バッドボーイズ フォー・ライフ【凡作】楽しげな雰囲気の割に笑いどころが少ない(ネタバレあり・感想・解説)

(2020年 アメリカ)
もともとこのシリーズとの相性は悪かったのですが、世界的に好評な本作もやはりダメでした。明らかに笑わせにきている会話でまったく笑えなかったし、捜査の過程も雑で面白みに欠けました。ビジュアルの面白さだけは維持されているのでそれなりに見る価値はありましたが、トータルでは評価低めです。

あらすじ

メキシコの刑務所から凶悪な女囚イザベル・アレタス(ケイト・デル・カスティーリョ)が脱獄する。イザベルは息子のアーマンド(ジェイコブ・スキピオ)をマイアミに送り込み、過去に因縁のあったマイアミの司法関係者を暗殺させるが、その中にはマイアミ市警の刑事マイク・ラーリー(ウィル・スミス)の名もあった。アーマンドによる銃撃を受けたマイクは瀕死の重傷を負ったが奇跡的に生還。9か月後、傷の癒えたマイクは銃撃犯を追いかけるために長年の相棒であるマーカス・バーネット(マーティン・ローレンス)に協力を求めるが、自分自身とマイクの安全を大事に考えるマーカスはこれを拒否する。

感想

マイケル・ベイ完コピのアクションは見ごたえあり

破壊王マイケル・ベイが監督しないし、製作費はカットされてるしと(『2』の1億3千万ドル→9千万ドル)、アクションの質の後退が鑑賞前の心配事でした。しかし、冒頭いきなりのカーアクションがあたかもマイケル・ベイが撮ったかのような美しさとスピード感で、事前の心配は杞憂に終わりました。

以降もせわしなく動き回るカメラワークに、ギラギラした画面に、画面のどこかしらに美男美女が映っているという見栄え重視ぶりとマイケル・ベイ演出の完コピぶりが凄まじく、監督交代の悪影響はちっとも感じられませんでした。

いざアクションとなればマイケル・ベイへのリスペクトはより顕著なものとなります。「アクションは音楽のように撮る」というマイケル・ベイのスタイルを完全継承し、テンポよく盛り上がっていくアクションにはかなりの見応えがありました。また、美しい銃撃戦やカーチェイスの合間に挿入されるグロ描写というアクセントの付け方もベイに寄せてきており、前作までのアクションと遜色のないものを見ることができました。

楽しげな雰囲気の割には笑いどころが少ない

ただし、笑えない冗談が延々と続くというマイケル・ベイの悪癖までが引き継がれています。

これは作品の質よりも言葉の壁の問題なのかもしれませんが、マーカスとマイクの会話に特に笑いどころがありませんでした。マーカスを演じるマーティン・ローレンスのおもしろ顔から「今面白いこと言ってますよ」ということだけは伝わってきたのですが、肝心の会話の内容で笑いに繋がったものが少なかったなぁと。

捜査の過程に面白みがない

暗殺犯を追うマイクは特殊な銃弾の入手経路から犯人に辿り着こうとするのですが、その過程が全くの無駄。なぜなら、暗殺者もマイクを追いかけているのだから、捜査をしなくてもいつかは相まみえる時が来るからです。実際、マイクによる捜査はあまり関係なくアーマンドは姿を現わすので、地道な捜査にほとんど意味がありませんでした。

あと敵の正体が判明してから振り返ると、マイクがピンとくるの遅すぎだろという気もしました。今のマイクを形作った新人時代の潜入捜査の因縁であり、自分も含めてその関係者が次々と狙われているのに、被害者の顔ぶれから「あの事件絡みなのかも」という察しすらついていなかったのは勘が悪すぎでしょ。

思い出深い過去にも関わらず25年間まるでモニタリングしていなかったこともちょっとおかしいし、犯人に迫るまでの過程にどうにも納得感がありませんでした。

※注意!ここからネタバレします。

勧善懲悪を楽しめない敵

ついに暗殺犯アーマンドと相まみえたマイクは、その顔立ちからアーマンドの正体が自分の息子であることを直感します。さらにそこから、アーマンドの母親は25年前の潜入捜査で恋仲になったイザベルであることにも気づきます。

ここからドラマは感情的に複雑なものとなっていきます。過去に置き去りにしてしまった元恋人と、自分の知らないところで産まれていた息子が敵の正体となれば、敵を倒して一件落着という『1』や『2』みたいなことにはなりません。

かと言って、上司のハワード警部(ジョー・パントリアーノ)をはじめとして大勢を殺してきたアーマンドを許すわけにもいかないし、この物語は感情的な着地点を失います。

マイクとのわだかまりが解けないままイザベルはラストバトルで死亡し、アーマンドはマーカス救出に協力して悪事から足を洗うつもりであることは分かったものの、自分が殺してきた人間に対する謝罪みたいなものはないので、非常に座りの悪い状態で映画は終わります。全然スッキリしませんでしたね。

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