(2025年 アメリカ)
本格的なプレデターユニバースの幕開け。緻密に作り込まれた異星の生態系や、身の上を話しまくるプレデター像にはコレジャナイ感が漂うが、アクション映画としてはめっぽう面白いので、続編は見たくなった。

感想
IMAX先行ロードショーで鑑賞。
先行と言っても金曜日公開作を木曜に見ただけなので、そんなに先行してる気もしなかったけど。
ディズニー傘下入りによってフォックスのIP活用は活発になっており、2大看板役者エイリアンとプレデターは大忙し。
エイリアンは劇場映画新作『ロムルス』(2024年)のシリーズ化に加えてテレビシリーズ『エイリアン:アース』(2025年)も配信されたところだ。
負けじとプレデターも配信用映画『プレデター:ザ・プレイ』(2022年)に初のアニメ『プレデター:最凶頂上決戦』(2025年)と矢継ぎ早の展開となっている。
本作を手掛けたのは『ザ・プレイ』(2022年)で長らく低迷していたフランチャイズを蘇生させ、続く『最凶頂上決戦』でも高評価を獲得したダン・トラクテンバーグ。
この監督は『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008年)のまさかまさかの続編『10 クローバーフィールド・レーン』(2016年)で世に出てきた人で、SF作品におけるフランチャイズ展開では一日の長がある。
『最凶頂上決戦』と本作の併せ技により、元はシュワルツェネッガーと泥仕合を繰り広げるだけだった凶悪宇宙人に、壮大な背景を付け加えることに成功した。
主人公はプレデターのデク。
なお捕食者を意味するプレデターは人間に付けられた異名であり、彼らはヤウージャ族と自称している。
デクはヤウージャ族の中でも小柄で、父親からは恥だの一族の面汚しだの散々な言われようをしている。
「弱い奴はぶっ殺す」という超方針の元、実の父親に処刑されそうになったデクだが、兄クウェイの自己犠牲によって一命を取り留め、故郷の星を脱出する。
一族に戻るためには強い敵を倒して実力を認めさせるしかない。
デクは父すら警戒して近寄らないカリスクというモンスターを仕留めるため異形の惑星バッドランドに降り立つのだが、一足先に地球から来ていたウェイランドユタニ社もまたカリスクを狙っていたというのが、ざっくりとしたあらすじ。
ウェイランドユタニは皆さまご存じ『エイリアン』ユニバースの悪徳企業であり、『エイリアン:アース』でも危険な宇宙生物集めに精を出していた。
そんなことばかりやって何が楽しいんだと思うけど、兎にも角にもエイリアンユニバースとプレデターユニバースが白昼堂々結びついた瞬間であり、エイリアンとの再戦に向けた準備が着々と進んでいるようで、おじさん嬉しくなっちゃう。
で、ウェイランド社製アンドロイドのティア(エル・ファニング)が相棒になるのだけれど、デクとティアがまぁよくしゃべること。
この二人が四六時中くっちゃべってるのだ。
ティアはまぁ分かる。しかしプレデターにこれだけ多くのセリフをしゃべらせるのはどうなんだろう。
第一作『プレデター』(1987年)での衝撃的なデビュー以来、あの駄作『AVP2 エイリアンズvsプレデター』(2007年)ですら守られてきたプレデター像を完膚なきまでに破壊している。
往年のファンとして、これにはさすがに戸惑った。
また全体の作風は暴力マシマシの『アバター』(2009年)という感じだ。
緻密に設計された異星の生態系があって、そこに住むエイリアンが主人公で、最終的には機械で武装した人間と戦うことになる。
プレデターの言語を設計したのは『アバター』のナヴィ語を作った言語学者であるし、スペシャルサンクスにキャメロンの名がクレジットされている。
完全に『アバター』をテンプレに作られた映画なのだが、ここまでくるとプレデター感が限りなく薄まっている。
こうした「コレジャナイ感」を除くと、アクション映画としては実によくできている。
デクの華麗な身のこなしが炸裂する連続アクションでは目を楽しませてくれるし、孤高のハンターであるデクが友情に目覚め、「倒すために戦う」から「守るために戦う」に転換するドラマは、月並みながらも燃えるものがあった。
また旅の同伴者の思わぬ正体や、心境の変化に伴う旅の目的の変更など、脚本は常に動いており、基本的にまっすぐにしか動いていなかった『プレデター』シリーズらしからぬ動的な物語となっている。
ダン・トラクテンバーグによるアレンジは、相変わらず大胆だ。
大胆だからこそ、シュワルツェネッガーと戦っていた頃の得体のしれない強敵感が失われたことは残念だ。
作品はさらなる続編を匂わせて終わる。
おそらくディズニーは何本も作る気だろう。
後続作が成功するかどうかで、本作の歴史的評価は決まるのではなかろうか。
今のところは、「面白いけど扱いに困る映画」といった評価が妥当なところだろう。

