【凡作】エクソシスト3_『1』のチョイ役が主役に大出世(ネタバレあり・感想・解説)

サスペンス・ホラー
サスペンス・ホラー

(1990年 アメリカ)
シリーズ第3弾ではあるが、実質的には『1』の続編。原作者自身が脚色し、監督も務めた意欲作で、素晴らしいショックシーンもいくつかあるけど、全体的には冗長でテンポが悪い。他人に監督を任せるべきだった。

感想

むか~し、子供の頃にゴールデン洋画劇場で見た時には面白いとは感じなかった映画。

とはいえ熱心な支持層がいることや、DVDのプレ値化などでちょっと気になっていたところ、Amazonプライムで見放題配信されているのを発見したので30年ぶりに再見した。

もしも面白ければ、2025年2月に是空より発売された4Kレストア版を買おうかと思ってたけど(どうせまたプレ値化するのだろうし)、感想は昔と変わらなかったので購入はスルーに決めた。

『エクソシスト』(1973年)の一件から15年後、キンダーマン警部補は被害者の首を切断するという手口の連続猟奇殺人事件を追いかけていた。

それは15年前に発生した双子座殺人事件の模倣と思われる犯行だったのだが、問題は、15年前の犯人はすでに死刑執行済でこの世にいないにも関わらず、一般には未発表の細部までが正確に模倣されているということだった。

犯人逮捕の糸口すら掴めない中、「自分は双子座殺人犯だ」と名乗る精神病患者がいるというので会いに行ってみると、15年前の悪魔祓いで死んだはずのカラス神父と同じ顔の男だったというのが、ざっくりとしたあらすじ。

映画を見た後に調べて分かったのだが、キンダーマン警部は『エクソシスト』(1973年)に出てきた刑事さんのようだ。

映画版では小さな役柄だったうえ、第一作で演じていたリー・J・コッブが1976年に逝去したことからジョージ・C・スコットにリキャストされたこともあり、見ている間はあの人物だと全然気づかなかった。

そしてキンダーマンは生前のカラス神父とマブダチで、あの一件から15年経った今でも神父の命日には気分が落ち込むので、もう一人の親友ダイア―神父(エド・フランダース)と一緒に過ごすことが恒例になっているとのこと。

第一作を振り返って、キンダーマンとカラス神父はそんな関係性だったっけ?と不思議に思ったのだけれど、どうやら小説版のキンダーマンは重要人物だったらしく、本作は小説の方の設定を引き継いだものだと思われる。

というわけで、映画しか見ていない人にとってはキンダーマンとカラスの関係性が分かりづらいので、思いがけない形で再会することとなったキンダーマンの驚きも、クライマックスの悲しい決着も、あまり心に響いて来なかった。

あとダイア―神父も第一作に登場済だったようだけど、こちらの存在は完全に忘却の彼方だった。

というわけで基礎となる人間関係がよく分からなかったことは、作品理解に対する大きな障害となった。彼らの関係性への言及はもっとあっても良かったと思う。

本作は『エクソシスト』の原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティがその続編として執筆した小説『レギオン』を原作としており、映画化に当たっての脚色も演出もブラッティ自身が担当した。

ジョン・カーペンターへの監督依頼もなされていたようなのだが、ブラッティが監督したがっていることを察したカーペンターは身を引いたらしい。

かくして原作者自身が監督したことの弊害か、この映画はとにかく冗長でテンポが悪い。

そして何でもかんでもセリフで説明しようとする。

キンダーマンと殺人鬼の対話なんて延々7分も続くんだけど、その一方で死体の描写は一切ない。

とにかく俗物的に見せ切ったウィリアム・フリードキンとは正反対のアプローチなんだけど、映画は絵で見せてナンボじゃないの?

禁欲的で安易なショックシーンに頼らないストイックさはある意味で魅力的ではあるのだが、映像メディアとしての本質を見失うレベルでこれをやられると、刺激不足へと繋がってしまう。

私は何度も寝落ちしかけながら、何とか完走した。

途中、トラウマ級に素晴らしい場面がいくつかあるのでブラッティにホラー監督としてのセンスはあるのだと思うけど、1人で何役もこなした結果、客観的な調整が利かなかったのが本作の欠点だろう。

完成した作品の出来を危惧した製作会社は、急遽400万ドルもの追加予算を組んで、元の脚本には登場しなかったクライマックスの悪魔祓いを追加撮影した。

監督の意に反した再撮は映画ファンによる非難の的になりがちだが、そうでもしないと地味なままで終わってしまうとした今回のスタジオ判断、今度ばかりは間違っていないんじゃないか?

実質上のディレクターズカット版である『レギオン』と見比べないとその判定はできないのだけれど、そちらのバージョンは4Kレストア版を買わないと見られない。

やはり買うしかないのかな。

けど高いんだよなぁ・・・

≪エクソシスト シリーズ≫
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