【まとめ】主人公が強すぎる映画トップ5【瞬殺!】

雑談
COMMANDO, Arnold Schwarzenegger, 1985, TM and Copyright © 20th Century Fox Film Corp. All rights reserved.
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主人公が危機に陥ったり、どうやっても勝てそうにない敵や状況が出現したりで観客をハラハラさせることが映画の基本なのですが、稀に、この定石を完全に無視した異様な作品というものが存在します。主人公がただの一度も危機に陥らないまま無双して2時間をやりきってしまうという異形の作品群。そのトップ5がこちらです。

第5位『ハード・ターゲット』(1993年)

主人公:チャンス・ブドロー(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)

元殺人マシーン、現無職

ホームレスを獲物に見立てたマンハントビジネスを富裕層向けに営むヨーロッパの傭兵集団。彼らに挑むのは、元・アメリカ海兵隊武装偵察隊員にして、現・港湾労働者、香港で横暴な船長を半殺しにしたために船員資格停止中で無職という、いろいろとすごすぎてよく分からない男・チャンス・ブドロー(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)なのです。

パっと見、何者か分からない

ブドローの強さはヴァン・ダム出演作史上でも最高クラスであり、世界中の紛争地を転戦してきた数十人の傭兵達相手にたった一人で銃撃戦を繰り広げ、特にピンチに陥ることもなく敵を全滅させます。

暇つぶしに傭兵集団を壊滅させる

「なんで無関係なお前が俺のビジネスの邪魔をするんだ」というクライマックスでの敵のボス・フーシェ(ランス・ヘンリクセン)の一言に対し、「貧乏人も暇でね」と返すブドロー。これだけの大銃撃戦がブドローにとっては暇つぶし程度のものだったという点に、フーシェと観客は戦慄するのでした。

本作はジョン・ウー監督のハリウッド進出作ということでウーも気合が入りまくっており、クライマックスの銃撃戦はあちこちで火花が上がりまくるほどの激しさなのですが、その激しさがブドローの強さをより際立てています。

銃撃戦とマーシャルアーツの融合

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第4位『死の標的』(1990年)

主人公:ジョン・ハッチャー(スティーヴン・セガール)

セガール映画の基本を確立した作品

最強と聞いて真っ先に思い浮かべるのがスティーヴン・セガールですが、そんなセガール映画の基本フォーマットを作り上げたのが主演作第3弾の本作でした。実は過去2作品(『刑事ニコ/法の死角』『ハード・トゥ・キル』)では敵に捕まったり負傷したりしていたのですが、本作にて、一切の危機に陥らない無敵のヒーロー像が確立されたのです。

そして、本作のセガールは若くて細くてよく動く上に、心強い相棒までがいるので、後年の作品と比較しても最強度合いは高いです。セガール自身、アクションの完成度は本作がベストだと言っています。

この軽やかな動きを見よ

ブードゥー相手でも余裕の戦い

DEA捜査官ジョン・ハッチャー(スティーヴン・セガール)は凶悪な麻薬組織との終わりのない戦いの中で相棒を失ったことでやる気を失い、職を辞して故郷シカゴへ戻ってきます。しかし地元でも麻薬汚染は進んでおり、地元マフィアと新興のジャマイカン・ギャングが抗争を繰り広げているほどの荒れようでした。

最初は見て見ぬふりをしようとしていたハッチャーですが、彼を凄腕の捜査官だと知っている周囲が「ハッチャー、何とかしてくれよ」と言ってくるし、黙ってても目立つハッチャーには争いごとが引き寄せられて来るしで、結局ジャマイカン・ギャングとの全面戦争となります。しかもこのギャング、ブードゥーの呪いまでが扱える変わり種であり、合気道vsブードゥーの異種格闘技が繰り広げられるのですが、ハッチャーは圧倒的な強さで敵を追い込みます。

