【全6作】ミッション:インポッシブルシリーズはどれを見るべきか【ぶっちゃけレビュー】

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

今やアクション映画の老舗フランチャイズの一つとなった感のある『ミッション:インポッシブル』シリーズですが、数が多すぎる上に途中からタイトルのナンバリングもなくなって、新規参入者にとってはどれを見ればいいのかが分かりづらくなっています。

そこでシリーズ全作を振り返ると共に、どれがアタリ回なのか、見なくてもいいハズレ回はどれなのかを独断と偏見で決めたいと思います。

『ミッション:インポッシブル』とは

1966年から1973年まで放送された往年の人気ドラマ『スパイ大作戦』(原題”Mission:Impossible”)のリメイク企画です。

オリジナルの『スパイ大作戦』は東西冷戦を背景として、スパイ組織IMF(Impossible Mission Forceの略)がアメリカ政府では直接手を下せない人物や陰謀を対象とした任務を遂行していくという内容であり、変装の名人、容姿端麗な美女、電子機器の専門家らがチームを組んで毎回困難な任務に挑んでいました。

ドラマはエミー賞やゴールデングローブ賞などを受賞する高評価を獲得し、また7シーズンも続くほどの人気を博し、日本でもテレビ放送されていました。

さすがに現在30代後半の私の世代では馴染みがないのですが、1990年代には深夜0時頃に往年の海外ドラマ(『新スター・トレック』『特攻野郎Aチーム』『冒険野郎マクガイバー』)が再放送される枠が地上波にあり、その枠で眠い目をこすりながら何話か見た記憶はあります。

ドラマは1973年に終了したのですが、1986年頃にパラマウントが映画化権を取得。しかし1988年の脚本家組合ストライキのどさくさに紛れて企画が頓挫し、そこから何年も店晒しのような状態が続いていました。

そんな中、パラマウントとの関係が深く、また新会社クルーズ/ワグナー・プロダクションズの設立にあたりめぼしい企画を探していたトム・クルーズがこれに目を付け、同社の第一回作品として『ミッション:インポッシブル』(1996年)が製作されることとなったのでした。

作品レビュー

ミッション:インポッシブル(1996年)

あらすじ

イーサン・ハントが率いるIMFのチームは、プラハのアメリカ領事館に敵の内通者がいるという情報から、その内通者を押さえるための任務に従事する。しかし任務の情報は敵に漏れており、イーサンを除いてチームは全滅。回収地点でCIAと合流したイーサンは、このミッション全体が裏切り者を炙り出すための罠だったことを教えられ、唯一の生き残りだったイーサンが裏切り者と見做される。

製作年 1996年
監督 ブライアン・デ・パルマ
脚本 デヴィッド・コープ
ロバート・タウン
スティーヴン・ザイリアン
グロリア・カッツ&ウィラード・ハイク(原案)
上映時間 110分
製作費 8000万ドル
興行収入 (北米)1億8098万ドル
(世界)4億5769万ドル
受賞歴 【ラジー賞】
1億ドル以上の興行成績をあげた作品でのワースト脚本賞(ノミネート)
【MTVムービーアワード】
アクション・シーン賞(ノミネート)
IMDBレート
(2020年2月19日閲覧)
7.1

(ハズレ回)無駄にややこしくて面白くない

記念すべき第一作にして、1996年の全世界年間興行成績3位を記録した大ヒット作。ただし上記作品データ欄にもある通りラジー賞へのノミネート歴もあり、批評的には微妙なものでした。批判の対象になったのはこの2点。

  • 物語が複雑すぎる
  • 『スパイ大作戦』とあまりに違いすぎる

「物語が複雑すぎる」については、トム・クルーズ扮するイーサン達が所属するのがIMFで、それとは別にCIAも関与しているのでIMFとCIAの一体どちらが諜報作戦の母体なのかがよく分からなかったり、本来は敵対者であるはずの武器商人マックス(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)とイーサン・ハントが一時的にくっつくが、イーサンはCIAからかけられた嫌疑が晴れ次第、マックスを裏切るつもりでいるなど娯楽作とは思えないほど込み入った構図が置かれています。その結果、登場人物の行動原理が読みづらく、話が頭に入ってきませんでした。

「『スパイ大作戦』とあまりに違いすぎる」については、オリジナルは国家機関に所属するメンバー達のチーム戦だったのに対して、本作においては早々にチームが崩壊し、たった一人で投げ出されたイーサンがはぐれ者の元スパイ達をリクルートしてIMFとは無関係な独自チームを立ち上げて古巣に立ち向かうという、確かに往年のファンからすればびっくり仰天という内容になっています。

