【凡作】ウォリアーズ_意外とヌルイ逃走劇(ネタバレあり・感想・解説)

クライムアクション

(1979年 アメリカ)
キャラ立ちしたギャングチームなど見るべき点は多い作品なのですが、肝心の逃走劇が意外とヌルくて、乱闘になればウォリアーズがことごとく勝利し、小休止も入ります。敵に捕まればどえらい目に遭わされるという緊張感をもっと高めて欲しいところでした。

あらすじ

ブロンクスにNY中のギャングチームが集められる。招集者はリフスのリーダー・サイラスであり、彼はギャングチームの大同団結を訴える。その演説の最中、ローグスのリーダー・ルーサーがサイラスを射殺。ルーサーがウォリアーズに罪を擦り付けたことから、ウォリアーズはNY中のギャングチームから狙われることとなる。

スタッフ・キャスト

監督・脚本はウォルター・ヒル

元は脚本家で『ゲッタウェイ』(1972年)、『マッキントッシュの男』(1973年)、『ハーパー探偵シリーズ/新・動く標的』(1975年)などクライムサスペンスで名を上げ、チャールズ・ブロンソン主演の『ストリートファイター』(1975年)で監督デビュー。以降、一貫して男臭いバイオレンス映画ばかりを手掛けています。

また『エイリアン』シリーズのプロデューサーでもあります。当初フォックスはエイリアン製作に乗り気ではなかったのですが、ウォルター・ヒルが持ってきた企画だからということで検討の俎上に乗ったようです。

製作はフランク・マーシャルとローレンス・ゴードン

低予算映画、カルト映画として通っている本作ですが、実は大物プロデューサーが二人も関わっています。

一人はフランク・マーシャル。後にスピルバーグ関連作品に多く関わり、『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを手掛けます。また『シックス・センス』(1999年)や『ジェイソン・ボーン』シリーズの製作もマーシャルです。監督業にも進出しており、イーサン・ホーク主演の『生きてこそ』(1993年)などを監督しています。

もう一人はローレンス・ゴードン。1984年から1986年までフォックス社長を務め、その後ゴードン・ピクチャーズを設立。『コマンドー』(1985年)、『プレデター』(1987年)、『ダイ・ハード』(1988年)といったアクション映画の聖典を多く製作しました。

感想

テンションMAXの導入部

落書き風のタイトルとクレジットが地下鉄のトンネル内で奥から手前に流れていくというオープニングのセンスの良さ。味のある恰好をしたヤンキー達が続々と集まってくる場面の物々しさとワクワク感。本作はイントロ部分がかなり最高であり、ここで容赦なく期待値が上がりました。

ヤンキー達は公園に集まり、リフスのボス・サイラスの演説を聞くのですが、このサイラスのカリスマ性といったらありません。演じている役者さんは無名ではあるものの、画面に映った瞬間に伝わってくる大物感。ウォルター・ヒルはよくこんな俳優を見つけてきたものです。

「俺達の人数は警察やマフィアよりも多い。いがみ合いをやめて団結すれば、俺達がこの町を支配できるぞ!」と関東連合のような構想をぶち上げるサイラスと、これに熱狂するヤンキー達。そして、場の空気が最高潮に達したところで突然放たれる銃弾。

サイラスを狙撃したのはローグスのリーダー・ルーサーなのですが、拳銃を持っているところを目撃してしまったウォリアーズに咄嗟に罪を擦り付けます。さらに、そこに突入してくる警官隊。混乱状態となる現場。

ウォリアーズに誤解を解く暇を与えないというシチュエーション作りは実に見事でした。そしてウォリアーズ犯人説が独り歩きし始め、もはや逃げるしかなくなるという逼迫感。この辺りの論理的な組立は脚本家ウォルター・ヒルの面目躍如というところでしょうか。

加えて、街を支配できるほどの数のヤンキーがいるというサイラスの演説がここになって生きてくるわけです。まもなく数万人のヤンキーが血相変えてウォリアーズを追いかけ始めるという。

本作の導入部は百点満点でした。

ちなみにルーサーを演じたデヴィッド・パトリック・ケリーは、『コマンドー』(1985年)で「お前を最後に殺すと言ったな。あれは嘘だ」と冷たいことを言われてシュワに崖から落とされるサリー役の人です。

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意外とヌルイ逃走劇

ウォリアーズは本拠地のコニー・アイランドに戻ろうとするのですが、現在地ブロンクスからはまぁまぁ遠い。

NY中のヤンキーが自分達を狙っている中で、どうやって逃げきるのかという『ニューヨーク1997』(1981年)みたいなシチュエーションが出来上がるのですが、この逃走劇が意外とヌルイので拍子抜けさせられました。

個性的なヤンキー達が次から次へと襲い掛かってくるのですが、敵が弱いのかウォリアーズが強いのか、乱闘になるとウォリアーズはことごとく勝ってしまうのです。

ベースボール・フューリーズなんて野球のユニフォームにペイントメイクという圧倒的なキャラ立ちに加えて、手にはバットと捕まったらヤバイというオーラを漂わせているのに、いざ乱闘となると少人数、かつ、素手のウォリアーズに返り討ちに遭わされますからね。

またウォリアーズも隙だらけで、女性ギャング団のリジーズに誘われて休憩しちゃうし。

そもそもの問題として、ウォリアーズはなぜ地下鉄での移動にこだわっていたのかもよく分かりません。タクシーでも拾って帰れば良かったんじゃないかと。

※注意!ここからネタバレします。

リフスに動いて欲しかった

そんなこんなでウォリアーズは意外と余裕でコニー・ランドに戻ってくるのですが、本拠地ではローグスが待ち受けており、さらには100人の軍団を束ねるリフスまでが現れます。

リフスはサイラスがリーダーを務めていたNY最大のギャングであり、サイラス亡き後にはマサイがリーダーとなっていました。

このマサイがサイラスとはまた違うタイプの強面であり、そこら辺のヤンキーとは格が違うというオーラを漂わせており、ウォリアーズのラスボスとしては十分すぎるほどの相手でした。

しかし、コニー・アイランドに来た時点でマサイはウォリアーズの潔白を知っていたので、マサイとリフスは何もしないんですよね。一番強そうな奴らが動かない。これにはガッカリでした。