【凡作】ワイルド・スピードX2_話はマズイがカーアクションはイケる(ネタバレあり・感想・解説)

クライムアクション
クライムアクション

(2003年 アメリカ)
ヴィン・ディーゼル抜きの第二作。前作以上に話は面白くなかったけど、予算倍増でカーアクションの迫力は向上しており、特に大スケールのチェイスが繰り広げられるクライマックスは大いに楽しめた。

感想

第一作に引き続き、ソフト化時点で見たっきりだった映画。20年ぶりくらいで再見したけど、やはり面白くなかったなぁ。

本作にてローマン(タイリース・ギブソン)とテズ(リュダクリス)が初登場。日本語吹き替えだと、4作目以降にドム役のフィックスとなる楠大典さんが本作のローマン役なので、ちとややこしい。

前作の大ヒット直後から続編企画はスタートし、当初はヴィン・ディーゼル主演で進める予定だったが、ディーゼルが『トリプルX』(2002年)を選択したので、もう一人の主役ポール・ウォーカー中心の企画に変更された。

また前作の監督ロブ・コーエンもヴィン・ディーゼルと共に『トリプルX』へと移っていったので、監督は『シャフト』(2000年)のジョン・シングルトンに変更された。

第一作のファンだったシングルトンは喜んで引き受けたとのこと。

現時点で、ヴィン・ディーゼルがカメオ出演すらしていない唯一のシリーズ作品である。

LA市警を退職したブライアン(ポール・ウォーカー)がフロリダでストリートレーサーとして活動していたところを、FBIに身柄拘束される。前作ラストでの容疑者逃亡幇助を帳消しにする代わりに麻薬王カーター・べローン(コール・ハウザー)の元に潜入せよという交換条件を提示され、仕方なくこれを引き受けるというのが、ざっくりとしたあらすじ。

前作と同じくブライアンの潜入捜査ものではあるが、捜査機関との信頼関係を築けておらず自分が捨て駒にされるかもしれないという不信感であったり、先に潜入していたモニカ捜査官(エヴァ・メンデス)が敵に寝返った可能性があったりと、本筋部分にいくつもの仕掛けが施されている。

またブライアンは幼馴染のローマン(タイリース・ギブソン)を相棒に指名するのだけど、警察嫌いのローマンからの逆恨みを受けており、二人の関係性の修復というサブプロットもおかれている。

脚本レベルではなかなかよく考えられた話だとは思うのだけれど、これがうまく機能していないのが残念なところ。

ブライアンの地位の不安定さは「潜入であることがバレるかも」というスリルにつながっていかないし、ローマンとの関係性もいつのまにやら良好になっている。

クライマックスに向かって物語は複線化し、麻薬王vsFBIを軸に、両者を出し抜いて大金を懐に入れようとするブライアン&ローマン、FBIとは別の動機から麻薬王を叩き潰そうとするマイアミ市警の汚職警官と、複数の思惑が交錯するガイ・リッチー作品のような状態になっていく。

ただしこれまた企画倒れで、各自のプランが分かりやすい形で提示されないので、状況がどんどん込み入っていく面白さみたいなのを感じなかった。

とまぁ映画としては残念な仕上がりで、ラジー賞「最低リメイク及び続編賞、コンセプトが全てで中身空っぽ賞」にノミネートされたことにも納得なんだけど、見せ場のカーアクションは前作よりも良くなっている。

前作レビューで「直線を走ってるだけでドライビングテクニック関係ない」という文句を書いたけど、本作のストリートレースは街のカーブや勾配を利用したコース設計となっており、ドライバーの腕前がちゃんと反映される内容になっていた。

製作費が前作から倍増した成果(3800万ドル→7600万ドル)か、カーチェイスはド派手になっており、クライマックスでは大量のパトカーが主人公を追い、上空にはヘリまで飛んでいるという、なかなかゴージャスな見せ場を楽しむことができる。

ところどころCGの使い方が下手糞なことは気になったけど、ライブアクションは質・量ともに充実していた。

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