【駄作】ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT_柴田理恵の名演が見せ場(ネタバレあり・感想・解説)

クライムアクション
クライムアクション

(2006年 アメリカ)
シリーズ最低作品。主人公を高校生の年齢にまで引き下げた割に、その成長譚としてまったく機能していないし、しかも主演が老け顔でまったく17歳に見えない。また日本人が重要な役を演じていないので、東京を舞台に移した意義も感じられなかった。

感想

シリーズ番外編的位置づけである上に、作品評も悪いので今の今まで見てこなかったが、ワイルド・スピード総復習キャンペーンの一環で初鑑賞となった。

ハン(サン・カン)の初登場回なんだけど、時系列的には第6作『EURO MISSION』と第7作『SKY MISSION』の間という複雑なことになっている。

前作『ワイルド・スピードX2』(2003年)が、作品評こそ振るわなかったものの、興行的には第一作と遜色ない水準に達したことから、このシリーズはイケると判断したユニバーサルがさらなる続編を追加。

ただし2006年時点で33歳だったポール・ウォーカーでは年が行き過ぎていると判断されて、新たな主人公としてウォーカーよりも9歳若いルーカス・ブラックが選ばれた。なおチャニング・テイタムもこの役のオーディションを受けたらしい。

ルーカス・ブラックが扮するのは車好きのヤンチャ高校生ショーン。

行く先々で問題を起こして退学を繰り返してきたショーンは、流れ着いたアリゾナ州の高校でもいけ好かない体育会系とトラブルを起こし、「賞品は私よ~ん」とか言う勘違い女に乗せられ、またしても危険なカーレースを行う。

結果、ショーンと体育会系の車は両方大破。今度ばかりはいよいよ警察のご厄介になりそうだったので、軍属の父が暮らす東京へと避難することに。

しかし転校早々、アングラのカーレースに参加し、またしても厄介ごとに巻き込まれるというのが、ざっくりとしたあらすじ。

同じことを何度繰り返すんだと言いたくなるほどショーンが阿呆だし、冒頭にてカーレースで失敗したにも関わらず、クライマックスでもやはり恋敵とカーレースで決着をつけることになるので、1ミリたりも成長していない。

主人公の成長を描く気がないのであれば、年齢設定を高校生に引き下げる必要もなかったんじゃないかと思う。

しかも、ルーカス・ブラックがどうしても10代に見えないこともつらかった。

アリゾナの時点で「え、こいつが高校生?」という感じだったが、東京に舞台を移すとより深刻なことに。学ランを着せられた姿は学園コントの域に達していた。

日本人キャストが出演していることにもちょっと期待があったけど、妻夫木聡は本当にワンシーンのみの登場、北川景子は主人公グループの一人ではあるけどロクにセリフも与えられていないという『バイオハザード ザ・ファイナル』(2016年)のローラ状態。

あとは日本人以外のアジア系アクターばかりで、ライバルであるタカシ役のブライアン・ティーが、ショーンに向かって「ガイジンが」と片言の日本語で絡む場面には笑うしかなかった。

まともなセリフを与えられた日本人アクターは千葉真一と柴田理恵くらいじゃなかったかな。まぁ酷いもんだった。これだったら東京を舞台にする必要ないだろと。

キャストと共にスタッフも大幅な入れ替えとなり、監督ジャスティン・リン、脚本クリス・モーガン、音楽ブライアン・タイラーという、その後のシリーズの布陣はここで揃った。

このメンバーによって見せ場は一変。規模が大きく激しいカーアクションを、素早いカット割りで一気に見せるという、ワイスピらしいルックスは本作からはじまったと言える。

そういった点で完全に無駄な作品と言うわけでもないが、あまりにもドラマの質が悪いので見るのもしんどかった。本作がシリーズ最低作品だろうと思う。

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