏のジム(『フラッシュフォワード』で竹内結子の相手役を演じたザカリー・ナイトン)と共に湖畔を目指してドライブをしているのだが、その途中で車道のど真ん中に立っていた怪しいおじさん(ショーン・ビーン)を轢きかけてしまう。

一声かけとかなきゃいけないわと言うグレースに対し、何だか気味の悪いおじさんだし放っといて行ってしまおうぜと言うジム。

結局おじさんを置いて走り去った二人だが、給油のために立ち寄ったコンビニでさっきのおじさんに出くわしてしまう。気まずい再会。

ジョン・ライダーと名乗るおじさんはねちっこそうで、ある程度の誠意を示さないと終われないだろうと踏んだジムは、ジョンを車に乗せることにする。

これが本作の導入部分だが、主人公がカップルになったことで、作品の印象は大幅に変わっている。

二人の会話形式でサクサクと状況説明が進んでいくので、ストーリー展開が実にスムーズ。その反面、ひとりで異常者と対峙せざるをえなくなったという主人公の追い込まれ具合は大幅に減衰した。

これには一長一短あるのでどちらが良いとは一概には言えないが、オリジナルとは違う雰囲気を作るためにカップルにしたという選択は、私はアリだったと思う。

対するジョン・ライダーの雰囲気も大幅に変わっている。

オリジナルのルトガー・ハウアーはマジモンのキ●ガイという風情で、しゃべってる内容はほぼ意味不明だったが、本作のショーン・ビーンは身なりこそ汚いが顔はカッコいいし、会話もちゃんと成立する。事故りそうになったのに無視してしまったという因果関係も明白だし。

今回のジョン・ライダーはイケオジ

その結果、オリジナルのジョンにあった神秘性とか狂気というものはほとんどなくなり、理解可能なレベルの異常者に落ち着いてしまった感はある。そのため話に奥行きはなくなったのだが、ショーン・ビーンの魅力もあってダークヒーロー的なキャラとしては仕上がっている。

こちらも好みの問題だろうが、これはこれで私はいけた。

オリジナルのファンに不評であることは理解できるが、フラットな目で見れば、同一素材の別アレンジとしては十分に成立していると思う。

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