ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション【良作】アクション・ドラマともに最高(ネタバレあり・感想・解説)

(2009年 アメリカ)
高いドラマ性と壮絶なアクション。題材のバカっぽさ・予算の少なさに言い訳しない、高い志を持って作られた偉大なB級アクションとして仕上がっています。これは必見です。

©Sony Pictures

あらすじ

チェチェン過激派がロシア首相の子息を誘拐し、チェルノブイリを占拠。過激派は開発計画が放棄されたはずのユニバーサル・ソルジャーを従えていたことから、鎮圧者側もユニバーサル・ソルジャーを動員して対抗する。

作品概要

『ザ・リターン』はなかったことになっています

1992年の『ユニバーサル・ソルジャー』は大ヒットにこそならなかったものの、二大アクションスター共演作というキャッチーさと、ローランド・エメリッヒ監督によるウェルメイドさからソフトやテレビ放映では好評だったようです。

ユニバーサル・ソルジャー【良作】デラックスなB級アクション(ネタバレあり・感想)

その人気を反映して、1998年にはテレビシリーズ化を視野に入れたテレビ映画として『Ⅱ』『Ⅲ』が作られました。ただしオリジナルのキャストもスタッフも関与していない別物である上に、出来も悪かったことからシリーズ化には至りませんでしたが。

1999年にはついにヴァンダムが動き出して『ザ・リターン』が製作されました。監督はメル・ギブソンのボディダブルとして名を上げ、『ブレイブハート』『リーサル・ウェポン4』『ペイバック』では第二班監督も務めたスタントマン出身のミック・ロジャース。さらに悪役には黒帯を持つ大男・マイケル・J・ホワイトが起用され、アクションの名士が結集した続編として私は結構期待していたのですが、前作とは打って変わってリュックがよく喋る愉快な奴になっていて雰囲気ぶち壊し。アクション映画としても面白くなかったし、同年に『マトリックス』を担当したドン・デイヴィスによる作品とは思えないほど音楽も安っぽくて、すべてにおいて失敗していました。

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特に雰囲気を明るくしてしまったことが致命的であり、他方で殺伐とした本作では『ザ・リターン』はなかったことにされています。今更観る価値のある作品でもないので、なかったことにして正解だったと思います。

監督のジョン・ハイアムズについて

元はウェズリー・スナイプス主演の『7セカンズ』を撮ったサイモン・フェローズが監督する予定でしたが、Blu-rayに収録のオーディオコメンタリーによると、彼の脚本があまりに酷かったことからヴァンダムもラングレンも出演を拒否したとのことでした。

その後、監督はジョン・ハイアムズに変更。この人は本来テレビ業界の人で、本作以前にはエミー賞受賞の刑事ドラマ『NYPDブルー』後期のプロデューサーと監督を務めていました。また本作後にはゾンビドラマ『Zネーション』を手掛けています。

ただし、映画界的に重要なのは彼自身よりも彼の父でしょう。アポロ計画陰謀説を骨太の社会派エンターテイメントに昇華させた70年代の大傑作『カプリコン・1』を監督したピーター・ハイアムズがその人です。90年代には『タイムコップ』と『サドン・デス』でヴァンダムと仕事をしており、今回の人選はその人脈だったのでしょう。本作では撮影監督も務めています。本作のキレは、ハイアムズが久々に本気出した証なのでしょうか。

感想

アクションの壮絶さ

本作は製作費1000万ドルと小規模作品であり、日本やドイツのようなアクションスターのマーケットが形成されている地域でこそ劇場公開されたものの、基本的にはVシネ扱いでした。しかし、そんな少ない予算・低レベルな扱いをものともしないほどアクションが作り込まれており、そこいらの大作をも凌いでいる瞬間すらありました。

冒頭のカーチェイスの迫力とリアリティ

作品は誘拐場面から始まりますが、激しい銃撃戦とカーチェイスをリアリティ重視の演出で切り取ったこの場面は『ジェイソン・ボーン』シリーズにも比肩するほどの完成度であり、「あの能天気な『ユニバーサル・ソルジャー』の続編でしょ」と舐めてかかった観客の意表を突いてきます。私はかなり本気で、映画史上の名カーチェイスのひとつが本作であると思っています。

