【良作】ネイビー・シールズ(1990年)_銃と爆薬のトップガン(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(1990年 アメリカ)
基本的には『トップガン』の二番煎じのアメリカ海軍マンセー映画だが、戦場再現度が異様に高く、B級アクションと侮ってもいられない魅力がある。

感想

昔、日曜洋画劇場で見て、それなりに満足した記憶がある。

その後数十年も触れることがなかった作品だが、午後のロードショーで放送されたのを久しぶりに見ると、やっぱり面白かった。

「ケネディ大統領の一声で設立された」的な説明テロップに続いて出る『NAVY SEALS』のタイトルの時点で、トップガンの二番煎じ感全開。

スタッフ・キャスト名を表示するフォントまでがトップガン風で、もはや隠す気もないのが凄い。

本作の監督を最初にオファーされたのはリドリー・スコットだったという。『トップガン』を監督したトニー・スコットの兄だ。

当時のリドリーは『レジェンド/光と闇の伝説』(1985年)の大コケで雇われ監督に徹していたのだが、そんな時期のリドリーをもってしても、さすがに弟の映画の二番煎じは厳しすぎたようで本作のオファーを断っている。

が、その後リドリーは『G.I.ジェーン』(1997年)と『ブラックホーク・ダウン』(2001年)とネイビーシールズが登場する映画を2本も撮っており、この人選はあながち間違いでもなかったように思う。

ちなみに『レジェンド/光と闇の伝説』の主演は、翌年のトップガンでブレイクするトム・クルーズで、ハリウッドは極めて少ない人数でまわしている世界なのかもしれない。

リドリー・スコットに断られた後は、『追いつめられて』(1987年)のロジャー・ドナルドソン、『スターウォーズ/ジェダイの帰還』(1983年)のリチャード・マーカンドらの名が挙がり、最終的に監督に就任したのは『アリゲーター』(1980年)のルイス・ティーグだった。

ティーグは製作会社オライオンピクチャーズからの紹介で選ばれた人物だったが、プロデューサーのブレンダン・ファイゲンによると、彼はかなり凡庸な監督であり、一時期は現場での指導力を完全に失い、スタッフ・キャストは彼を無視して動いていたという。

元シールズ隊員の脚本家チャック・ファーラーにより書かれた脚本はひっきりなしに書き換えられ、最終的にはチャーリー・シーンやマイケル・ビーンまでが脚本に手を入れていたという。

そんなしっちゃかめっちゃかな現場だったので、作品の完成度は決して高くはない。

内容は「出動→インターバル→出動→インターバル」を繰り返すのみで、アクション映画としての大きな流れを生み出せていないし、無軌道なチャーリー・シーンが仲間を死なせたことで挫折し、やがて大きく成長するというまんまトップガンなサブプロットも有効に機能していない。

なんだけど、それらの欠点はさして重要なことではない。

アメリカ海軍全面協力によって空母やヘリの実機がバンバン登場し、ベイルートを再現したオープンセットの作り込みも凄まじい。

目で見せるアクション映画として、本作はかなり高いレベルに達しているのだ。

撮影前にはブートキャンプに入れられたとのことで、俳優たちの身のこなしも非常に様になっているし、海中を進む弾道の描写などは『プライベート・ライアン』(1998年)を先どっている。

『ネイビーシールズ』というド直球のタイトルに負けないほど、戦争映画としての魅力と説得力を持っていることが、本作の強みだと言える。

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