オリジナルに馴染みのない私からすれば後者の欠点は割かしどうでも良かったのですが、娯楽作としての面白さが大いに毀損されている前者の欠点は致命的でした。

有名脚本家を何人も雇い、凄まじいコストをかけて書かれた脚本なのに、どうしてこんなに分かりづらいんだろうかと不思議で仕方ありませんでした。

イーサンがある重要人物の裏切りに気付くという決定的な場面では、あまりにも状況が分からな過ぎて観客にとっては何が起こったのかが伝わってこないという、恐ろしい事態までが発生していました。

褒められる点は、シリーズで唯一、国家間のパワーゲームという背景が鮮明に描かれていることであり、公開時には「こんなのスパイ大作戦じゃない」と言われたものの、シリーズを俯瞰するとオリジナルの雰囲気をもっとも残した作品になっていました。

で、結論ですが、本作は特に見る必要ないと思います。

映画としてさほど面白くはない上に、第一作目であるにも関わらず話を崩しすぎていて「『ミッション:インポッシブル』シリーズを見るのであれば絶対に知っておくべき基礎」というものがそこにあるわけでもなく、これを飛ばしても続編以降は問題なく理解できます。

ミッション:インポッシブル2(2000年)

あらすじ

強力な殺人ウィルス・キメラとその治療薬ベレロフォンが、元IMFエージェントで現在は国際的なテロリストであるショーン・アンブローズ(ダグレイ・スコット)に強奪される。これに対しイーサン・ハントのチームは、アンブローズの元恋人であり国際的な窃盗犯であるナイア・ホール(タンディ・ニュートン)の身柄を確保し、アンブローズの元に送り込む。

製作年 2000年
監督 ジョン・ウー
脚本 ロバート・タウン
ロナルド・D・ムーア
ブラノン・ブラーガ
上映時間 123分
製作費 1億2500万ドル
興行収入 (北米)2億1540万ドル
(世界)5億4638万ドル
受賞歴 【ラジー賞】
ワースト助演女優賞(ノミネート)
ワースト・リメイク・続編賞(ノミネート)
【MTVムービーアワード】
男優賞(受賞)
アクション・シーン賞(受賞)
IMDBレート
(2020年2月19日閲覧)
6.1

(ハズレ回)シリーズ中ワースト作品

2000年の全世界年間興行成績で堂々1位を獲った大ヒット作なのですが、なぜこれが広く受け入れられたのだろうかと不思議になるほど面白くない映画でした。

今回の敵はIMF出身者で、現在は国際テロリストのション・アンブローズ(ダグレイ・スコット)。闇落ちしたイーサン・ハントとでも言うべき存在感と、イーサンが何をしようが手の内を読まれてしまう強敵感が本来あるべきキャラクターだったのですが、彼が全然怖くないことがまずアウトでした。

元カノのナイアへの未練タラタラで、彼女に裏切られるんじゃないかと不安になってメソメソしたり、部下を理不尽な理由で怒鳴りつけたりと、強敵というよりも情緒が不安定な人に成り下がっています。

話自体も面白みに欠け、キメラとベレロフォンという二つのアイテムを準備し、両方を奪還しないとミッション達成とはいかないという高いハードルを設定した割には、特に難しくもなくイーサンが任務遂行しているように見えています。

ジョン・ウー印のアクションの出し惜しみもひどく、クライマックスのバイクチェイスに至るまで余りにも待たされすぎてダレまくりでした。

とにかくすべてにおいて失敗した作品であり、中盤の退屈さは苦行に感じられるほどなのですが、それでも褒めるべき点としては、シリーズでは珍しく平常ミッションが描かれているということでした。

『ミッション:インポッシブル』とはその名の通り官僚組織から下された任務をやり遂げる話であるべきなのですが、第一作の時点から組織から投げ出された個人行動となり、後続作でもIMFが解体されたり、組織から追われる身になりながらも巨悪を突き止める話になったりと、任務という点がひどく疎かにされています。

そんな中で、本作だけはイーサンが本部からの指示に従って動き、最終的に任務を完了させるという平常営業となっています。

ミッション:インポッシブル3(2005年)

