【凡作】ワイルド・スピード4 MAX_ドムの学習能力ゼロ(ネタバレあり・感想・解説)

クライムアクション
クライムアクション

(2009年 アメリカ)
右肩下がりだった興行成績を上向かせたシリーズの起爆剤的4作目。カーアクションにはさらに磨きがかかり、シリーズのルックスは本作で完成されたと言えるが、お話の方が…。ドムが狭量すぎて感情移入できなかった。

感想

ソフト化の際に一度だけ見たけど、これまた特に見返してこなかった映画。

ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーが復帰して第一作ラストの続きをやっており、実質的な続編は本作からともいえる。シリーズを正常軌道に戻した重要作だろう。

本作にてジゼル(ガル・ガドット)とテゴ(テゴ・カルデロン)&リコ(ドン・オマール)が初登場する。

第一作ラストで中米へと逃れたドム。あれだけの大失敗の後だしおとなしくしてるのかと思いきや、レティと新たな仲間テゴ&リコ、そしてハン(サン・カン)と共に新たな強盗団を結成し、性懲りもなくトラック強盗を働いている。

ドムの学習能力は限りなくゼロに近く、一方何の落ち度もないのに賊に襲われているトラックの運転手が気の毒になってくるレベル。

というか走行中のトラックからガソリンを強奪よりも、ガソリンスタンドから盗む方が簡単かつ確実なような気がするし、トラックの運ちゃんもガソリン詰んでカーチェイスという『マッドマックス2』(1981年)みたいなことするなよ、いったん停めろよとも思うけど、「走行中のものを襲う」というのが本作の醍醐味なのでツッコミは入れすぎないのがお作法だ。

そんなことしてるもんだからドムの元にはまたしても捜査の手が迫ってきて、「俺といるとレティまで危ない」と今さらながら自分の置かれた立場を認識し、黙って姿をくらませる。

トラック強盗をやめない自分が悪いという点には一切思いを巡らせないドムの強メンタルには参ってしまったが。

しばしの潜伏生活を送るドムだが、妹のミア(ジョーダナ・ブリュースター)からレティの死を知らされる。死の直前には麻薬王ブラガの仕事を引き受けていたということを知り、その復讐に乗り出す。

他人にさんざん迷惑をかけながらも、自分の身内が被害を受けるとブチ切れるというドムの身勝手さが光る。

同じ頃、『X2』での活躍でドムの逃亡幇助罪を帳消しにされたブライアン(ポール・ウォーカー)はFBI捜査官になっており、ドムとは別の流れでブラガを追っていた。犯した罪がすぐに免責されるのがこのシリーズの悪癖だけど、とりあえずそういうことだ。

こうして共通の敵ブラガを前に再度運命が交錯したドムとブライアンは、ちょうど良いタイミングでブラガが運び屋を探しているとの情報を得て、その組織に潜入するというのが本作の縦軸。『1』『X2』と同じく本シリーズのアイデンティティである潜入捜査ものに回帰したわけだ。

そしてドムとブライアンは当初わだかまりを抱えつつも、次第に強力なタッグになっていくという成長譚が本作の横軸だ。

『1』で潜入される側だったドムは依然としてブライアンを許せていない様子なんだけど、そうは言ってもそのラストで自分自身が犯罪者になってまでドムを逃がしたブライアンの行動を考慮しないのはどうかと思う。

後にはファミリーだの仲間だのと連呼して筋肉界の武田鉄矢と化すドムだが、本作時点ではかなり狭量な男だと言える。

むしろドムを助けたせいでいろいろあったのに、それでもドムに感謝を強要しないブライアンの方が大人だなぁと。

レティの死が直接描写されることがない点は引っ掛かったんだけど、案の定、次回作では生存が仄めかされ、次々回作では豪快に復帰する。

更なる続編の可能性を考え、後にどうとでもできるよう決定的な描写をあえて避けたのだろう。この辺りは上手いと言うべきかズルいと言うべきか。

話は相変わらず見せ場と見せ場の間を埋める程度のものでしかなく、復讐譚としての熱さも、潜入ものとしてのスリルも足りていない。

ただし見せ場のクォリティは大幅にアップしており、ありえないほど大規模なアクションを臨場感あふれる手振れ映像とハイスピードな編集で一気に見せるというシリーズのルックスは、本作で完成されたと言える。

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