【駄作】孔雀王_地獄にパンツがあるのか(ネタバレあり・感想・解説)

SF・ファンタジー
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(1988年 日本・香港)
日本の漫画を日本・香港合作で実写化した作品だが、本来は緻密に構築すべき物語を、基本的に脚本を作らない時代の香港で作ってしまったために、ハチャメチャなことになっている。バブル全盛期の日本社会特有の、何か新しいことにチャレンジしたいという思いだけはひしひしと伝わってきたが。

感想

昔、ゴールデン洋画劇場でやってましたな

1981年生まれの私の世代にとっては、なかなか思い出深い映画。

小学生の時にゴールデン洋画劇場で見たんだけど、「リン、ピョウ、トウ、シャー…」という呪文には妙に子供心をくすぐるものがあり、月曜の学校では何人かでマネをした。

歳の離れた兄ちゃんのいるクラスメイトは何かしらの情報入手経路を持っていたようで、例の呪文と手さばきを完コピしてクラスのヒーローになった。そんな映画。

バブル全盛期のフジテレビも製作に噛んでおり、子供目にも豪勢な作りであることは分かった。アニマトロニクスとストップモーションの組み合わせで作られた怪物や、壮大な地獄門など、金と手間暇が惜しみなく注がれていることは十分に伝わってくるのだ。

また香港の大スターだったユン・ピョウが見せるアクロバティックなアクションにも感動で、日本の特撮と香港のカンフーのハイブリッドにはお得感があった。

そんな気合の入った作品ではあるのだけど、かなり不憫な扱われ方をしている。

香港では主人公 孔雀を演じた三上博史の登場場面がバッサリ落とされ、ユン・ピョウを孔雀とした再編集版が作られるわ、日本ではVHS以降のソフトリリースが止まっているわ、フジテレビが製作したのに地上波放送はたったの2回だけだわと、ほぼ封印作品の如く扱われているのだ。

なぜこんなことになったのかはよくわからんが、現在、市場で入手可能なのは香港での再編集版か、30年以上前の中古VHSのみである。香港バージョンに日本語は収録されていない。

幸運にも私は1991年のゴールデン洋画劇場の録画テープを実家で発掘したので、プレ値がついているVHSを買わずに本作を再鑑賞することができた。

『マスターズ/超空の覇者』(1987年)の記事でも触れたとおり、実家のおかんがビデオテープを大量処分するという一大事があり、残されたビデオテープの保護に走った。その際に救出されたうちの一本が本作である。

3倍録画されたテープの画質には、現在の大画面テレビで見るとかなり厳しいものがあったが、とはいえテープが痛んでいるわけでもないので、見るには見れた。

「優遊族」というJACCSカードのCMが懐かしい。当時のCMは外国人ばかり起用していたなぁ。ジョルトコーラは結局定着しなかった。当時、一度だけ飲んだが。チチンプイプイ、アリナミンV!

…と、懐かCMの感想ばかりになったことからもお察しの通り、映画の出来は酷かった。「こんなにつまんなかったっけ?」と驚いたほどで、標準的な2時間枠に収まる内容ながら、実際の上映時間以上の長さを感じた。

脚本の出来が恐ろしく悪い

何がそんなに酷かったかって、脚本の出来が壊滅的に悪すぎるのだ。本来は緻密に構築すべき物語を、基本的に脚本を作らない時代の香港で作ってしまったために、ハチャメチャなことになっている。

チベットで地獄少女アシュラ(グロリア・イップ)が復活する。アシュラは地獄門を開く存在らしく、ラマ僧のコンチェ(ユン・ピョウ)は師匠からその封印を命じられる。

同じころ、東京では日本人僧侶の孔雀(三上博史)が異変を察知していた。

小田急デパートの恐竜展で魔物との戦闘を開始する孔雀だが、かつて経験したことないほどの強敵だったので苦戦。そこに飛び入り参戦するのがアシュラを探して東京くんだりまでやってきたコンチェであり、二人の力で魔物は撃退される。

こうして出会った孔雀とコンチェが協力してアシュラを追いかけるのかと思いきや、すぐに別々の行動をとり始めて、後に舞台を移した香港で再会を果たす。なぜ主人公の出会いを二度も描く必要があったのか、理解に苦しんだ。

本作は万事がこんな感じ。

後半にて、孔雀とコンチェもまた魔界の生まれであることが判明する。二人は地獄門にいる皆魔障外神(かいましょうげじん)を起動させるトリガーらしく、彼らが皆魔障外神に取り込まれると、この世は魑魅魍魎の支配する世界と化すらしい。

  • アシュラ:地獄門を開くキー
  • 孔雀&コンチェ:皆魔障外神にパワーを与える存在

こういうことらしいが、どちらも破局のトリガーという点で重複しているので、戦いのゴールがブレブレになってしまう。

さらにはアシュラが純粋無垢な存在であることに気づいたコンチェが彼女を救おうとし始め、旅の目的は二転三転し続ける。

また孔雀とコンチェの命を狙う裏高野山という組織も登場するんだけど、二人の正体が暴かれる終盤に至るまで、こいつらが一体何をしたいのかがよく分からない。そのこともまた混乱の原因となっている。詰め込みすぎなのだ。

結局、地獄門は開かれるし、コンチェは皆魔障外神に取り込まれてしまう。これまで必死に防ごうとしたことがことごとく実現してしまうのだが、三上博史と、その師匠の緒形拳の力でどうにかなってしまうので、大した敵じゃなかったんじゃないかと思ったりで。

大した敵じゃないと言えば、ついに復活した皆魔障外神のお姿もそうで、なんとパンツを履いている。

地獄にパンツなんてあるのか?破壊の神が羞恥心を持っているのか?そんなことが気になって仕方なかった。

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