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【まとめ】セガール初期作品の紹介とオススメ

スティーヴン・セガールの映画はお好きですか?私は大好きです。特におすすめはデビューから『沈黙の戦艦』(1992年)登場前までの初期4作品なのですが、この時期のセガール映画は事情が分かってる人じゃないと少々厳しい部分もあります。そこで、初期4作品を分かりやすく紹介したいと思います。

セガール初期作品の醍醐味とは

スティーヴン・セガールの活動は以下の通り3分割できます。

  • 初期(1988年~1991年):中規模予算のバイオレンス映画が中心
  • 大作期(1992年~2001年):大規模な爆破アクションが中心
  • Vシネ期(2002年~現在):異常なペースで量産されるVシネ群

その中でも初期作品は若くスリムなセガールが走り回り、華麗な技を繰り出すので、活きの良いセガールを味わいたいならこの時期に限ります。これが大作期になると銃撃戦や爆破などセガール拳以外の要素が入ってくるし、Vシネ期になると太ったセガールがほとんど動かなくなってしまうので、セガールらしさは失われます。

ただし初期作品の難しいところは、全作が捜査官役である上に、セガールの演技がワンパターンでどの映画でも同じ人格なので、作品毎の判別が極めて難しいという点にあります。その昔、日曜洋画劇場で何本かは見たことあるけど、どれがどれだかよく分からないという状況に陥りがちです。そこで個別作品の特徴とオススメ度合いについてまとめてみました。

作品紹介

刑事ニコ/法の死角(1988年)

オススメ度:★★☆☆☆

作品データ

製作年 1988年
監督 アンドリュー・デイヴィス
脚本 アンドリュー・デイヴィス
スティーヴン・プレスフィールド
ロナルド・シャセット
スティーヴン・セガール(原案)
上映時間 99分
製作費 750万ドル
全米興行収入 1886万ドル
IMDBレート
(2020.1.15閲覧)
6.0

あらすじ

シカゴ市警の刑事ニコ・トスカーニはプラスチック爆弾を持ったマフィアを逮捕するが、上層部からの指示で即日釈放された上で、これ以上捜査をするなという指示を受ける。ここから、法の支配を受けない悪との戦いが始まる。

感想

元はクリント・イーストウッドの企画としてストックされていた脚本が与えられ、これをセガール自らが書き換えていき、最終的に『エイリアン』(1979年)のロナルド・シャセットがまとめたという、どえらいデビュー作となっています。監督のアンドリュー・デイヴィスにしても、チャック・ノリスの『野獣捜査線』(1985年)をヒットさせた手腕を評価したセガール自身による人選だったようです。一体どんな新人なんでしょうか。

こうして完成した作品はその熱意が若干裏目に出ている面もあり、セガールによるセルフプロデュースと一般的なサスペンスアクションが中途半端に混ざり合ったものとなっています。点と点を線で繋ぎながら世大な陰謀へと迫っていくサスペンスはまぁそれなりに面白いのですが、それを捜査するセガールが強すぎるので少々バランスを壊しています。

他方、本作のセガールは強いながらも敵に取っ捕まったりはするので、セガール無双を楽しむ作品としても機能していません。アンドリュー・デイヴィスは後に『沈黙の戦艦』(1992年)を大成功させる人なのですが、本作時点ではセガールという異質な素材の調理方法を会得できていませんでした。

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ただし個別のアクションにおけるセガールの動きはキレッキレで、この動きを見たワーナー幹部が「こいつで何か映画を撮れ!」と言い出した理由もよく分かります。なお、この映画のセガールは頭髪がやや寂しいので、他作品との判別はもっとも容易です。

生え際に注目

ハード・トゥ・キル(1990年)

オススメ度:★☆☆☆☆

作品データ

製作年 1990年
監督 ブルース・マルムース
脚本 スティーヴン・マッケイ
上映時間 96分
製作費 1000万ドル
全米興行収入 4741万ドル
IMDBレート
(2020.1.15閲覧)
5.8

あらすじ

メイソン・ストーム刑事は上院議員がマフィアに殺人依頼をする現場の映像と証拠を押さえるが、直後に家を襲撃されて妻を殺され、自身も昏睡状態に陥る。7年後、昏睡から目覚めたストームの元に、再度殺し屋が送り込まれる。

感想

セガールが初めて全米興行成績第一位を獲った映画なのですが、面白さは最低です。

セガールが一旦敵に敗北し、まさかの生還からの反撃という流れをとるので、現在のセガール像を知る観客からすると油断や隙があり過ぎるように見えてしまいます。加えて、標準的なアクションフォーマットに落とし込んで作られているので、ロマンスとか家族愛的な普通のドラマ要素が織り込まれており、セガールの不慣れな演技に付き合わされることも苦痛でした。

監督はスタローンとルトガー・ハウアーが共演した『ナイトホークス』(1981年)のブルース・マルムースなのですが、彼はアンドリュー・デイヴィスほどセガールの特性を理解しておらず、セガールアクションをうまく演出できていません。セガール自身もこの監督の手腕には不満があったようです。

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死の標的(1990年)

