ロッキー・ザ・ファイナル【良作】男泣き必至(ネタバレあり・感想・解説)

(2006年 アメリカ)
初老のロッキーは小さなレストランを経営し、町の名士として愛されていた。ある時、テレビ番組でロッキーと現役チャンピオン・メイソン・ディクソンをコンピューターのシミュレーションで対決させるという企画が放送され、ロッキーは過大評価されているとのコメントを聞く。これを機にボクシングへの情熱を取り戻したロッキーはプロボクシング協会に掛け合い、プロライセンスの再発行を受ける。

まさかの『ロッキー5』の続き

スピンオフ企画である『クリード』シリーズも好評であり、今やロッキーは観客から新作を待たれるシリーズにまで復権しましたが、『ロッキー5』直後から本作が公開されるまでの約15年間は、まぁ悲惨な状態にありました。

完全に少年マンガ路線に入った『4』と、当時のスタローンの不安定な心理状態のせいでおかしなドラマになってしまった『5』とのコンボによって、『1』を除くロッキーシリーズは真面目に見てもらえないネタ映画となっていたのです。

加えて、1982年の『ランボー』1作目を最後にその後一本も良い映画を作っていなかったスタローン個人への評価も地に落ち、新作を出す度にラジー賞にノミネートされることは恒例行事。もはやネタキャラ扱いでした。

1996年に製作費8000万ドルの『デイライト』をコケさせて以降は大作映画から声がかからなくなり、90年代後半より全盛期では考えられなかったような中規模・小規模映画に出演するようになると、「見苦しい」「もう引退すればいいのに」という冷ややかな視線を浴びせられたものでした。

スタローンがロッキーの新作を撮ろうとした時、スタジオも世間も誰もこの企画を歓迎しませんでした。1999年に企画を立ち上げたもののボツになり、6年かけて制作にまで漕ぎつけたのですが、一時期は劇場公開されずVシネ扱いになるという話まであったのです。

いい歳した大人が頑張ると笑われる風潮

「なぜリングに上がるのか?」

ロッキーはあらゆる人から問われ続けます。チャンプ時代のような豪邸住まいではないにしても、小規模ながらレストラン業を成功させて地元に根を張った堅実な生活を送っているのに、なぜまたリングになんて上がろうとするのか。

これは、ロッキーの新作を作ろうとした際のスタローンに対する周囲の反応だったのだろうと思います。すでに十分な資産を持っているし、彼のネームバリューがあればたまによそ様の企画に小さな役柄でゲスト出演でもしていれば拘束数日で良いギャラも稼げる。もうそれで人生あがりにしてもいいのに、なぜまた叩かれるリスクのあるロッキーの新作に挑もうとするのかと。

第一作は努力を美しいものとして描き、大きな壁に挑もうとするロッキーを街のみんなが暖かく応援しました。若い頃の努力とはそういうものです。

しかし歳を重ねた大人の努力に対しては、周囲は非常に冷淡です。目標に挑む戦いとは別に、「なぜ今更そんなことをやっているのか」という冷ややかな視線との戦いも待っています。

自己紹介欄にもある通り、私はサラリーマンをいったんやめて公認会計士資格を取ったのですが、試験勉強をしている時期の肩身の狭さには筆舌に尽くし難いものがありました。もし学生時代に同じことをしていれば「よく頑張ってえらいね」なんてみんなに応援されたのでしょうが、大人になってから同じことをすると、「よくやるなぁ」という嘲笑的な態度をとられるか、「本当に大丈夫なの?」と真剣に心配されるかのどちらかでした。すみません、話がそれてしまいましたね。

スタローンの人生訓に酔う

そんなわけで本作はほぼスタローンの話なのですが、スタローンの心の叫びが並んでいるかのような本作の名言の数々には魂が揺さぶられました。さすがは、成功と凋落を何度も経験し、常人の何倍もの濃密な人生を送ってきた男の人生訓です。

  • 世の中はいつもバラ色じゃない。厳しく辛いところだ。気を抜いていたらどん底まで落ち込んで、二度と這い上がれなくなる。
  • 人生はどんなパンチよりも重くお前を打ちのめす。だが人生とはお前が強く殴り返すかじゃない。どれだけきついパンチを打たれても、休まず前に進み続けられるかだ。
  • どれだけこっぴどく打ちのめされようと、前に進み続けるんだ。その先に勝利がある。
  • 自分の価値を信じるなら、迷わず前に進め。
  • 他人を指さし、自分の弱さをそいつらのせいにするな。それは卑怯者のやることだ。

文字を眺めるだけで泣けてくるような名言ばかりですね。この映画を作っている最中に、スタローンが自分自身に対して言っていた言葉のようでもあって、とても重みを感じます。

≪ロッキーシリーズ≫
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ロッキー・ザ・ファイナル【良作】男泣き必至

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