あらすじ

イーサン・ハントは現場から引退して教官をしていたが、元教え子のリンジー(ケリー・ラッセル)がベルリンで敵に捕らえられたとの報告を受け、自ら奪還作戦を指揮する。リンジーの奪還には成功したが頭に仕掛けられていた爆弾により死亡。怒りに燃えるイーサンは国際的な武器商人にして敵の首領であるデイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)を捕らえるが、ワシントンへの護送中に敵の強襲部隊に襲われ、デイヴィアンを奪われる。そしてデイヴィアンはイーサンの妻ジュリア(ミシェル・モナハン)を人質にとり、ラビットフッドと呼ばれるものの強奪をイーサンに指示する。

製作年 2005年
監督 J・J・エイブラムス
脚本 J・J・エイブラムス
ロベルト・オーチー
アレックス・カーツマン
上映時間 126分
製作費 1億5000万ドル
興行収入 (北米)1億3402万ドル
(世界)3億9785万ドル
受賞歴
IMDBレート
(2020年2月19日閲覧)
6.8

(アタリ回)難易度・緩急のバランスが良い

なんだかモヤモヤ感の多かった『1』『2』からは見違えるほど面白くなった作品。

物語は二転三転するのだが決して分かりづらさはなく、見せ場の連続でストーリーが語られるという、アクション映画として理想的な仕上がりとなっています。

イーサンの個人プレイと仲間達とのチームプレイが絶妙に組み合わされていたり、シリーズお馴染みの変装マスクが作られる過程が描写されたり、任務においてビルからビルへと飛び移る計画を立てる際には、イーサンが振り子運動の計算式を組んで実現可能なことかを数的に検証するというひと手間を加えたりと、細かい描写にこだわることで荒唐無稽な見せ場にそれっぽさを出す工夫をしています。

監督はJ・J・エイブラムス。今や『スター・ウォーズ』と『スター・トレック』という両フランチャイズを手掛けた大物クリエイターとなりましたが、当時はテレビ界のディレクターであり、本作が映画監督としてのデビュー作となります。

もともと監督する予定だったジョー・カーナハン(『NARC ナーク』『THE GREY 凍える太陽』)の降板後、スパイ映画を愛するエイブラムスが企画に名乗りを上げて監督に就任した経緯があるのですが、ダイナミックアクションと緻密なディテールを兼ね備えた本作からは、エイブラムスのジャンル愛がばっちりと感じられます。

ただし、本作は興行的には行き詰りました。かけた製作費は1億5000万ドルとシリーズ最高額だったのですが、世界興収は3億9847万ドル、年間興行成績は9位に留まりました。普通の映画と比較すれば悪くない数字ではあるものの、このシリーズに向けられる期待値には届きませんでした。

ただしこの結果は作品の質を反映したものではなく、当時のトム・クルーズが起こした通称「ソファー事件」によるものでした。当時ケイティ・ホームズとの交際が公になったトム・クルーズは、トークショーに出演した際にテレビのセットを飛び回り、ソファーに飛び乗り、ひざまづいてケイティへの愛の告白をするという常軌を逸した浮かれ方を披露して、全米をドン引きさせました。

それまでの優等生的な活躍との落差もあってこの騒動は長く尾を引き、イタいスターの筆頭格となってトムの集客力は一時的に堕ちました。本作はちょうどその時期に公開されてしまったために、作品自体のクォリティの割には厳しいことを言われる可哀そうな存在となったのでした。

重ねて言いますが面白いので、『1』『2』は見なくても本作は見た方がいいです。

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年)

あらすじ

イーサンのチームは殺し屋サビーヌ・モロー(レア・セドゥ)に奪われた秘密ファイルを回収するためにクレムリンに潜入したが、任務中にクレムリンは爆破され、イーサンは容疑者としてロシアの諜報機関に拘束される。隙をついてイーサンは逃げるが「ゴースト・プロトコル」発動によりIMFは解体され、チームは組織のバックアップなしで任務継続することになる。

製作年 2011年
監督 ブラッド・バード
脚本 アンドレ・ネメック
ジョシュ・アッペルバウム
上映時間 132分
製作費              1億4500万ドル
興行収入 (北米)2億939万ドル
(世界)6億9471万ドル
受賞歴 【MTVムービーアワード】
格闘シーン賞(ノミネート)
ハラハラ演技賞(ノミネート)
IMDBレート
(2020年2月19日閲覧)
7.4

