【凡作】ハーレーダビッドソン&マルボロマン_時代遅れのおっさんvs若いの(ネタバレあり・感想・解説)

クライムアクション

(1991年 アメリカ)
むか~しに日曜洋画劇場で観て「そこそこですな」と思った映画で、改めてDVDで見てもそこそこでした。吹替の出来が良かったような気がするのですが、ソフトは字幕オンリーだったのが残念。そのソフトも廃盤状態で値上がりしておりますが。

感想

時代遅れのおっさん達

長ったらしく独特なタイトルがまず気になるのですが、これは主人公二人のニックネームです。

なぜかいつもレーシングスーツを着ているミッキー・ロークはみんなからハーレーダビッドソンと呼ばれており、ロン毛にひげ面でカウボーイファッションのドン・ジョンソンはマルボロマンと呼ばれています。そしてマルボロマンには白バイ警官の恋人がいるのですが、彼女のニックネームがヴァージニア・スリム笑。

ハーレーダビッドソンは燃費の悪いアメリカンバイク、マルボロはおっさんのタバコであり、それらの名を冠するキャラクターとは、世間から煙たがられている時代遅れのおっさん達であるというわけです。

そんな二人と敵対することになるのが若い頃のトム・サイズモア扮する銀行マン。当時で言うヤング・エグゼクティブという奴です。彼の背後には日本企業がいます。

現在の価値観では信じられないことなのですが、製作当時はアメリカ企業が落ちこぼれ扱いで、日本企業こそがイケてる存在でした。そしてハリウッド映画においては「日本企業と仲良くしているアメリカ人=金に魂を売った悪党」みたいな図式がありました。『ロボコップ3』(1993年)やら『ライジング・サン』(1993年)がそうですね。

そして、アメリカの遺物を象徴する主人公二人と、日本企業を後ろ盾にした若きエリートという構図には、当時の文化対立、経済摩擦、世代間闘争が象徴されているというわけです。

清々しいまでに身内のことしか考えない

とまぁたいそうな図式こそ置かれているのですが、アメリカのおっさんの単細胞ぶりを揶揄する意図でもあったのか、その内容は地の底をいく低レベルに設定されています。

2年間の放浪から戻ってきたハーレーダビッドソンが馴染みのバーにやってくると、バーのおやじが浮かない顔をしています。聞くと、空港建設に絡んで周辺の地価が上がっているため、40年間据え置きだったバーの賃借料も大幅に上げられるとのこと。これでは店を畳むしかないというわけです。

一般の感覚では「値上げも仕方ないかな」と思うべきシチュエーションなのですが、ハーレーダビッドソンは「畜生、地主のやつ!銭ゲバめ!」と言って怒り始めます。そしてマルボロマン以下気の合う仲間達を集めて、おやっさんを助けるために銀行の現金輸送車を襲おうと言い出します。

理由も手段も滅茶苦茶であり、半径5m以内の身内しか頭にないということが丸出し。彼らには何の正義もないのですが、一見するとクールで頭の良さそうなマルボロマンまでが「みんなの溜まり場がなくなったら困るもんな」などと言って納得し始めるので、こいつら全員狂ってるぜと思うわけです。

そうと決まればすぐ実行というわけで次の瞬間には強盗に走るのですが、現金輸送車に積まれていたのは現金ではなくドラッグでした。

普通の主人公ならばここで「銀行がドラッグビジネスの隠れ蓑になっていたのか!」といって社会正義のための戦いを始めるのですが、ハーレーダビッドソン&マルボロマンは「金じゃないのか。困ったなぁ」という切り口で困惑し、トム・サイズモアに対して「ドラッグを返して欲しければ現金を持って来い」と言って取引を持ち掛けます。

ここまで正義にこだわらないアクションヒーローも珍しいなと、一周回って感心しました。

アクションの盛り上がらなさ加減がしんどい

ただしトム・サイズモアも食わせ物で、武装をしたヒットマン5人を送り込みます。ここから両者の対決が始まるのですが、アクションに全然面白みがないのでちょっとしんどかったです。

ヒットマンズは防弾仕様のコートを着ており、こちらの銃弾を受け付けない強敵という設定になっているのですが、頭部はがら空きです。

一方、マルボロマンは現金輸送車襲撃場面で警備員のピストルやガンベルトのバックルに弾を命中させたほどの銃の名手なので、ヒットマンズの頭部を狙うくらい簡単じゃないかと思うのですが、この弱点を全然攻撃しないのでストレスが溜まりました。

またヒットマンはヒットマンで、二人を追い込んだのだから一気に攻め込めばいいのに、ターミネーターのようにダラダラと歩いて逃げる隙を与えようとするので、こちらからも真剣さが感じられませんでした。

そんな両者の泥仕合が数度ほど繰り返されるのですが、話の〆に入らねばならない段階になると、突如としてマルボロマンがヒットマンズの頭部を狙い始めるという都合の良さにもビックリでした。ここまで作劇上の都合が反映されたアクションって見たことありません。

トム・サイズモアを追い込むクライマックスも、ヘリの機銃掃射という最大の見せ場が、その見せ方やタイミングの悪さからあまり盛り上がらなかったりと、アクション映画としては全然でしたね。

馬鹿馬鹿しくも面白いキャラ造形は楽しかっただけに、アクションが足を引っ張る形となっていました。

なお、終盤におけるヒットマンズとの決着の舞台はLA郊外の砂漠にある飛行機の墓場であり、序盤にてハーレーダビッドソンが見上げた空を飛んでいるのがフランス製のコンコルドだったことと対になっています。

アメリカ生まれ・アメリカ育ちの乗り物である飛行機が廃棄され、外国製に置き換えられていくことへの異議申し立てなのでしょう。当時のアメリカの産業はここまで追い込まれていたというわけです。

以上、知ったところで映画が面白くなるわけでもない気づきでした。