オススメ度:★★★☆☆

作品データ

製作年 1990年
監督 ドワイト・H・リトル
脚本 マイケル・グレイス
マーク・ヴィクター
上映時間 94分
製作費 1200万ドル
全米興行収入 5796万ドル
IMDBレート
(2020.1.15閲覧)
6.0

あらすじ

捜査中に相棒を亡くして仕事に対する意欲を失ったDEA捜査官ジョン・ハッチャーはシカゴに帰郷するが、麻薬汚染は地元でも進んでいた。そこでは昔ながらのイタリアン・マフィアと新興のジャマイカン・ギャングが争っており、ハッチャーもその争いの渦中に巻き込まれていく。

感想

『ハード・トゥ・キル』(1990年)と同年に公開され、こちらでも全米No.1を獲っています。当時のセガールにいかに観客動員力があったかが分かりますね。

セガールは強すぎて並みのアクションフォーマットでは収まりきらないということに製作陣も気付き始めたようで、本作ではブードゥーが敵となっています。監督に『ハロウィン4 ブギーマン復活』(1988年)のドワイト・H・リトルを起用した点からも、オカルトvsセガールの異種格闘戦を目指していた企画意図は見えてきます。

ただしこの試みは成功していません。オカルト側の描写が弱いために魔術を操る強敵には見えず、ハッタリをセガールに見抜かれて敗北するに留まったためです。

他方でセガールアクションは充実しまくっています。セガール自身が本作をキャリア中ベストアクションとして挙げており、チェイス・格闘・銃撃とセガールの十八番とするアクションがバランスよく散りばめられています。

クライマックスでは珍しく剣道を披露するのですが、その動きも惚れ惚れするほど美しく、そこから続く敵の死にざまも壮絶の一言であり、セガールアクションを堪能したいなら本作は充分アリです。

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アウト・フォー・ジャスティス(1991年)

オススメ度:★★★★★

作品データ

製作年 1991年
監督 ジョン・フリン
脚本 デヴィッド・リー・ヘンリー
上映時間 91分
製作費 1400万ドル
全米興行収入 3967万ドル
IMDBレート
(2020.1.15閲覧)
6.1

あらすじ

ブルックリンの刑事ジーノは、白昼堂々相棒をその家族の目の前で撃ち殺される。犯人はジーノの幼馴染でもあるリッチー・マダーノで、リッチーは所属するマフィアからの制御も受け付けないほどの狂犬と化していた。ジーノは地元のネットワークを駆使してリッチーを追いかける。

感想

下町でたった一人の犯罪者を追いかける一晩の物語というセガール史上もっともミニマルな作品なのですが、こうしたミニマルな作品がうまく機能すれば被写体の個性がよく反映されるものであり、本作こそがスティーヴン・セガールという素材を最大限に活かせた作品だと言えます。

酒場での乱闘、カーチェイス、銃撃戦とやっていることは他のセガール作品と大差がないのですが、舞台が小さく設定されている分、セガールの強さが際立つという効果が得られています。

監督はタランティーノにも愛されたバイオレンス映画の傑作『ローリング・サンダー』(1977年)のジョン・フリン監督であり、本作でもガサガサとしたバイオレントな雰囲気や、MPAAを激怒させた暴力描写の連続で、その本領をいかんなく発揮しています。全米公開時にはNC-17(17歳以下鑑賞禁止)のレーティングを受けそうになり、バイオレンスシーンを泣く泣くカットして何とかR指定に留めたほどの暴れっぷりでした。

また、本作では珍しくセガールの演技も堪能できます。下町では刑事もヤクザも皆顔なじみであり、追いかけるリッチーとはそのご両親も知っているほどの仲です。会う人々と時に談笑し、時に衝突しながら捜査を進める主人公ジーノを、セガールが見事に演じられています。まさかセガールの演技に見せられるとは思っておらず、意外な収穫でした。

まとめ

総合的にオススメなのは『アウト・フォー・ジャスティス』(1991年)、アクション特化なら『死の標的』(1990年)ですね。この2本が合わないなら恐らく初期セガールはダメなので、残り2本はスルーされても構いません。

≪スティーヴン・セガール出演作≫
【凡作】刑事ニコ/法の死角_パワーと頭髪が不足気味
【駄作】ハード・トゥ・キル_セガール初期作品で最低の出来
【凡作】死の標的_セガールvsブードゥーの異種格闘戦は企画倒れ
【良作】アウト・フォー・ジャスティス_セガール最高傑作!
【良作】沈黙の戦艦_実はよく考えられたアクション
【凡作】沈黙の要塞_セガールの説教先生
【良作】暴走特急_貫通したから撃たれたうちに入らない
【凡作】グリマーマン_途中から忘れ去られる猟奇殺人事件
【凡作】エグゼクティブ・デシジョン_もっと面白くなったはず
【凡作】沈黙の断崖_クセが凄いがそれなりに楽しめる
【駄作】沈黙の陰謀_セガールが世界的免疫学者って…
【駄作】DENGEKI 電撃_セガールをワイヤーで吊っちゃダメ
【まとめ】セガール初期作品の紹介とオススメ

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