(アタリ回)すべてのアクションが非凡

前作から6年も空いての『4』ですが、この期間はトム・クルーズにとって辛いものでした。上述したソファー事件からヒット作を出せなくなり、『トップガン』(1986年)以来の蜜月だったパラマウントから契約を切られました。

パートナーのポーラ・ワグナーと共に経営不振のユナイテッド・アーティスツの実質的な経営者として迎え入れられたのですが、同社で製作した『大いなる陰謀』(2007年)と『ワルキューレ』(2008年)はどちらもヒットせず、わずか2年で経営を下りました。大スター・トム・クルーズにも、何をやっても駄目な時期があったのです。

なお、本作でジェレミー・レナーが演じるエージェント・ブラントは、トム・クルーズ離脱後のフランチャイズ継続のために、イーサン・ハントに代わる主人公として考えられていたキャラクターでした。

そんなこんながありつつもパラマウントとトム・クルーズが製作した本作は、「これがコケたら終わり」というトム・クルーズの壮絶な覚悟を反映したかのような異様なボリュームと密度を持つアクション大作に仕上がっています。

J・J・エイブラムスが製作として関与し続けていることから、『3』と同じく見せ場の連続でストーリーを引っ張るという姿勢は継続されているのですが、爆破や銃撃戦など標準のアクション映画フォーマットに近かった『3』とは対照的に、本作はシチュエーションや見せ方にこだわり抜いた特異な見せ場が続きます。

序盤のクレムリン潜入に始まり、ブルージュハリファの壁登り、砂嵐の中のチェイス、立体駐車場を利用した縦方向の格闘など、創意工夫に富んだ見せ場が続き、トム・クルーズ自身が危険なスタントに挑んでいるという説得力もあって、アクション映画としては破格の仕上がりとなっています。

ストーリーの練り具合もハンパなものではなく、二転三転どころではない話は『1』以来の複雑さとなっています。ただし、僅かでも油断すると脱落しかねないほどの複雑なストーリーはちょっと考えもので、目を楽しませるアクションに馴染んでいるとは言い難いものがありました。これが減点材料ですかね。

それでも「Mission:Accomplished!(任務完了!)」の決め台詞に続いてメインテーマがジャジャ~ンと流れるクライマックスには椅子から立ち上がりそうになるほどの興奮があり、ストーリーとアクションのすべてをこの一言に収斂させるという構成の妙、演出の妙には唸らされました。

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015年)

あらすじ

イーサンはシンジケートと呼ばれる犯罪組織の調査のためにロンドンを訪れるが、逆にシンジケートに拘束されてしまう。謎の工作員イルサ(レベッカ・ファーガソン)の手引きで脱出するが、IMFを吸収したCIAによりイーサンは反逆者と見做されており、国際指名手配をされる。

製作年 2015年
監督 クリストファー・マッカリー
脚本 クリストファー・マッカリー
ドリュー・ピアース
上映時間 131分
製作費              1億5000万ドル
興行収入 (北米)1億9377万ドル
(世界)6億7377万ドル
受賞歴 【放送映画批評家協会賞】
アクション映画賞(ノミネート)
アクション映画男優賞(ノミネート)
アクション映画女優賞(ノミネート)
IMDBレート
(2020年2月19日閲覧)
7.4

(ハズレ回)冒頭だけ見れば十分

前作『ゴースト・プロトコル』で開花したトムのデスウィッシュアクションは更に過激化し、本作の冒頭では離陸する輸送機にしがみつくというありえないスタントをこなしています。主演スターが本当に飛行機にしがみついているという異様な光景。この人は完全に突き抜けた領域に行っちゃったなということを世界中が確信した衝撃映像でした。

ただし、本作最大の見せ場はここで終わります。以降も巨大タンクへのダイブやバイクチェイスなど見せ場は続くものの冒頭を越えるインパクトはなく、かつ、見せ場の規模は計ったようにサイズダウンしていき、最終的にはロンドンで数人の追いかけっこになるという、なんとも尻すぼみな状態となります。

物語も謎の女工作員イルサ(レベッカ・ファーガソン)が敵なのか味方なのかという点が軸となるのですが、二転三転するうちに「もうどっちでもええがな」となってしまいます。ミステリーの引っ張り方がうまくいっておらず、観客の関心を維持できていないのです。

また、荒唐無稽なストーリーへの言い訳の如く細かい理屈がセリフで説明されるのですが、一つ一つの論理が異様に込み入っていて、何を言ってんだか分からないことが多々ありました。で、何言ってんだか分からなくても作品理解にはさして支障が出ていないので、そもそもこんなまどろっこしい語り口にしなければいいのにということにもなってきます。

