【良作】エクスペンダブルズ3_メルギブが最強すぎる(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(2014年 アメリカ)
待望のウェズ、まさかのハリソン&メルギブと、シリーズ最高のメンツの揃った第3弾で、あまりの豪華さに畏敬の念すら抱いた。よく知らない若手のリクルートなど、不要としか思えないパートもあるにはあるが、このメンツのお祭り騒ぎですべて吹き飛んだ。

作品解説

エクスペンダブルズ続投組

  • シルベスター・スタローン(ささきいさお)/バーニー・ロス
  • ジェイソン・ステイサム(山路和弘)/リー・クリスマス
  • ジェット・リー(池田秀一)/イン・ヤン:第一作の時点から金にうるさかったヤンは、給料の良いトレンチの組織に移籍している。
  • ドルフ・ラングレン(大塚明夫)/ガンナー・ヤンセン
  • アーノルド・シュワルツェネッガー(玄田哲章)/トレンチ
  • ランディ・クートゥア(木下浩之)/トール・ロード:第2作でなぜか日本語吹き替えキャストが変わったのだが、本作で元に戻っている。
  • テリー・クルーズ(髙橋耕次郎)/ヘイル・シーザー:トール・ロードと同じく、第2作で変わった吹替キャストが元に戻った。

エクスペンダブルズ新入生

  • ウェズリー・スナイプス(江原正士)/ドクター・デス:第一作から待望されていたウェズが、刑務所でのお勤めを終えてついに参戦!
  • ハリソン・フォード(村井國夫)/マックス・ドラマー:大したこともしないのに400万ドルも要求してきたブルースは切られてインディが参戦。
  • メル・ギブソン(磯部勉)/コンラッド・ストーンバンクス:ついに出た!リーサル・ウェポン。最初は監督を依頼されていたらしいが、その後に出演者に鞍替えした。
  • アントニオ・バンデラス(東地宏樹)/ガルゴ:スケジュールの競合から第2作を諦めたデスペラードが満を持しての参戦。
  • ロバート・ダヴィ(斉藤次郎)/ゴラン・ヴァータ:『ダイ・ハード』『プレデター2』『アクション・ジャクソン』など、ジョエル・シルバー製作作品に高確率で出ていたロバート・ダヴィもしれっと参戦。

海賊版被害で興行的には失敗

本作は2014年8月15日に全米公開されたが、初登場4位と低迷した。その理由は、公開3週間前に本編の動画が流出してダウンロードされまくったために、公開時点で内容が知れ渡っていたためである。

全米トータルグロスは3932万ドルで、1億ドル稼いだ『1』、85百万ドル稼いだ『2』と比較しても突出して低い数字だった。

国際マーケットでも同じく苦戦し、全世界トータルグロスは2億1465万ドルに終わった。3億1497万ドル稼いだ前作から32%もの減収だった。

感想

満を持してのウェズ!

冒頭、武装列車を襲うエクスペンダブルズ。

ヘリを使ったかなり派手な撃ち合い&爆破はシリーズの真骨頂という感じで初っ端からテンション爆上がりなのだが、その列車に幽閉されていたのが僕らのウェズリー・スナイプスだったことが判明した瞬間に、私のボルテージは振り切れた。

ウェズは第一作時点からアクション映画ファン達から出演を切望されており、また本人も出る気満々でいた。そんなファンとキャストの相思相愛状態があったにも関わらず、脱税裁判&刑務所へのお勤めで、過去2回の出演機会はことごとく逃してきた。

そんなアクション映画界の彦星様が、租税法という天の川を渡ってようやくこちらに来られたのである。

「この瞬間を待っていた!」

悲願のウェズ登場に、画面上で起こっている以上のことを私は感じ取った。

しかしウェズは仲間のヘリとは逆方向に走っていく。

どうしちゃったのかと思って見ていると、ウェズは残存する兵士を皆殺しにし、列車の目的地である軍閥の基地に向けてありったけの砲弾を撃ち込んだうえで、フルスピードの列車を衝突させて基地を破壊する。