国際線に生首を持ち込むヤバさ

能ある鷹は爪を隠すが、一度出した爪は二度と引っ込めないハッチャーは、ブードゥーの本拠地であるジャマイカにまで乗り込んでいきます。しかも相棒はキース・デヴィッド。ジョン・カーペンター監督の『ゼイリブ』(1988年)において、サングラスをかけるかけないで二人の大男が3分に渡ってプロレスを繰り広げるという、映画史上もっとも無意味な見せ場を盛り上げた片割れです。このコンビに勝てる犯罪者などこの地球にいるはずがなく、ギャングは一方的に壊滅させられるのでした。

剣道の腕前も一流

注目はその後であり、ハッチャーはジャマイカン・ギャングのリーダー・スクリューフェイスの首を切り落とし、シカゴまで生首を持ち帰ります。国際線に人間の生首を持ち込めるという権力も含め、本作のセガールは最強だと言えます。

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第3位『ペイルライダー』(1985年)

主人公:牧師さん(クリント・イーストウッド)

神から遣わされしガンマン

ついに人かどうかも定かではないキャラクターの登場です。

ゴールドラッシュ時代。カーボン峡谷と呼ばれる小さな村では、一攫千金を夢見る貧しい住民数世帯が砂金掘りに精を出していました。しかし、辺りの土地を掘りつくした地元の名士ラフッドは残ったカーボン峡谷を狙っており、荒くれ者の子分達を使って住民達に嫌がらせをしていました。

ある日の嫌がらせで愛犬を殺された少女ミーガンが神に救いを求めた時、カーボン峡谷に謎のガンマンがやってきました。どこから来てどこへ行くのか、本名が何なのかも不明であり、詰襟の服を着ていたことから、ガンマンは「牧師さん」と呼ばれるようになりました。

この牧師が滅法強く、複数人のラフッド一味をたった一人で軽く撃退。ラフッドの切り札である大男をも倒してしまうほどの戦闘スキルを持ち、どうしようもなくなってラフッドに呼ばれた銃の名手である悪徳保安官すら、彼にはまったく歯が立ちませんでした。

強そうな保安官達も、牧師相手では赤子同然

交渉力・面倒見・異性からのモテも完璧

さらには高い交渉力も併せ持っており、中盤にてラフッドと交渉し、住民に公正な立退料を支払うという平和的な解決策も実現しました。

しかし、弱くて貧乏なくせにプライドだけは高いカーボン峡谷の住民達は「俺達の夢は売り渡せない!」と綺麗事を言い出し、牧師とラフッドが見出した解決策をはねつけます。喪黒福造なら「ドーン!」をやってるシチュエーションなのですが、牧師はそれでも住民を見捨てることはなく、そこから始まったラフッドとの全面戦争を最後まで戦いきってみせます。

加えて、牧師は異性関係でも無双ぶりを発揮します。少女ミーガンとその母サラにほぼ同時に惚れられるという、世代を選ばぬモテ男ぶりまでを披露。腕っぷし、交渉術、面倒見の良さ、異性からのモテという、男としてのすべてを兼ね備えた牧師は、映画史上に残る最強ぶりだったと言えます。

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第2位『コマンドー』(1985年)

ジョン・メイトリックス(アーノルド・シュワルツェネッガー)

強すぎる主人公の代名詞

圧倒的に強い主人公がひたすら無双する映画と言えば、本作『コマンドー』がその筆頭と言えます。

現役を引退した元コマンドーの隊長、ジョン・メイトリックスの隠れ家が襲撃され、娘が誘拐されます。誘拐したのは以前倒したはずの独裁者アリアスと、元コマンドー隊員のベネット。アリアスは政権奪還のために現大統領の暗殺をメイトリックスに命令します。娘を人質に取られたメイトリックスは、どう反撃するのか。

これが本作のあらすじなのですが、作品を何度も見たことがある人でも、意外とこれをスラスラ言えなかったりします。それほど本作は物語というものが意味を為しておらず、娘が人質とか、元部下が敵とかいう、普通の映画ならば大きく扱われるような要素がほとんど無視された状態で、ただ主人公が行く先々で暴れ、人を殺す様のみが描かれます。