面白かったのはIMFを毛嫌いするCIA長官アレック・ボールドウィンの存在であり、「IMFは場当たり的な行動が多く、今まではたまたまうまくいってきただけ」とシリーズを見てきた観客の代弁をしてくれます。これには笑ってしまいました。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年)

あらすじ

イーサン、ルーサー、ベンジーは盗まれたプルトニウムが「アポストル」と呼ばれるシンジケートの後継組織の手に渡らないよう活動するが、ルーサーが危険にさらされ、その隙にプルトニウムを奪われる。

製作年 2018年
監督 クリストファー・マッカリー
脚本 クリストファー・マッカリー
上映時間 147分
製作費              1億7800万ドル
興行収入 (北米)2億2015万ドル
(世界)7億9110万ドル
受賞歴 【放送映画批評家協会賞】
アクション映画賞(受賞)
視覚効果賞(ノミネート)
IMDBレート
(2020年2月19日閲覧)
7.8

(アタリ回)アクション映画史上の重要作

シリーズ初の監督続投となったクリストファー・マッカリーによる第2弾。

見せ場が盛り下がっていく、話がごちゃごちゃして分かりづらいという前作『ローグ・ネイション』が抱えていた問題はほぼ完全にクリアーされており、見せ場はラストに向かってどんどん大規模化していき、物語もスムーズに展開していくという、アクション映画として理想的な仕上がりとなっています。

トムのデスウィッシュアクションは留まることを知らず、『007』のようなスカイダイビング、『ボーン・アイデンティティ』のようなカーチェイス、『ボーン・アルティメイタム』のような屋根づたいの追いかけっこ、『ダークナイト』のような囚人争奪戦、『クリフハンガー』のような断崖アクションと、アクション映画数本分のスタントをすべて自らこなしています。ビルの間を飛び越えるスタントでは足首を骨折したものの、なんと6週間で撮影に復帰。もはや超人の域に達しています。

極めつけはクライマックスのヘリチェイスであり、トムは自分でヘリを操縦し、今までのどのアクション映画とも違うアングルで見せると豪語。俳優が演技をしながらヘリを飛ばすなど前代未聞の試みなのですが、トムは合計2000時間もの訓練を積んで撮影に耐える操縦スキルを身に着け、見事にこれをやりきりました。彼が抱えているアクションスタッフ達も相当優秀で、この異常な試みをきちんと画面に反映することに成功しています。

これだけの努力の詰まった作品だけに本作はシリーズ最高傑作という範疇を突き抜け、アクション映画史上の重要作のひとつという領域にまで達しています。これは絶対に必見の作品です。

これからの『ミッション:インポッシブル』

『フォールアウト』の大ヒット後、パラマウントは早々に続編の製作にゴーサインを出しました。次回作は二部作になる予定であり、連続撮影された上で『7』が2021年7月23日、『8』が2022年8月5日全米公開の予定です。

監督はクリストファー・マッカリーが続投、ニコラス・ホルト(『マッドマックス/怒りのデスロード』)、ポム・クレメンティーフ(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』)、ヘイリー・アトウェル(『キャプテン・アメリカ』)の出演が予定されています。

正式にはアナウンスされていないものの、レベッカ・ファーガソン、サイモン・ペグ、ヴィング・レイムスも続投と見られています。

トム・クルーズは今年7月で58歳、『1』でジム・フェルプスを演じた時のジョン・ヴォイトの年齢になります。『8』が公開される2022年には還暦ですからね。 歳をとってもなおイケメンで、若い頃と同じ体格を維持し続け、激しいスタントに挑み続けるトム・クルーズのプロ根性には頭の下がる思いがします。

≪ミッション:インポッシブルシリーズ≫
【凡作】ミッション:インポッシブル_話が分かりづらい
【駄作】ミッション:インポッシブル2_シリーズ随一の駄作
【良作】ミッション:インポッシブル3_面白いアクション大作
【良作】ミッション:インポッシブル/ ゴースト・プロトコル_面白いけどややこしい
【凡作】ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション_計ったように盛り下が
【傑作】ミッション:インポッシブル/フォールアウト_ここ数年で最高のアクション
【凡作】ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART1_イーサンはニキータ!?
【全6作】ミッション:インポッシブルシリーズのアタリ回とハズレ回

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