【凡作】エクスペンダブルズ4 ニューブラッド_キャスティングが弱い(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(2023年 アメリカ)
アクション映画界のレジェンドたちが出演しなくなった『エクスペンダブルズ』。ジェイソン・ステイサム一人が走り回っている状態で集団アクションでもなくなっており、もはやシリーズの維持が難しくなっていることがはっきりとわかった。

感想

前作『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年)から9年も待たされた第4弾。

2023年9月の全米公開直後から悪い評判しか聞こえてきておらず、さすがの私も心配になってきた。

公開直後の三連休の中日に映画館へ行ったけど、驚くほどガラガラ。シリーズ全作を映画館で見ているけど、ここまで客入りが悪いのは初めてのことだ。

傭兵ラフマト(イコ・ウワイス)が、オセロットと呼ばれる謎のテロリストと共謀して核兵器を起動しようとしている。ロシアも絡む微妙な案件で米国政府が直接手出しをすることもできず、CIA捜査官マーシュ(アンディ・ガルシア)よりエクスペンダブルズに案件が委託されるというのが、ざっくりとしたあらすじ。

まぁお話はあってないようなもので、行き詰れば方向転換を繰り返すので、間違ってもストーリーを味わおうとしてはいけないのはいつものこと。

本作固有の問題と言えるのは、キャスティング面での充実のなさだろう。

『エクスペンダブルズ』はスタローンの顔と交渉力により豪華なキャストをかき集めることで定評のあるシリーズで、特に第3弾は往年のアクション俳優たちに加えて、メル・ギブソンにハリソン・フォードまで出演してエライことになっていた。

本作も企画開始直後にはピアース・ブロスナンの名前があがったり、悪役にジャック・ニコルソンが検討されたりしていたのだが、開発地獄に陥ったうえに、コロナ禍で製作現場が非常に不安定となったことから、うまく人を集められなかったようだ。

しいて言えばアンディ・ガルシアとミーガン・フォックスが「エクスペンダブルズらしい」キャスティングと言えるのだろうけど、どちらも弱い。

特にミーガン・フォックスなんて『トランスフォーマー』の最初の2本くらいしか代表作がなくて、その全盛期ですらスターと言えたのかどうか怪しいものだった。

ちなみにフォックスは、マイケル・ベイ監督をヒトラーに例えた発言がスピルバーグの逆鱗に触れて『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(2011年)から降板させられたんだけど、その代役を務めたロージー・ハンティントン=ホワイトリーは、現在のジェイソン・ステイサムのパートナーだ。

そんな関係性のあるフォックスとステイサムを元恋人ということにした本作の設定はなかなか飛ばしているんだけど、悲しいかな、この遊びに気づいた人はほとんどいないようだ。

それくらいミーガン・フォックスは忘れられた人だということなんだろう。

さらにはシュワルツェネッガーやジェット・リーといった常連メンバーもシリーズを離れていき、「タフガイ達の同窓会」という当初のコンセプトは完全に消え去った。

レジェンド枠で残ったのはスタローンとラングランの2名だけなんだけど、スタローン77歳、ラングレン66歳はどちらもしんどそうで、見せ場にはほとんど絡んでこない。

新メンバーは微妙、レジェンドは動けないということで、本作で走り回っているのはステイサムだけだ。もはや集団アクションという枠組みすら風前の灯で、シリーズのアイデンティティはほぼ失われたと言っていい。

そんなわけで、シリーズの大ファンである私ですら擁護することが難しいほどの出来の悪さだったんだけど、ステイサムのアクションのキレは相変わらず素晴らしい。

またそこかしこで銃弾が飛び交い、景気よく爆破が起こる見せ場も、アクション映画好きのおなかを満たす程度にはできていたと思う。

ジャッキー・チェンとシルヴェスター・スタローンの競演作になる予定だった『プロジェクトX トラクション』(2023年)も監督したスコット・ウォー監督は、最低限の仕事はしたと言える。

「いつの時代の映画ですか?」と言いたくなるほどCGの出来が悪いなどの問題はあったけど、アクション映画としては、まぁ及第点を付けられるんじゃないだろうか。

エクスペンダブルズシリーズ
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