敵兵は税務署職員、基地は国税庁だと思って見ていただければ間違いないのだが、実に豪快なお礼参りをかますわけである。これでこそエクスペンダブルズ。

ウェズはスタローンと共にエクスペンダブルズを立ち上げた創設メンバーの一人であり、ドクター・デスという親には決して教えられない異名を持っている。

8年ものお勤めを経ての今回の救出劇だったが、スタローンは「この足で次のミッションに行くぞ」と言い、出所直後のウェズを早速使いまわす。この組織に就業規則なるものは存在しないのである。

せめてムショ上がりにはうまいもんくらい食わせてやれよと思うが、破壊こそ栄養、殺人こそ滋養のエクスペンダブルズのこと、「銃をぶっ放していれば元気になるだろ!」という脳筋理論で貫かれているようだ。

まさかのメルギブ&ハリソン登場

次なるミッションとはソマリアでの武器商人暗殺であり、この手の暗殺は平常業務なのでチャチャっと済ませて帰ろうぜという感じなのだが、そうは問屋が卸さなかったのが本編となる。

この武器商人というのがストーンバンクス(メル・ギブソン)という男なのだが、メルギブが姿を現した瞬間、私の体には電撃が走った。

あのマックス・ロカタンスキーが、あのマーティン・リッグスが、シルベスター・スタローンの映画に出ている!夢にも見なかったことが現実に起こっている!

これがどれだけ凄いことかと言うと、ゴジラ映画を見ていると突然ガメラが乱入してきて、怪獣大戦争を始めたようなものである。

ストーンバンクスはもう一人のエクスペンダブルズ創業メンバーであるため、こちらの戦法を熟知している上に、豊富な武器と兵士を抱えており、シリーズで最も強力な敵と言えよう。

この最強の敵を具体化するに当たり、かつての大スター メル・ギブソンはこれ以上ないほどの適任者だった。その大物感と言い、アクション映画界での実績と言い、スタローンと肩を並べられる数少ない俳優だからだ。

ヴィランとしてのメルギブ登場には、キン肉マンで悪魔将軍が出てきた時くらい緊張した。「こいつにどうやって勝つんだ」という絶望感を観客にまで与えたのである。

と同時に、若い頃のスタローンとメルギブが共同でエクスペンダブルズを立ち上げ、幾多の戦場に赴いていた様子を思い浮かべて、とてつもなく幸せな気分になったりもした。

そんなメルギブだが、凄まじい戦力でエクスペンダブルズを追い込み、シリーズ初の負け戦に持ち込む。

這う這うの体で帰国したエクスペンダブルズを待っていたのはお馴染みのシュワルツェネッガー。あまりにお馴染みすぎて、もはや『男はつらいよ』のタコ社長並みのキャラクターになっているのはご愛敬である。

が、この次に更なるサプライズが仕掛けられていた。

「暗殺をミスったな、どうしてくれるんだ」とスタローンに詰め寄ってくるのが、なんとハリソン・フォード。

ランボーとインディが同じ画面上で会話する画なんて、これまた夢にも見なかった。しかもメルギブに完膚なきまでに叩きのめされ、シュワルツェネッガーに慰められた後で。

日本国内で例えるならば、ゴジラとガメラが破壊の限りを尽くしているところに、ウルトラマンまでが参戦したという感じである。

この信じられない画に見とれるばかりで、会話の内容なんてほとんど頭に入ってこなかったよ。

まったくどんだけ凄い映画なんだ、これは。

スライとステイサム=ジャックとローズ

ハリソンから「もう一回行ってメルギブのタマ取ってこい」と言われるスタローンだが、こちらの戦法を熟知しているOBに対して既存メンバーを使うのは、みすみす彼らを死にに行かせるようなものである。

