ハード・トゥ・キル【駄作】セガール初期作品で最低の出来(ネタバレなし感想)

(1990年 アメリカ)
メイソン・ストーム刑事は上院議員がマフィアに殺人依頼をする現場の映像と証拠を押さえるが、直後に家を襲撃されて妻を殺され、自身も昏睡状態に陥る。7年後、昏睡から目覚めたストームの元に、再度殺し屋が送り込まれる。

©Warner Bros.

セガール主演2作目

セガール初の全米No.1ヒット作

本作はセガールの主演第2弾となりますが、1990年2月に全米公開されて初登場No.1をとっています。これは前作『刑事ニコ/法の死角』が成しえなかった記録であり、セガールにとって初の全米No.1ヒット作となったのでした。

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セガール史上最大の異色作

  • 一度も危機に陥らないほどの物凄い強さ
  • 物凄い前職
  • 物凄い人脈

この3点がセガール作品の標準フォーマットなのですが、これらのどれにも当てはまっていないことから、本作は彼のフィルモグラフィ中最大の異色作となっています。特にセガールが敵の銃弾に倒れるという展開は、彼のパブリックイメージの固まった現在の目で見るとかなり新鮮に映ります。

さらに、家族の復讐劇や女性とのロマンスといったドラマ要素が入っていることも珍しく、通常のアクション映画のフォーマットで作られた作品だと言えます。

主人公が魅力的ではない

上記の通りセガール作品の標準フォーマットからはかけ離れた作品なので、仮にスタローンやヴァンダムが演じても変わらなかったんじゃないのという仕上がりであり、むしろセガールという特異な俳優に普通の役を演じさせたことによる違和感の方が勝っています。

隙がありすぎ

冒頭ではかなりヤバイ証拠を握ったことは明確な状況なのに、メイソンの守りが弱いんですよね。「アカデミー賞授賞式を見るんだ」とか言いながら酒屋に寄って買い物するし、帰宅すると即、奥さんを抱くという緊張感のなさ。さっき敵に追われたんだから、もうちょっと用心してはどうなのよという感じです。

これもスタローン辺りがやっていれば気にならなかったのかもしれませんが、セガールのチョンボは目立ちますね。あのセガールでも油断することがあるのかと。

悲しみに暮れなさすぎ

奥さんを亡くしたことの怒りと、息子の安否が知れないという焦りが復活後のメイソンの原動力となるのですが、能面のようなセガールがまったく感情表現をできていません。というか、演技する気すらなかったんじゃないのという程のやる気のなさでした。息子との再会場面なんて、子役の方が頑張ってるくらいでしたからね。主演俳優がその体たらくでは、本来エモーショナルであるべき物語が死んでしまいます。

セガールがイケメン扱いという違和感

はい、これが最大の違和感でした。

昏睡状態のセガールはヒゲボーボーの仙人状態なのですが、看護師さんはそんな彼に惚れており、子猫を枕元に置いたり、チンチンをチラ見して興奮したりと、やりたい放題。ここでのセガールは当然の如くイケメン扱いされてるのですが、セガールをイケメンとして認識していない私にとってはドラマが伝わりづらい時間がしばらくありました。

復活後もメイソンは看護師さんによって友人の山小屋に匿われるのですが、メイソンにゾッコンラブの看護師さんは山小屋という立地をわきまえないメイクと衣装でメイソンに迫り、なぜかトレーニング部屋の中に設置されていた暖炉の前で事に及んだりもします。唐突に現れる暖炉なんて笑わせようとしているのかと思ったのですが、セガールは真面目一徹なので余計におかしなことになっていました。

セガールの意外なバカップルぶりがしんどい

そして問題は、セガールにゾッコンラブの看護師さんを演じているケリー・ルブロックさんという人が、当時のセガールの奥さんだったということです。劇中、恋仲になる役を自分の奥さんと演じるだなんて、セガールもなかなかイタイことをするもんですね。クールなセガールのイメージが大きく崩れました。

ここでセガールの結婚歴について説明すると、最初の結婚は1975年で、大阪の道場主の娘と結婚しています。藤谷文子と剣太郎セガールはこの時の子供ですね。1983年に帰国後はアドリエーン・ラルッサという女優さんと結婚していますが、この時日本での婚姻が継続していたことから、事実上の重婚状態となります。このラルッサさんという人の画像を調べると超美人だったので、ふざんけんなという感じでしたが。

この方がアドリエーン・ラルッサさん。仲間由紀恵入ってますね。

1986年に日本での離婚が成立して重婚状態が解消、1987年にはラルッサとも離婚し、同年、ケリー・ルブロックと結婚しました。写真は結婚前のルブロックですが、こちらも美人でふざんけんなって感じですね。

1985年頃のケリー・ルブロックさん

ルブロックとの間には3人の子供を授かったものの、その間にもベビーシッターと不倫して孕ませたりとセガールのヤンチャは止まらず、1996年に離婚。その後、2009年にモンゴル人女性と結婚しているのですが、こちらの画像は出てきませんでした。

セガールアクション少なめ

あらすじの通り、銃弾に倒れ、昏睡、覚醒、リハビリ、完全復帰という話であり、セガールが動けない時間で結構な尺をとってしまう構成となっているので、セガールが敵を千切っては投げるアクションは最初と最後にしかありません。セガールの映画を見るということはセガールのアクションを見に来ているということなのに、その要素が少ないのでは満足度が低くなってしまいます。

スタッフについて

セガールの前作『刑事ニコ/法の死角』の750万ドルから1,000万ドルと予算は増えたものの、主要スタッフのランクは落ちており、そのことが作品の品質低下の原因になっているような気がします。

監督は『ナイトホークス』のブルース・マルムース

監督はブルース・マルムース。この人はスタローンがまだ肉体派俳優になる前に主演した刑事アクション『ナイトホークス』の監督として知られる人なのですが、セガールとの相性は悪く、セガールはマルムースを無能な人だと思っていたようです。私の評価もセガールと同じくで、『刑事ニコ/法の死角』のアンドリュー・デイヴィスのような堅実さも、『アウト・フォー・ジャスティス』のジョン・フリンのような突出したタッチもなく、低いレベルで映画をまとめているように見えます。

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なお、セガールが監督に希望していたのはスタント・コーディネーター及び第二班監督としてドン・シーゲル、ウォルター・ヒル、スティーヴン・スピルバーグといった巨匠達から絶大な信頼を受けていたクレイグ・R・バクスリーでしたが、一方のバクスリーがセガールとの仕事を望まなかったことから、マルムースに落ち着きました。

脚本は『ダークマン2』のスティーブ・マッケイ

脚本家としてクレジットされているのはスティーブ・マッケイという人物で、テレビ映画になった『ダークマン2』や、ジェームズ・ウッズ主演の『ミッドナイト・スティング』といった映画史にまったく名を残していない作品をいくつか手掛けています。

本作の脚本には『刑事ニコ/法の死角』でも組んだロナルド・シュゼットとスティーヴン・プレスフィールド、及びセガール自身も参加していたようなのですが、クレジットには残っていません。

≪スティーヴン・セガール出演作≫
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