ロッキー3【良作】楽しいバトル路線(ネタバレあり・感想・解説)

(1982年 アメリカ)
世界チャンピオンとなったロッキーは10度の防衛に成功し、雑誌やテレビでも頻繁に取り上げられるほどの国民的スターとなっていた。絶頂の中で現役を終えることを望んだロッキーは自身のブロンズ像の除幕式で引退を発表するが、そこに世界ランキング1位のクラバー・ラングが現れ、弱い敵とばかり戦っているとしてロッキーを批判し、自分と戦えと迫ってくる。

© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

またまたロッキーに戻ってきたスタローン

『ロッキー2』(1979年)の時点でもかなり苦しかったロッキーの続編ですが、その後にスタローンが出演した『ナイトホークス』(1981年)と『勝利への脱出』(1981年)の興行成績がいずれもイマイチだったことから、またまたロッキーへと戻ってまいりました。

ドラマが断絶している

前作で頑張って購入したマイホームはどこかへ消え、成金趣味全開の豪邸に住み、お手伝いさんまで雇っているバルボア一家。エイドリアンの化粧はケバくなり、ちょっと前までペットショップでバイトしていた人物とは思えぬほどの有閑マダムぶりで観客をドン引きさせます。

連戦連勝のロッキーも調子に乗りまくりで、前作までの不器用な男から一転、CM出演も卒なくこなす文化人ぶりを披露。『ロッキー2』(1979年)では字さえまともに読めず、何テイク撮っても棒読みのままだったロッキーがほぼ別人であり、前作までの流れから断絶した前半部分には違和感を覚えました。

前作までとドラマがあまりに断絶しており、序盤では強い違和感を覚えました。

アクション映画としてのツボを押さえた構成

しかし、かつてのロッキーとアポロの尖がったところを合わせたようなクラバー・ラング登場から、映画は一気に熱くなっていきます。最強の敵の登場に、かつてのライバルの加勢と、少年漫画的な展開はバカバカしくも盛り上がるものであり、本作はアクション映画として手堅くできています。

また、最終ラウンドまでフラフラになりながら立っていることが本シリーズの伝統でしたが、本作では5ラウンドKOという異色の試合運びとし、打ち合いの迫力を重視したことで試合の印象も派手なものとなっています。こちらにも見応えがありました。

前2作とはスタローンの体造りも違う

『ランボー』と同時期の製作だったこともあってか(本作の撮影を1981年8月まで行い、1981年10月よりランボーの撮影。って、スタローン働きすぎ!)、ちょっとプヨっていた前作までとは違ってスタローンの体はスリムに絞られており、作風に合った体に仕上げてきています。またステロイド過多の『4』よりもシャープに仕上げた本作の肉体の方が野性味があってボクサーっぽく、シリーズ中もっとも体造りに成功した作品だとも言えます。

ランボー【傑作】ソリッドなアクションと社会派ドラマのハイブリッド(ネタバレあり・感想・解説)

路線変更は正しい選択だった

ちょっと批判的に書きましたが、人情ドラマ路線は『ロッキー2』(1979年)の時点ですでに出涸らし感があったので、シリーズを継続したいなら大成後のロッキーを描くしかなかったように思います。さすがに三匹目のどじょうはいないのです。

実際、バトル路線に転向したおかげでアクション映画として面白く生まれ変わり、やや落ち込んでいた興行成績も本作でV字回復を果たしました(同年公開されたすべての映画の中で堂々の第4位 )。スタローンはこの賭けに勝ったのです。

ロッキーというキャラクターを作り上げたのが偉大なる第一作だとすると、直近の『クリード 炎の宿敵』(2018年)に至るまで再生産可能なシリーズの礎を築いたのが本作だったと言えます。

≪ロッキーシリーズ≫
ロッキー【傑作】もはや人類の教科書
ロッキー2【凡作】それなりに見られる第一作の劣化コピー
ロッキー3【良作】楽しいバトル路線
ロッキー4/炎の友情【凡作】良いのはアクションだけ
ロッキー5/最後のドラマ【凡作】悪くないですよ、本当に
ロッキー・ザ・ファイナル【良作】男泣き必至