(2018年 フランス)
80年代B級アクションのパロディ映画。「あの頃の映画が大好きなんだろうなぁ」ということは十分に伝わってくる内容だし、元ネタのチョイスも結構ツボで、趣向が近い人は楽しめると思う。ただし内輪のパロディの域は越えていないので、純粋に映画としての出来を求めてはいけない。
感想
Amazonプライムに上がっていたのを鑑賞。
今の今まで知らない映画だったけど、製作費をクラウドファンディングで集めると予定額の2倍集まるなど、一部では盛り上がった作品らしい。
原題も同じく『コマンドーニンジャ』。このタイトルからお察しの通り、80年代B級アクションをこよなく愛する人々が集まって作った映画である。
1968年のベトナムで作戦行動中の部隊が、光学迷彩装置を着た敵+忍者軍団に襲われて壊滅する。
時は移って1986年、かつての部隊のメンバーたちはこんな感じになっていた。
- ジョン・ハンター:ベトナムで捕虜にされた際にニンジャになるための稽古を付けられた。現在は妻子と離れて山奥で隠居生活を送っている。
- ホプキンス:ベトナムで失った腕をロボットアームで補ったウィンターソルジャー状態で、現在も軍に所属して武器商人キンスキーを追っている。
- コワルスキー:全身サイボーグ化されており自我がない
武器商人キンスキーに操られたコワルスキーがジョンの元嫁を殺害し、娘ジェニーを誘拐。ジョンは娘の奪還に乗り出すというのが、ざっくりとしたあらすじ。
ジョンとジェニーは『コマンドー』(1985年)の主人公親子と同じ名前だし、キンスキーの本拠地があるのは中米バルベルデ共和国で、細かいネタにまでジョエル・シルバー愛が炸裂している。
またベトナムでジョンに稽古を付けるイン所長はチャック・ノリス主演『地獄のヒーロー2』(1985年)の悪役の名前が由来らしい。
この通り80年代アクションにどっぷり浸かった人々が作った映画なので、同じ趣向を持つ私はそこそこ楽しめた。
ただしあくまでファンムービーで、それ以上のものになっていないのもまた事実。
銃撃戦も格闘技も「素人が見よう見まねで頑張って覚えた」レベルだし、ストーリーは好きな場面を挿入するためのつなぎ程度のものでしかない。
なので映画としての完成度は限りなく低く、一つ一つの元ネタが分からない人にとっては拷問のような時間になるかもしれない。
素人に限りなく近い人たちが低予算で作った映画なので多くを求められないが、それにしても低い志で作りすぎなようは気がする。
ただし「コマンドー!ニンジャ!」の繰り返しが癖になるエンディングテーマは、80年代ポップスの特徴をよく捉えた名曲だと思った。