【凡作】グレムリン_ブラックなクリスマス映画(ネタバレあり・感想・解説)

クリーチャー・メカ
クリーチャー・メカ

(1984年 アメリカ)
クリスマス映画の定番だけど、コメディにしては毒が強すぎるし、ホラーにしては刺激が足りないし、なんだか中途半端な印象。ギズモの奇跡的なデザインに救われているだけで、実はそれほど大衆にフィットする作品でもないような気がする。

感想

午後ローさんが『1』と『2』を2週連続放送という粋な企画を準備してくださったので、録画して鑑賞。

昔は地上波の定番メニューで、子供のことには地上波洋画劇場で放送されるたびに見ていたけど、実はそんなに好きでもなかった。

なぜって、かわいいギズモが出てくるファミリー映画と見せかけて、やってることは結構エグい。かといってホラーとしてはユルい。どう見ていいのかよく分からなかったのだ。

冒頭、街の銀行家のおばあちゃんに向かって、貧しい子連れが「返済を待ってください」と言う。結構切実な雰囲気なのだが、おばあちゃんは「ビタ一文負ける気はない」と取り付く島もない。

続いて銀行に入ったおばあちゃんは、主人公ビリー(ザック・ギャリガン)の飼い犬に物を壊されたと主張し、犬を保健所に連れて行って殺処分しようとする。これまた容赦がない。

極端なキャラ設定なので辛うじてコメディであることは分かるけど、冗談と言うにはあまりにもネタが生々しすぎる。

後のグレムリン騒動で、はっきりと死亡が確認できるのはこのおばあちゃんだけなんだけど、自宅の階段昇降機を急発進させられた勢いで窓を突き破っての転落死という、これまたエグい死に方をする(今回の地上波放送ではカット)。

これをどう受けとめればよかったんだろう。勧善懲悪としてスっとすればよかったのか?過剰な死に方に笑えばよかったのか?イマイチよく分からん。

ヒロイン ケイトのキャラ設定も独特だ。

当時絶大な人気を誇っていたフィービー・ケイツが演じているので見た目は可憐なんだけど、終盤での独白がこれまた怖すぎる。

彼女はクリスマスが嫌いだと言うのだが、その理由がトラウマもの。

ケイトが8歳のクリスマス、大好きな父が家に帰ってこなかった。数日後、家の暖炉から異臭がするので調べてみると、サンタの恰好で煙突に入った父が首を骨折して死んでいた。

クリスマスに身内の死というだけでもキツいのに、家族を喜ばせようとしたばかりに愛する父が事故死というのは厳しすぎる。

その他、グレムリンを電子レンジにかけて破裂させるとか、ミキサーにかけて粉々にするとか、描写がまぁまぁエグい。かといってホラー映画としての方向性が追及されているわけでもなく、特に怖くも恐ろしくもないのだから困ったものである。

この通り、少年期に感じた違和感は今回の鑑賞でも同じくで、やはりどう見ていい映画なのかが分からなかった。

世間的には不評なようだけど、ブラックコメディとして突き抜けた『2』のほうが好きだ。

あと、大人になった今になって分かったこともあって、ビリーはアッサリと約束を破りすぎだし、ビリーの家がどうやって生計を立てているのかも謎過ぎる。

ビリーの親父は売れない発明家で、本当に何の役にも立たなさそうなガラクタばかりを作ってるんだけど、そのための材料費もかかれば、ある程度の設備も必要だろう。

少なからずコストをかけつつ、まったく売れそうにないものを時間をかけて作り出す。

裕福とまではいかないが特段貧しくもなさそうなこの家が、一体どうやって食い扶持を稼いでいるのかはモグワイの生態以上に謎が多い。

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