【凡作】ワイルド・スピード6 EURO MISSION_滑走路長すぎ(ネタバレあり・感想・解説)

クライムアクション
クライムアクション

(2013年 アメリカ)
ミッションもののフォーマットを確立したシリーズ第6弾。ただしお話の方はいつも以上に適当で、敵を仕留められるチャンスを何度も逃し、何のために戦ってんだかも次第に分からなくなってくる。派手な見せ場は楽しいけど、所々やりすぎの域に達しているので手に汗は握らない。

感想

シリーズ第6弾。これは映画館で観たけど、あまり気に入らなかったのでその後に見返してはこなかった。

前作にてレイエスから奪った大金で悠々自適の生活を送るドミニク一味の元に、ホブス捜査官(ドウェイン・ジョンソン)がやってくる。こんなにも簡単に居場所を突き止められる時点で、司法の手から逃れた生活なんて成立していないじゃないかと思うけど、とりあえずそういうことだ。

ホブス曰く、世界の軍事バランスを壊しかねない秘密兵器を作ろうとしているオーウェン・ショウ(ルーク・エヴァンズ)という悪人がいるとのことで、世界を救うため捜査に協力してほしいとのこと。

「なぜ俺らがそんなことせにゃならんのだ」といったん断るドムだったけど、続けて元恋人レティ(ミシェル・ロドリゲス)の写真を見せられ、どうやらショウの元で働いているらしいとの情報を得て、ホブスの捜査に協力するというのが、ざっくりとしたあらすじ。

第4作『ワイルド・スピードMAX』(2009年)ではレティの死とその弔い合戦が描かれたけど、たった二作後には復活。

「実は死んでませんでした」という少年ジャンプ的展開に辟易とさせられることの多いこのシリーズだけど、その源流は本作にあったと言える。

そんな無理を飲みこんだうえで観客とドムが気になるのは、「レティに一体何があって悪の側に付いてるんだ」ということなんだけど、まさかまさかの記憶喪失設定で二度驚かされた。90年代の野島伸司脚本ドラマ並みに強引かつお手軽な展開だ。

ここまでお読みいただいてお分かりの通り、本作に話らしい話はない。

脚本はあくまで見せ場と見せ場の隙間を埋める程度のものでしかなく、謎解きの楽しみとか、この先どうなっていくのかを固唾を飲んで見守るとか、そういうものを期待してはいけない。

劇中、ドムとホブスはショウを仕留めるチャンスを二度も棒に振る。

一度目はショウがドムの前に姿を現した場面。発信機でその現場を押さえていたホブスはショウをスナイパーライフルで捉えるところにまでいき、そのまま狙撃すればよいものを、何もせず返してしまう。

二度目はスペインの米軍基地でショウを拘束する場面。ショウに何を言われようが拘束を解かなければいいのに、「ミアを人質にとったぞ」という脅しを受けてショウを解放してしまう。

解放したところでミアが自由にされるでもなく、結局は戦いで取り戻すしかなかったわけで、この時のホブスの判断は本当に意味わからなかった。

その他、ドムとレティがストリートレースをするものの、途中で飽きたのかゴールに着く前に車を停めておしゃべりを始めるとか、ブライアンが『MAX』の悪役ブラガに会うため一時的に本国に戻って刑務所に収監されるが、これといった情報を聞き出すこともなく戻ってくるとか、何のためにあったのかよく分からない場面も多い。

アクション映画の脚本に多くを求めない私をしても「さすがにこれはどうか」と思うレベルで、130分が上映時間以上に長く感じられた。

一方、アクションは壮絶の一言。特に戦車vsドム一味のチェイスはシリーズの過去最高を更新したと言えるほどの迫力と面白さだった。

ただし調子に乗ってやり過ぎてしまうのがこのシリーズの悪いところで、戦車チェイスも終わり頃になると荒唐無稽が過ぎてしまう。

猛スピードで走行する車から飛び出したドムが、爆風で吹き飛ばされたレティを空中でキャッチして着地とか、忍者ハットリくん並みだ。もはや生身の人間が戦っているという感覚が残っていない。

もうちょっと抑えめにやってくれた方が良いと思うんだけど、本作が全世界で7億8800万ドルもの収益を上げたことから次回作以降のアクションはさらにド派手になり、収集のつかないことになっていく。

ところで、クライマックスの滑走路は一体何十キロあったんだろう。

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