【凡作】キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2_印象に残らない(ネタバレあり・感想・解説)

SF・ファンタジー
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(1984年 アメリカ)
前作『コナン・ザ・グレート』(1982年)からエログロを抜いて王道ファンタジーに寄せた続編。ファンタジーの定石を丁寧に守っているので面白いのは面白いけど、驚くほど印象に残らない。

感想

小学生の時に日曜洋画劇場でやってるのを見てそこそこ面白いとは感じたけど、かといって思い出に残っているわけでもない中途半端な映画。

具体的な映画の場面はほぼ覚えていなくて、解説の淀川長治さんが「キング・オブ・デスト”ラ”イヤー」と、妙に発音に拘っていた点だけが印象に残っている。

第一作ほどリピート放送されていなかったと記憶していたんだけど、記録を見ると『コナン・ザ・グレート』の放送回数4回に対して本作は3回と、90年代には数年に一度放送されていたということが分かった。

日曜洋画劇場でヘビロテされていたという印象の第一作に対して、放送回数は一度しか違わないのに、この影の薄さ。これこそが本作の中身を物語っている。

第一作だって諸手を上げるほどの名作ではなかったが、全編にわたって異常に力みまくったおかしな空気が漂っており、一度見ると忘れられないほどのインパクトがあった。

対して本作は角が取れまくって残るものがほぼない状態となっている。

『コナン・ザ・グレート』(1982年)は大ヒットにこそならなかったものの、製作費2000万ドルに対して全世界で9000万ドルを稼ぎ出すという堅実な成果を残し、関係者たちは確かなものを感じた。

時はルーカスやスピルバーグの作る大衆向け娯楽作が大ヒットしていた80年代前半。コナンもファミリー向けにすれば化けるんじゃないかと製作のディノ・デ・ラウレンティスは考えた。

シュワルツェネッガーはこの路線変更に異を唱えたものの、まだ『コナン・ザ・グレート』一本しか名の知れた役のなかったシュワに、世界最強の独立系プロデューサーを翻意させるだけの力もなく、渋々これに従った。

一方、前作の監督ジョン・ミリアスは、かねてよりラウレンティスとの折り合いが悪かったこともあって、続編にはタッチしなかった。

代わりに『バラバ』(1961年)や『マンディンゴ』(1975年)でラウレンティスと組んだ経験を持つベテラン監督リチャード・フライシャーが就任。

フライシャーはスピンオフ作品『レッド・ソニア』(1985年)も連続して監督したが、こちらは批評的にも興行的にも惨敗し、ゲスト出演したシュワからも自身の出演作中ワースト1認定を受け、「子供が悪いことをした時には『レッド・ソニア』を10回見せる」とまで言われた。

そんなフライシャー体制の本作は、良く言えば王道、悪く言えば陳腐な内容となっている。

眠れる神ダゴスを蘇らせる角を取って来いと言われたコナン(アーノルド・シュワルツェネッガー)。

最初は乗り気ではなかったが、前作で死亡した恋人ヴァレリアを復活させるとの交換条件を提示されたものだから、これに乗ることにする。

角のありかが分かるというお姫様ジェナ(オリヴィア・ダボ)、屈強なその護衛ボンバータ(ウィルト・チェンバレン)、お調子者の盗賊マラク(トレイシー・ウォルター)というパーティが組まれ、道中では女戦士ズーラ(グレース・ジョーンズ)と魔法使いアキロ(マコ岩松)が加わる。

お姫様を中心にした個性豊かな面々による冒険は、道中で野蛮人と戦ったり、悪い魔法使いの居城に潜入したり、裏切り者が出たりと、ありきたりなイベントを経て目的地に到着する。

前作より30分近くも短くなった上映時間の中にイベントが詰め込まれているので、確かにテンポは良く飽きさせない。

ただし一つ一つの見せ場にインパクトがないし、なんだかんだでコナンは勝つということが分かっているので、手に汗握らない。

コナンが潜入に失敗して壮絶なリンチに遭った上に磔にされたり、ヒロインが最終決戦前に殺されたりと、いろいろ大変だった前作とは大違いである。

また最後に登場する怪物がやたら弱いということもカックンだった。

「弱点は角だ!」→コナンにあっさりと角をへし折られる化け物(中に入ってるのはアンドレ・ザ・ジャイアント)。

もうちょっと頑張ってほしかった。

結局恋人を復活させられなかったコナンだが、最後にジェナ姫からお礼のキスをされる。撮影当時オリヴィア・ダボは14歳、シュワは37歳。なんて不適切なんだ。

今やったらいろいろヤバいよねってことが、本作で一番印象に残った。

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