また、この場面には「現実世界にユニバーサル・ソルジャーがいると、どれほど手ごわいのか」というIFの追及もなされており、ちゃんとSFが出来ている点でも感心させられました。

ユニソルのパワー描写が凄い

テロリスト側の新型ユニソルの脅威を軸に、これに対抗すべく投入された旧型ユニソル・リュックの戦いぶりが作品の目玉となっているのですが、銃撃を受けても気にせずズンズン進んできて、圧倒的なパワーで相手をねじ伏せる新型ユニソルのパワー描写は圧巻でした。

他方で旧型ユニソルのリュックは歴戦の勇士らしい敏捷な動きと的確な判断能力で多勢の敵を次々と仕留めていくファイトスタイルであり、2006年のアルフォンソ・キュアロン監督作品『トゥモロー・ワールド』の影響を受けたと思われる廃墟での流れるような連続アクションは白眉ともいえる仕上がりでした。

ついに両者がまみえる場面では壁を突き破り、柱を破壊する人外描写が炸裂しているし、標的に向かって一直線に走っていく新型ユニソルに対して、横からカットインして流れを止めようとするリュックという二人のファイトスタイルを分かりやすい構図で見せた点も的確でした。とにかくこの映画、ユニソルというものの描写が抜群に良くできています。

戦闘マシーンの悲哀

壮絶なアクションと並んで、戦闘マシーン達の悲哀も作品の見どころとなっています。

行き場を失った改造人間達

ユニソルはアメリカでは計画放棄されて行き場を失っていました。リュックはスイスで社会復帰のためのリハビリ中、残り4人は軍で窓際族でもやっていたんでしょうか。

軍によって有無を言わさず蘇生された元死体達。戦闘本能のみを研ぎ澄まされたため一般社会に馴染むことができず、身寄りがないため戻る場所もない。しかも生みの親である軍隊からは事情が変わって厄介もの扱い。まぁ可哀そうなことになっているのですが、本来の使用用途での死に場所を得た4人は心なしか嬉しそうでしたね。

より人間的なリュックもまた、戦いの意義とか大義とかめんどくさいことを言わずに敵陣へと突撃していきます。若くプリップリだった前作とは打って変わり、枯れてしわっしわになったヴァンダム自身が放つ強烈な哀愁がリュックの境遇を如実に物語っており、使い捨てにされてもなお作り主に歯向かったりせず、呼び戻されれば忠実に任務をこなす殺人マシーンぶりが痛々しくもありました。

運命に抗ったスコット

他方で、ドルフ・ラングレン扮するスコットは自分の思うままに生きようとします。ただし彼には崇高な理念も目的もないため、そこにあるのは反発心のみ。究極の壊し屋ですね。復活したスコットはテロリストの親分を殺し、生みの親とも言える博士も殺します。さらには、一件落着したはずの爆弾も再起動させて「全部吹っ飛んじまえ!」とやりたい放題。

彼はヒールの立ち位置にいるのですが、もし彼の立場になったらどうかと考えると、少なくとも組織に裏切られてもなお殺人マシーンを貫徹するリュックや他の旧型ユニソルよりは共感できます。焼けっぱちになり、全員ぶっ殺してやる!って気分にでもなるかなと。そう考えると、もっとも人間的なユニソルがスコットだったと言えます。

唯一の知り合いであるリュックとついに相まみえたスコットは嬉しそうですね。戦うことしかできない戦闘マシーンが、殴り合いながらコミュニケーションをとっているわけです。

自分が何者かも分からないが、殺人マシーンとしての身上では、立ち止まって考える暇もない。訳が分からないが、とにかく辛い、苦しい。

「俺らは同じだよなぁ。お前なら分かるよなぁ」とリュックを殴るスコット。「そんなもん知るか」と殴り返すリュック。

「お前に言いたいことを思い出したわ。ちょっと待て」というスコットの脳天を容赦なく吹っ飛ばすリュック。あれは「聞かなくても分かってるわ」ってことだったんでしょうか。

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