【良作】アクション・ジャクソン/大都会最前線_バカって最高!(ネタバレなし・感想・解説)

クライムアクション
クライムアクション

(1988年 アメリカ)
映画としての完成度は地の底を這うくらいのレベルなのですが、何も考えずにノリと勢いだけで見るべきアクション映画として考えると、顔面力の強い出演者達、景気よくあがる火柱、道理を無視して突っ走る暴力と、楽しくなる要素が実に多いので憎めない魅力があります。

頭を使いたくないときに見る映画

いきなり映画とは関係のない話から入るので、関心ない方はここは読み飛ばしていただいても結構です。

今週は会社の決算で死ぬほど大変でした。このブログのタイトルにもある通り私は公認会計士で、今は一般企業に勤めています。で、3月決算の会社なので4~5月は決算作業や事業報告書作成作業などあって、経理はとても大変な時期に当たります。

うちはまだ上場企業ではないものの、会社法監査を受ける義務はあるので監査法人対応もしなきゃいけないし。

普段は私の言うことなんて聞きやしない経理のおばちゃんたちも、この時期になると「あなたは会計士だから」「あなたは役員だから」と私を立ててくる、否、いろんなことを押し付けようとするわけで、特にここ数週間はカオスだったわけです。

そんなカオスも今日でほぼほぼ目途が立ち、疲れと安堵の中でケンタッキーのとりの日パックを買って帰宅。そして寝るにはまだ早い時間なので、何か映画を見ることにしました。

しかし頭を使うような映画も、監督の思いがぎっしり詰まったような映画も今の心境じゃないよなぁという中で思いついたのが、この『アクション・ジャクソン/大都会最前線』(1988年)でした。

実は今まで見たことがなかったのですが、ヤフオクでLD漁りをしていた時に380円で販売されているのを見つけ、目当ての映画と一緒に買えば送料もかからないというので、とりあえず落札してみたものでした。

どうですか、「難しいことは何一つありません」とでも言いたげなこのジャケットは。裏面ではアポロことカール・ウェザースが「こんなにかっこいい人いていいの!?」というくらいの扱いを受けており、「これこそ今の感じだわ」ということで鑑賞することにしました。

ちなみに、本日は金曜ロードショーで『スタンド・バイ・ミー』(1986年)が放送されていてTwitterなどは大盛り上がりだったのですが、その時間帯、私は『アクション・ジャクソン』でした。

日本でたった一人ではないでしょうか。今宵、アクション・ジャクソンの気分だった人間は。

一目で間違いのないチョイスだったことを確信させる頼もしい主人公アクション・ジャクソン

ジョエル・シルバーのサービス精神炸裂

本作を製作したのはジョエル・シルバー。『コマンドー』(1985年)『ダイ・ハード』(1988年)、『マトリックス』(1999年)などで世界中の男子を熱狂させてきた大プロデューサーです。

で、本作にはそんなシルバー作品おなじみの面々が大集結しています。

主人公のアクション・ジャクソンを演じるカール・ウェザースは『プレデター』(1987年)でディロンを演じた信頼できる男だし、その上司役には同じく『プレデター』に出演し、『コマンドー』(1985年)ではシュワとタイマンも張ったビル・デューク。

『コマンドー』絡みでは、バルベルデ行きの飛行機にシュワの監視役として乗り込んだものの、死ぬほど疲れていることにされた大男(名前は良く知りません)も出演します。

あと、『リーサル・ウェポン』(1987年)でメル・ギブソンを拷問し、『ダイ・ハード』(1988年)でチョコバーを食べながら警官隊を迎え撃った薄毛でロン毛のアジア人が悪人のボディガード役で出てきます。

『ダイ・ハード』絡みでは、リムジン運転手と無能なFBI捜査官も登場。

ここまでくるとアクション映画のわき役オールスター感謝祭であり、次々に現れるおなじみの顔を見ているだけで嬉しくなってきました。

そんな男臭溢れる作品に花を添える女性陣も魅力的です。

悪党の新妻役として100点満点で150点くらいの超美女が登場するのですが、これが若い頃のシャロン・ストーン。そして悪党の愛人役としてやたらセクシーな黒人歌手が登場するのですが、これがモデルで歌手のヴァニティ。

どちらの美女もゴージャスなルックスだし、まったく必要がないにも関わらずおっぱいを出します。「カール・ウェザースが肉体美を披露するなら、女優陣の肉体美も見せないとお客さんは納得しないだろ」というジョエル・シルバーのサービス精神が伝わってきました。

もはやひれ伏すしかないシャロン・ストーンの美貌。↑のカール・ウェザースの写真と並べると何の映画だか見失いそうになる破壊力

またひとたびジャクソンがアクションし始めれば、火薬とガソリンの量を間違えたのかと思うほどの激しい爆発が起こり、画面全体が真っ黄っ黄になります。この過剰さもシルバー印なのです。

話を追う必要はほとんどない

内容はと言うと、デトロイトで自動車組合の幹部が次々と殺され、どうも自動車会社の社長デラプレイン(クレイグ・T・ネルソン)が怪しいということになってきます。

デトロイト市警のジャクソン刑事(カール・ウェザース)は過去にデラプレインとの因縁を抱えていたこともあってこの事件に深入りするのですが、そうこうしているうちに身に覚えのない殺人容疑をかけられ、逃亡する身になりながらも真相に迫ろうとします。

とまぁ話らしい話は一応あるのですが、現場での思い付き重視だったのかと思うほどこのストーリーは大事にされておらず、本筋とはほとんど関係なしにジャクソンがアクションするだけの映画になっています。

めんどくさくなってきたのか、後半では事件の背景や真の目的、これからやろうとしている悪事をデラプレイン自身が全部説明してくれるので、点と点を線で結ぶ地道な捜査なるものはこの映画には存在しません。

主人公ジャクソンにしても、元陸上選手でハーバード大学院卒の文武両道、2年前に容疑者に対して暴力を振るったために署内では冷や飯を食わされており、家族にも逃げられたという込み入った設定が与えられているのですが、これらが本編にはビタ一文反映されていません。

推測するに、元は本作にもドラマツルギーなるものが存在していたが、カール・ウェザースに演じさせる中で「そういうのはなくても成立するのではないか」という認識が広まって余計なものが削ぎ落されていき、最後には痛快な部分しか残らなかったのではないか。

お通しを出さない居酒屋のような顧客ファーストの姿勢には感動しか覚えないのですが、そんな感じなので話を理解しようとしたり、捜査を楽しもうとしたりしてはいけません。真面目に話を追っていると失望するので。

いい加減なアクション映画だと思って見ていると、脳みそがとろけそうになる様な楽しい感覚を楽しむことができます。

特にクライマックスの「もう怒ったぞ!」と怒鳴ってからジャクソンが容赦のない暴力を振るう場面は圧巻でした。たまにはこういうのもいいじゃないですか。

「もう怒ったぞ!」

ちなみに本作はDVDやBlu-rayのリリースはないのですが、Amazonプライムにて有料配信されているので、見ようと思えば簡単に見ることができます。

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