人間業を越えた見せ場の数々

車のシートをいとも簡単にもぎ取り、十数人の警備員を素手でなぎ倒し、男一人を電話ボックスごと投げ飛ばし、南京錠を握力のみで引きちぎる。もはや人間業ではないのですが、アーノルド・シュワルツェネッガーという普通の人間役を演じられない男によって、このありえない活躍がちゃんと成立しているというB級アクション映画史上の奇跡が起こります。

モール中の警備員との乱闘

そして、クライマックスでは100人の敵をたった一人で殲滅するという圧巻の戦闘が繰り広げられるのですが、こちら側はもはや狙いすらつけておらず、腰だめに構えてマシンガンを撃つと、敵兵がその弾道に飛び込んできてくれるという異様な内容となっています。マシンガンの銃声と、ブルブル震える胸筋と、バタバタと倒れる敵兵。たったこれだけの要素で面白くなっているのだから、本当に不思議な映画です。

最高すぎる爆破シーン。ただしこの時点では娘がどこに監禁されているのかを知らないはずなのですが…

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第1位『デューン/砂の惑星』(1984年)

主人公:ポール・アトレイデス(カイル・マクラクラン)

宇宙レベルの革命を余裕で成し遂げる

そんな『コマンドー』をも超えたのが、宇宙レベルの革命を余裕で成し遂げたポール・アトレイデス。

宇宙皇帝シャダム4世は、レト・アトレイデス侯爵の人気を脅威に感じており、ライバルであるハルコネン男爵がアトレイデス家を討つよう謀略を仕掛けます。ハルコネン軍に急襲されたアトレイデス家は壊滅し、レトは死亡。その息子ポールは惑星アラキスの砂漠に逃れていきます。そこでポールは超能力に目覚め、抑圧されてきた砂漠の民フレーメンの救世主となって、ハルコネンや皇帝をも敵に回した戦いを開始します。

本作の原作は500ページを超える大作であり、70年代に映画化を試みたアレハンドロ・ホドロフスキーは10時間の上映時間を考えていました。それをディノ・デ・ラウレンティスは2時間17分にまで圧縮。加えて、シリーズ化が前提の企画だったために膨大な数の登場人物を本作で登場させておく必要があり、要約がほぼ不可能だったことから、構成要素がパンパンに詰め込まれた異常な駆け足の作品となりました。

その結果、主人公ポール・アトレイデスが驚異的な勢いで能力を身に付け、難なく革命を成し遂げるという壮絶なことになっています。ここまで主人公が何の迷いも苦しみもなく、あっという間に能力を身に付けた映画って、他にないと思います。

血筋、素質、伸びしろ、成果、すべてが完璧

ポールは砂漠に放り出される前から際立った存在でした。父は宇宙的な人気を誇るレト・アトレイデスで、母は超能力者。そんな両親の資質をすべて引き継いだポールは人格面で優れており、武術や格闘面での卓越したセンスを見せ、また砂漠に対応するためのスティルスーツと呼ばれる特殊なスーツを着ると「着こなしが素晴らしい!」と絶賛されるほど何をやっても優れていました。

そんなポールが砂漠に放り出されると、ヴォイスと呼ばれる音声魔術を用いた武器を瞬時に使えるようになり、この使い方をフレーメン達に教えることで彼らの標準装備となります。また、全長450mに及ぶ砂漠の守護生物サンドワームの背中に乗り、これを操るという地元民フレーメンですらできる者がいない芸当をたった一度の挑戦で成功させ、やれば何でもできるという状態となります。

これがヴォイス砲の威力だ

加えて、フレーメンの中でも目立って美人の娘チャニ(ショーン・ヤング)とも気が付けば付き合っており、もはや死角なし。ここまでとんとん拍子に手柄をあげていったキャラクターは他に類を見ません。彼こそが映画史上最強キャラだと思います。

彼女が美人

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