キックボクサー【凡作】ヴァンダムが若くて可愛い(ネタバレあり・感想・解説)

(1989年 アメリカ)
ヴァンダムの肉体美や技の美しさを堪能するための映画であり、筋書きはヴァンダムを邪魔しないようテンプレート通りに収められています。訓練はかなり見応えがあり、特に蹴りの美しさはアクション映画界随一だと思います。

ただし、クライマックスの試合で要らんサービス精神が爆発してしまい、単純な殴り合いを見せてくれればいいところを、兄を人質にとられたとか、拳に凶器を付けているといった追加要素がかえって見せ場のテンションを下げていました。

あらすじ

キックボクシングの全米チャンピオンであるエリックは、ムエタイの本場タイに乗り込み、地元のチャンピオン・トン・ポーとの試合を行う。しかしエリックは為す術もなく倒された上に、KO後に受けた一撃のために半身不随となってしまう。

セコンドとして同行していた弟のカート(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)はトン・ポーへの復讐を誓い、現地のムエタイの達人に弟子入りする。

感想

若きヴァンダムの魅力炸裂

ヴァンダムの初期作品であり、20代の頃のヴァンダムが見られる作品なのですが、当時のヴァンダムは普通にイケメンですよね。

キックボクシングのチャンピオンである兄のセコンドとして控えめな態度をとっている序盤なんて、こんな可愛らしい演技もできるんだと魅力を再発見しました。

本場タイでムエタイに挑戦した兄が現地チャンピオン・トン・ポーに為す術もなく倒され、おまけに半身不随にされたことからヴァンダム扮する弟のカートが弔い合戦に挑むということが作品の骨子であり、特訓に尺のほとんどを費やしています。

で、この特訓がヤシの実をヴァンダムの腹に落としたり、股裂きをしたりと独特なものなのですが、この特訓を通してヴァンダムの肉体美や身体能力の高さが描かれており、そのメニューは意外とよく考えられています。

本作のファイト・シーン・コレオグラファーはヴァンダム自身が務めているのですが、自分の見せ方をよく心得ているものだと感心しました。

セガールもそうでしたが、後に登り詰めるアクションスターはセルフプロデュースに非常に長けています。どの世界も、頭が良くなければ上には行けないものなんですね。

トン・ポーの堂々たるヒールぶり

主人公カートの前に立ちふさがるのがムエタイチャンピオン・トン・ポーなのですが、こいつの強敵ぶりもなかなかのものです。

バカでかい体に、特殊メイクを施した強面の顔と、一目見ただけで桁外れに強いことが分かるほどのインパクトを持っています。『キン肉マン』で悪魔将軍を初めて見た時くらいのインパクトがありました。

その登場場面では素足でコンクリートの柱を蹴っており、蹴られた柱からは白い欠片がポロポロ落ちているというパワー描写も素晴らしく、絶対戦っちゃいけない相手だということが観客にも伝わってきます。

キックボクシングの全米チャンピオンであるエリックはまったく歯が立たないレベルで敗退し、その後を継いだヴァンダムでも勝てないんじゃないのかというほどの堂々たるヒールぶりが頼もしく、彼が本作を牽引してくれます。

ラストバトルは装飾過多

かくしてカートvsトン・ポーの試合がクライマックスとなるのですが、ここでキャノン・フィルムズの要らんサービス精神が炸裂し、映画が一気につまらなくなります。

トン・ポーの背後にいる地元ヤクザはこの試合での一儲けを考えており、カートに負けさせるという八百長試合を企みます。そのために兄エリックを誘拐し、カートに最終ラウンドで負けろという指示を出すのですが、これがまったくの要らん筋書きでした。

ここで描かれるべきはカートvsトン・ポーのガチンコマッチだったし、全力でぶつかっていっても勝てそうにないほどの圧倒的なパワーと威圧感がトン・ポーにはありました。相手を負けさせるためのインチキなど本来は不要なキャラだったのです。

しかし八百長設定を置いてしまったがためにカートが手を抜いて戦っているという構図ができてしまい、スポーツ映画としての盛り上がりを逃しています。これは勿体ない限りでした。

また、この試合ではバンテージに松ヤニを塗った上でガラスの破片をくっつけ、拳を凶器にするという独特なルールが置かれているのですが、これもまたガチンコマッチを邪魔する要因になっています。

カートもトン・ポーも手の甲の凶器を試合でほとんど使わないので、双方がお行儀よく紳士的に戦っているような印象となってしまい、勝つために死力を尽くすというデスマッチ感がむしろ削がれています。 素直に殴り合いにしておけばよかったのに、なぜ余計な装飾をいっぱいくっつけてしまったんでしょうか。

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