ロッキー2【凡作】それなりに見られる第一作の劣化コピー(ネタバレあり・感想・解説)

(1979年 アメリカ)
アポロとの試合のダメージが大きかったロッキーはボクサーを引退するが、CM出演契約はカンペの字も読めなかったために立ち消えとなり、精肉工場に就職しても人員整理ですぐに解雇され、ミッキーのジムに掃除夫として戻るしかなくなっていた。一方、前の試合では辛勝したもののチャンプとしてのメンツを潰されたアポロは、今度こそ圧勝する様を見せようとロッキーとのリターンマッチを望んでいた。

ロッキーに戻らざるをえなくなったスタローン

『ロッキー』の後にはノーマン・ジュイソン監督の『フィスト』(1978年)や、監督デビュー作となる『パラダイス・アレイ』(1978年)をリリースしたのですが、そのどれもが芳しい結果を残せませんでした。

結局、大ヒット作『ロッキー』に戻らざるをえなくなったスタローンの姿が、一度は引退を宣言しながらも結局はアポロとのリターンマッチに挑むこととなったロッキーの姿と重なります。

男には危険を承知の上でもやるべき時がある

ロッキーは前作におけるアポロとの戦いには善戦したものの、あれはチャンプの側に油断があり苦手とするサウスポー対策をしていなかったこと、またロッキーにあの場限りの馬鹿力が働いたことが要因であり、同じファイトを二度はやれないことを自覚しています。

失明の危険もあったしボクシング人生の頂点での引退を決意するものの、世の中はそれほど甘くはありません。彼は第二の人生のスタートに失敗し、車とマイホームを買った、子供も生まれる、なのに仕事がないという最悪の状況に。ミッキーに頭を下げてジムの用務員をやらせてもらうが、そんな収入で家族を養えるはずもなく、身重のエイドリアンが勤め先に戻ることに。

そんな男として最悪の状況にあって、ロッキーは手っ取り早く大金を稼げる手段として、アポロとのリターンマッチを選択します。男には、身の危険を顧みずやるべき時がある。やらざるをえなくなったお父さんの姿には胸が苦しくなり、「ロッキー、分かるよ」と思いっきり感情移入しながら見てしまいました。ロッキーの動機付けとしては極めて真っ当であり、前作には劣るもののドラマの質はそれなりに維持されています。

ロッキーとアポロの戦力描写は不適切だった

ただし、試合の行方については疑問を覚えました。前回とは違ってガッツリ準備してきたチャンプを相手に、なぜロッキーは勝つことができたのか。その辺りが弱いのです。

本作が犯した失敗のひとつは、アポロの家族を登場させてしまったことではないでしょうか。本シリーズには「個人として背負っているものの重さ=ボクサーとしての強さ」という法則があって、ロッキーは家族を持ったことでアポロに勝る力を得たという筋書きが意図されていたと思うのですが、アポロ側の家族の描写が入ってしまうと、その辺りのパワーバランスが変わってしまいます。

アポロ側のプライベートには踏み込まず、従前通りに冷徹で巨大な壁であるべきだったと思います。また、前作のラストではロッキーの実力を認めていたアポロが、本作においては「強いのは俺の方だ!」といきなりヒールっぽい主張をはじめたことにも違和感があり、総じてアポロの動かし方はマズかったと思います。

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