かといって「お前らには無理だ」と言うのも部下達のメンツを潰すと感じたのか、「もう終わり!以上!解散!」と言って無理矢理にエクスペンダブルじまいをしてしまう。

呆然とするメンバー達。「脱獄→電撃復帰→負け戦→無職」という目まぐるしすぎる数日間を送ったウェズは、いつも以上にピュアな目付きでスタローンを睨んでいる。

特に納得できていない様子なのはステイサムで、店から出て行ったスタローンに食い下がってこう言う。

「どこまでもあんたに付いていく気だった!」

もはや嫁か彼女である。

ただしスタローンも無下に彼らを捨てたのではなく、勝てない戦に既存メンバーを連れていくわけにはいかないという、こちらも愛ゆえの決断。

この一連のやりとりを見て、私は『タイタニック』(1997年)でジャックがローズを救命ボートに乗せる場面を思い出した。

ジャックはこれでサヨナラになることは分かっているのだが、愛するがゆえにローズをボートに乗せる。一方ローズは、あなたと一緒にいるのが私の希望なのよと言って、これに抵抗する。

本作のスタローンとステイサムも全く同じである。

うっす~い若手ンダブルズ

こうして既存メンバーを捨てたスタローンは、メルギブも予期しない戦略で対抗するための新人のリクルート活動を開始する。

であるが、こいつらに全然ワクワクさせられないので、しばし退屈な時間が続く。これが本作の欠点。

崖登りが趣味のハッカー、最新武器のスペシャリスト、格闘技に精通している女子など、一応は個性豊かな面々を揃えはするのだが、旧ペンダブルズと比べると薄っぺらすぎてあちら側が透けて見えそうだ。

マジで期待値が1ミリも上がらない。

だいたい、エクスペンダブルズとはアクション映画界での実績があることが入隊資格のはずで、フレッシュさなんてものは不要なのである。

もしも「笑点の新メンバーです」と言ってEXITや四千頭身を加入させれば、日テレの電話回線は苦情でパンクするだろう。それと同じ暴挙である。

唯一「お!」となったのはアントニオ・バンデラスだが、年齢を誤魔化して応募してきたデスペラードに対して、スタローンは「歳が行きすぎている」と非情な判断を下す。

『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006年)で還暦過ぎての現役復帰を恥さらしだと非難にされた際に、「心は歳をとらない」と熱弁したスタローンの熱い魂はそこにはない。

かくして集められた若手ンダブルズだが、いつもの飛行場にはステイサムを始めとした旧ペンダブルズの面々が待ち受けており、タチの悪い上級生の如くいろいろと因縁を付けてくる。

事情を知らない若手からすれば、なぜこんなにおじさん達に絡まれているのかも分からないだろうが、かといって言い返したりやり返したりもしない現代っ子なので、いつものような賑やかさがない。

売られた喧嘩は100%買うのがエクスペンダブルズではないのだろうか。こうした点でもこの若手たちにはガッカリさせられた。

全員集合したラストの凄さ

とはいえスタローンの目論見自体は当たって、若手ンダブルズはメルギブを捕らえることに成功する。

のだが、すぐにメルギブ軍団の反撃に遭い、今度は囚われの身に。唯一、高架から川に落ちたスタローンだけは捕虜にならずに済む。さすがはレジェンド、若手のように易々とは敵の手に落ちないのである。

そこからスタローンはデスペラードと、実は現地にまで追いかけてきていた旧ペンダブルズと合流し、若手ンダブルズの奪還に臨む。

この一連の流れを踏まえると、やっぱり若手は要らなかったんじゃないのと思うのだが、旧ペンダブルズとスタローンが再合体する様には感動があったので、これはこれで良かったような気もしてきた。

さらには、ハリソンの操縦するヘリに乗ってシュワルツェネッガーとジェット・リーも加勢にやってくる。

日曜洋画劇場半年分くらいのメンバーが揃ったクライマックスは壮観そのものだった。

あまりにメンツが凄すぎて、すべてのカットが尊かった。最後の最後に全員が乗り合わせたヘリなんて、筋肉の重みと俳優達の凄みで墜落しそうな勢いである。

ハリソンが操縦するヘリにシュワ、ラングレン、ステイサム、バンデラス、ジェット・リー、ウェズが乗ってんだぜ。外にはスタローンがぶら下がってるんだぜ。

あらためて「なんちゅー凄い映画だ」と思ったし、この豪華なメンツとたった一人で渡り合ったメルギブの魅力と存在感も天晴れだった。

やっぱりエクスペンダブルズシリーズは最高としか言いようがない。

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