【凡作】トリプルX_気の良い悪党では盛り上がらない(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(2002年 アメリカ)
ヴィン・ディーゼルの気の良い悪党役には食傷気味だし、敵の目的はさっぱりわからないし、せっかくのスタントをCGで台無しにするという愚行を犯しているし、失敗した要素の多すぎるアクション映画でした。見せ場の連続で飽きることがなかったのが唯一の救いでしょうか。

作品解説

『ワイルド・スピード』のトリオ再び

プロデューサーのニール・H・モリッツ、監督のロブ・コーエン、主演のヴィン・ディーゼルは、前年に『ワイルド・スピード』(2001年)を大ヒットさせたトリオです。

当該作品の続編『ワイルド・スピードX2』(2003年)はジョン・シングルトン監督とポール・ウォーカー単独主演に変更したことから、ロブ・コーエンとヴィン・ディーゼルは本作に鞍替えしました。

後にヴィン・ディーゼルは『ワイルド・スピード』シリーズへと戻っていくのですが、ロブ・コーエンは第一作を監督したっきりとなります。

興行的には成功した

本作は2002年8月9日に全米公開され、前週の1位だったM・ナイト・シャマラン監督作『サイン』(2002年)を下して初登場1位を獲得。目立ったライバルが現れなかったことから翌週も1位でした。

全米トータルグロスは1億4210万ドルで、トリオの前作『ワイルド・スピード』(2001年)の1億4453万ドルに迫るヒットとなりました。

国際マーケットではさらに好調で、全世界トータルグロスは2億7744万ドル。こちらは『ワイルド・スピード』の2億728万ドルを大幅に上回りました。

感想

ヴィン・ディーゼルの気の良い悪党には飽きた

007風の正統派スパイでは現代のテロリストに対抗できなくなったことから、NSA(国家安全保障局)の作戦責任者ギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)が新たなエージェントをリクルートすることが本作の主題。

そこで白羽の矢が立てられたのがヴィン・ディーゼル扮するザンダー・ケイジで、エクストリームスポーツの名手であるザンダーは、議員の高級車を奪い橋からダイブさせてその動画を販売するという、迷惑系Youtuberの走りのような活動を行っていました。

世間的には随分と阿呆なことをしでかしている輩なのですが、その実、周到な計画を立てて実行に移すだけの頭脳や、大規模スタントを行う身体能力など、ギボンズが求める要件はクリアーしていました。また車窃盗で重罪に問われており断れない事情があったことも、ギボンズにとっては好都合でした。

かくしてザンダーは身分を偽装してチェコに潜入するのですが、『ピッチブラック』(2000年)、『ワイルド・スピード』(2001年)に続いて気の良い悪党役を演じるヴィン・ディーゼルには少々食傷気味なのでした。

「まったく新しいエージェント」と言いつつ、観客側にとっては見慣れたヴィン・ディーゼルでしかないわけです。

そして社会不適合者であるザンダーを送り込むということから「毒を以て毒を制す」が作品のコンセプトであると思うのですが、ザンダーが倫理や社会のルールに反する行動をとらず、ただの良い奴でしかないことも期待外れでした。

ジェームズ・ボンドを主人公にしてもほぼ同じ話になるんじゃないのという感じであり、観客の予想の遥か上を行く発想がなかったことが辛かったです。

なお、ザンダーの体に入っているタトゥーはすべてプリントで、ヴィン・ディーゼルの体には一つもタトゥーが入っていないとのこと。不良役ばかり演じている割に本人はいたって真面目という。

敵が弱い

そんなザンダーの敵となるのはチェコの古城を拠点とする無政府主義組織アナーキー99。

彼らの目的はプラハに毒ガスを撒くことなのですが、それで金を要求するでも、実現したい理念があるわけでもなし、一体何の得があってそんな計画に精を出しているのかがよく分かりません。

よく分からないので、観客にとっての恐怖の源泉ともなりえていないわけです。

加えてリーダーのヨーギ(マートン・チョーカシュ)は、「お前、良い奴だな」と言ってザンダーにコロっと騙されてしまう阿呆で、潜入捜査がバレるのではないかという緊張感ゼロでした。

スタントとCGの組み合わせが下手くそ

更に問題だったのが、アクションの見せ方を恐ろしいまでに間違っているということ。

本作の売りはエクストリームスポーツであり、撮影においては決死のスタントを行っています。ザンダーが潜水艇に飛び移る場面ではスタントマンが死亡するという痛ましい事故までが発生しており、現場レベルでは大変な撮影を行っていたのですが、CGと組み合わせたものだから、ガチンコのスタントまでが嘘臭くなってしまっています。

例えば『007 カジノロワイヤル』(2006年)ではワイヤーを消す程度にしかCGを使用しないことで「本当にやっています」という緊張感を観客に伝えることにも成功していたのですが、本作は安易にCGを使いすぎてすべてを台無しにしています。

育て方にこだわった有機栽培の野菜にマヨネーズやらドレッシングやらをドバドバかけて、そこいらの野菜と変わらない味にしてしまった感じでしょうか。これは勿体ない限りでした。

≪トリプルX シリーズ≫
【凡作】トリプルX_気の良い悪党では盛り上がらない
【良作】トリプルX ネクスト・レベル_低偏差値アクションの極み
【良作】トリプルX:再起動_アクションの達人大集合

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